2020/06/21 のログ
■ナラン > 女はそういう時が無いわけではない、という男に軽く目を見開いて
またいつかのように、困ったように笑み零す。
身体を添わせても、鎧が阻んで彼の身体に直接触れることはない。
それだからこそ身を寄せることが出来たと言えるけれども…また、甘美なかおりが
近く彼の身体からうっすらと香る。
先のひどい香りの血を被った後だから、尚更惹かれてしまうのかもしれない…そう思いつつ女は知らず、唇を舌でそっと湿す。
男のほうを見れない女の視線の先で、景色がまるで風になったような勢いで流れ移り変わっていく。
すこし、一種低く飛ぶ鳥にでもなったかのような気分でそれに見とれているところへ、男の言葉。
―――今はわかる。
きっと、男は悪戯っぽく笑って、こちらを見ているに違いない。
…それでも、気まずそう一瞬にちらりと見上げずにはいられない。
「………あんな、事をした後、で
……どういう顔を すれば いいのか……解らなかったので」
小さく、すみません、と付け足して
「…肩車でも構いませんが、背後を守るなら、担いでもらった方が良いかもしれません」
鳶色の瞳は紅を揺らしながら、今度は真っ直ぐに見返す。
ヒトならぬ身の筈なのに、味方してくれる―――香しい血を持った、彼の金色を。
■ヒュー > くつくつと笑いながらちらりと見やれば湿った女の唇。
血だらけの女を見るといっそこのまま犯してしまいたくもなるが、流石にここではゆったり女を抱くことも出来ない。
そして帰ってきた言葉に男は小さく笑い。
「そうだな。 何も考えずに甘えれば良い。」
等と、謝る相手をぐと力を籠め女を抱きながら足を進める。
担ぐ絵を思い浮かべてみるも…
「ふむ。 担いだら弓を引き辛いだろう。 それに女を矢避けにするつもりはない。」
等と呟きながら真っすぐに見返されると、つい悪戯心が沸き、走ったままではあるがさっと女の唇に自身の唇を重ね一瞬吸い、そして離していく。
「続きは街かナランの寝床に帰ってからだな…。 どちらがいい?」
等と風切り音の中女に囁きかけた。
■ナラン > 抱く男の腕に力が籠れば、鎧越しの甘美なかおりがまたすこし、近づく。
それにほんの少しだけ思考を蕩かせて、女はすん、と小さく鼻を鳴らす。
「…役立たずなのは、嫌なんです…」
男に対して自分で紡ぐ言葉が、駄々をこねるのに近いのに気付いている。
それでも言葉にしてしまったのは、こうしてただされるがままの状況に困惑しているせい、だろう。
――――そうして不意に、唇に柔い感触、が。
男が顔を離したときに見下ろすなら、紅を揺らしながら見上げていた瞳が丸く見開かれていて
次いで睨んで、最後には困ったようにまた、逸らされるのだろう。
「…―――!!
―――…―街で報酬を受け取ったら、私は帰って眠りますから…!」
囁きに一瞬鋭く睨むと言下に続きなんてありません、と告げて
風切って走る男と彼に縋った女が向かう先は、一先ずは王都となるのだろう…
ご案内:「タナール丘陵地帯」からナランさんが去りました。
ご案内:「タナール丘陵地帯」からヒューさんが去りました。