2020/11/07 のログ
ご案内:「夜の街道」にリフェードさんが現れました。
リフェード >  
宵闇が落ちる。煌々と輝く満月だけが夜を見下ろしていた。
既に夜も更けた。夜風に紛れて、悪事を働く者が活発になる時。
街道に人の気配も無く、冷たい風に紛れて邪気が満ちる。
此の肌をピリピリと撫でる感触には、もう慣れた。
街道の外れ、雑木林に佇む聖女の冷たい眼差しの先には、引き裂かれた肉塊が転がっていた。
紫の体液を撒き散らし、醜く肌色の臓物を撒き散らしたかつて、魔物だった者々。
魔族もいただろう。魔物を従者として、道行く人を襲うつもりだったのだろうが、相手が悪かった。
聖女の両手には、月輪の光を反射して鈍く光る。二対の銀の鎖鎌。
黒衣にも張り付いた返り血を気にも留めず、鎖を合わせて、その場に膝を付いた。

「……どうか、安らかに……。」

静かに両目を閉じ、祈りを捧げた。
例え、魔に属するものであろうと、浄土を渡れば皆平等。
死した魂、罰を受け、如何か迷わず生まれ変われる事を祈る聖女の慈悲だ。

ご案内:「夜の街道」に黒須さんが現れました。
黒須 > 「…どうなっていやがる…?」

(夜中の月灯りが照らす街道。
その中に溶け込むような姿をしている男はその道を歩いていた。
夜中の依頼を受け、街中に侵入している魔物の排除を受け、現地に到着するも、匂いがしなかった。
魔族もある程度魔力を持っているため、そこから探れば見つける事は容易かった。
しかし、やって来ても匂いも残り香も無く、眉を上げて散策していた。)

「依頼の指定場所はここで間違いないはずだが、魔族も居ねぇ上に痕跡も無い…。」

(しばらく歩くと、ふと一つの匂いを嗅ぎつけた。
死臭。死後の匂いであった。
そちらに導かれる様に向かうと、道の真ん中で膝をつく一つの影を見つけた。
そのまま近寄れば、今の現状をすぐに把握した。
転がる肉片と体液、そして目の前の女から香る返り血の臭いで、状況はすぐに理解することが出来た。)

「…なるほど、先を越されたわけか…。」

(女の後ろに立ち喋る黒須。
その姿はズボン、シャツ、革ジャン、被っている帽子からミリタリーブーツまで、全てが黒一色に染まっている異様ともいえる姿で立ち、話しかけたのだった。)

リフェード >  
静寂に照らされ、木洩れる月光が一筋その身を照らしてくれる。
光の祝辞か。或いは此の身の穢れを払ってくれるのか。
その真意はわからずとも、夜の帳。静寂の中では、長い長い時を過ごしている気分になる。
不動の祈り、一見として隙だらけではあるが……。

「──────……。」

気配を感じる。
邪気ではない。ゆるりと立ち上がれば、じゃらりと鎖を鳴らして振り返った。
静かに開かれる紅は、血のように淀んでいた。
生まれつきの視力の弱さ、リフェードの見る世界の輪郭はおぼろげだ。
代わりに、気配には敏感になっていた。

「こんばんは、旅の人……かしら?ごめんなさい、こんな格好で。
 一応家業としての責務を果たしていたのだけれど、余りいい見た目では無いわよね。」

ヘドロにねばつく体液、おまけに嫌に匂う為リフェードもうんざりしたように溜息交じりだ。
ヒュン、と銀の刃を振るえば気づけばその手元から消えてしまう。
月明りを乱反射する金糸の髪を靡かせて、改めて相手を見据えた。

「大丈夫?やっぱり、匂う?私……。」

一応一介の女子、その辺は気にする。

黒須 > 「・・・。」

(振り返って見えた第一印象。
白い肌に赤い紅は、まるで魔族の吸血鬼を思い出させるような姿だった。
しかも、目の前の女から香る匂い。それは、人間ではなく…魔族と似ていた。)

「…ダンピールか…。」

(どこかの書物で読んだことがあった。
ダンピール。人間と吸血鬼のハーフであり、一部の吸血鬼の力を使えるとのことだった。
しかし、魔族を殺している分、人間に害を与えるような存在ではない事はわかっていた。)

「ああ、かなり臭うぞ…。俺は鼻が良いからな…。
本当なら、真っ先に離れたい所だが…依頼の魔族の殺害を実行したのは、お前で間違いなさそうだな…。
このまま放っておくのもめんどくせぇな…。」

(死体の処理は別の師団員が片付けに入るだろうと思い、そのままにすることにした。
問題はこの女だ。死体と同じ臭いが染み付いており、後に見つかってしまう危険性もある。
目の前に可能性があるにも関わらず、このままにして同族に殺されるのも面倒な結果になると思えた。)

「…近くに宿がある。そこの風呂場で体でも流すか?
宿の金は俺が出すぞ。」

(出会ったばかりの女に対してストレートな物言い。
服はともかく、最低限体に染みついている匂いを落とすには丁度良いと思い、そんな提案をすることにした・)