2020/10/03 のログ
ご案内:「山小屋」にミミックさんが現れました。
■ミミック > 山小屋と呼ばれてはいるが、其処は妖精の森付近に佇む1件小屋である。
なので正しい名称は森小屋なのかもしれないが、此処は山小屋なのである。
妖精の森と呼ばれる空気中の魔力濃度の高い小さな森の傍にあって妖精に森に踏み込む者達が利用するために周囲の村々から有志が集まり作った小屋で、妖精の森で魔物に襲われた人達が逃げ込んだり、森に挑む前の準備を整える場所に良く使われている。
本当に小屋といった佇まいで、中は常にその村々の有志が常に何があってもいい様に水瓶を用意してあったり、保存食が1か月分程度用意してあったり、備え付けのベッドのシーツは常に清潔に保たれていたり、遠くからでも存在がわかるように室内はランプの灯りが常に輝いていたりと、まるで平民地区の良い方の宿の一室のようでもあった。
それに特筆すべきは小屋を囲むように張り巡らされた結界。
常に開かれてはいるが、一度閉じてしまえば魔物の侵入は容易ではない。
利用者が望めば他者の侵入も拒めるようになっている。
結界を閉めるのも扉の鍵を閉めるだけで良いのでそう難しくは無い。
つまりは最初の利用者の許可が無ければ後から別の利用者が入り込んで悪さが出来ないように設定されていて、安全面もバッチリの小屋なのだが――…実際は例外が存在してしまっている。
それは何か。
とあるモンスターの卵を腹に抱えた人間がこの小屋を利用してしまったことである。
外からの魔物の侵入は確かに防げるかもしれない。
だが、結界は利用者の腹の中まで細かく選別して効果を発揮はせず、その利用者は小屋の中で卵を産み落し、逃げてしまった。
――…だから、今の小屋には住人がいる。
その名前はミミック、魔物のランクで言えば下の下である初心者冒険者の登竜門とも言われる雑魚モンスターである。
吐き出す溶解液の弾は布や金属を溶かすが、皮膚を溶かすことは無い。
身を守る甲殻はとても硬いが鉄の武器で傷つかないレベルではない。
力もオークには届かず、知恵は個体差があるがゴブリンには到底及ばぬレベルであるモンスターだが、唯一無二の能力としてその名前が示すとおり擬態能力があった。
山小屋に巣食っているミミックは当然擬態化している。
天井に張り付き、小屋の天井の一部として甲殻や肉の色を変化させ、天井より利用者が来ないか、つまりは獲物がこないか見張っている。
見上げれば多少違和感のある程度でかなり確りと擬態化しているので、気がつくのは難しいだろう。
だが山小屋の中にはミミックの体臭が広がっている。
草を煮詰めたような濃い緑の香り、それが危険な香りだと今宵山小屋を利用しようとする者は気がつくだろうか。