2020/05/30 のログ
ご案内:「平民地区・繁華街外れ」にティアフェルさんが現れました。
ティアフェル >  繁華街から外れた地区は遊興施設や店舗などはぐっと少なくなっていて、代わりに住宅が増えて比較的静か。そんな一角では――、

「もー……行った、かな……?」

 二階建ての空き家の屋根の上からひょっこりと顔を出し、様子を窺いながら呟く一人の女。
 何故そんな様なことになっているかと云えば、例によって大の苦手な犬に追い掛けられて逃げ回った末、この空き家の屋根に上って難を逃れた、とそういう何とも情けない事情。
 しばらく下で吠えたてていた野良犬も、いい加減立ち去ったのか地上は静かだ。人影ならぬ犬影がないことを確かめるとほっとして。

「よし、じゃあ降りますか……」

 独り言ちては、足場に使った三段重なった木箱へと屋根の縁に手を掛けて慎重に足を掛け降りようとしたが、そこで――

『わん!!』

 突然犬の鳴き声。さっきの野良犬が戻ってきやがった。屋根の縁に手を掛けた状態でびく!!と思い切り肩を跳ねさせ、驚いた弾みで、足場にしようとしていた木箱を蹴飛ばして崩してしまい。

「ギャアァァァー! うそおぉぉぉお!!?」

 二階の屋根の縁に両手でぶら下がった姿勢のまま、這い上がれもできず、降りることもできなくなり悲鳴を上げた。

ご案内:「平民地区・繁華街外れ」にカーレルさんが現れました。
カーレル > 愛猫と出会った時の事
小さな木箱に入れられた小さかった愛猫は野良犬に吠えられながらもどこ吹く風
木箱の中で汚れた毛布の上、顔を洗って気だるげに欠伸をしていた
それを不憫に思った…と言うわけではなく、やけに肝の座っている子猫だと思い連れ帰ったのだ
今ではすっかり成長したがその時のふてぶてしさみたいなものは今も変わっていないように思う

と、過去の事、思い出すのはあまり好きではないがふと脳裏を過ぎったのはいやに犬の鳴き声が耳についたからで
何となくそちらへ足を向けてみれば、屋根からぶら下がった人影が小さな子犬に吠えられているという、
王都でも中々お目にかかれない光景を目の当たりにしたのである

「こりゃあ、珍しい…泥棒か何かかね?」

屋根からぶら下がっている人間が大工には到底見えず、かといって
他に屋根に乗り上がるような職業も思い浮かばず…
頻り盛んに吠えていた子犬をよしよし、と抱き上げて頭を撫でてやると、
今度は屋根にぶら下がった人影を見上げた
揺れるつま先がもう少し、もう少しで崩れた木箱に触れそうな所が何やら哀愁を誘った

ティアフェル >  追想に浸りながら野良犬に興味を惹かれたその人が近づいて来る頃。
 どうにかして再び屋根に這い上がれたとしても、足場がなくなったのではどの道降りれない……何とか受け身を取りつつ、多少の怪我は覚悟で降りてみるべき、なのだろうが――

「いぃぃあぁぁぁぁぁー!! 無理無理無理無理ー!!」

 下でワンワン元気に吠えている野良犬が待ち構えているのを見ると死んでも降りたくない。そんな風に半泣きでぶら下がって苦悩の真っ最中。

「ふんぬっ…!」
 
 頑張って登って見よう、犬に咬まれるくらいならそっちのが。むしろそれしかない、と全力の懸垂を見せたが――、

「だ、めだ……! わたしはここで死ぬんだー!」

 壁を正面にして屋根の縁に引っ掛かっている様な具合だったので、背後に誰か来たのも分かっておらず、大仰に嘆いてはそろそろ腕の感覚も怪しくなってきていて、このまま落ちる――と、つかまっている指先をふるふる戦慄かせながら、人生の走馬灯を巡らし始めた――

カーレル > 助けてもよいが珍しい光景である。もう少し鑑賞していてもきっとバチは当たらないだろう
叫びながら登ることも出来ず、かといって降りることも出来ない姿は、
地獄と天国の間で今まさに当落寸前、といった所であろうか?
決して信心深い方でははないが、こういう場面に遭遇すると色々と考えてしまう

聞き覚えのある叫びに、何をしているんだこいつはと思いつつ。今少し鑑賞の時間を持ちたいと思う

「…冒険者だろう?それくらい乗り上がれないでどうすんだよ」

グッ、と力を込めて乗り上がろうとしているらしいので背後から声を掛けてみる
あの声で必死な叫びを上げているから聞こえているとも思えぬが
変わった冒険者さんだねえ、と腕の中の子犬に語りかける。妙に人懐こく既に吠えてすらいないが、
おそらく彼女はそれどころではないのだろう、そういう風に見える

「落ちたって死にゃしねえよ、精々悪くて足を捻るか折るか、そんなもんだって」

この光景を前にテーブルと椅子を持ち込み、酒の入った盃なんぞ傾けながら
彼女の一喜一憂を肴に愉悦に浸りたい所だが、生憎と椅子もテーブルも酒も見当たらない、まことに惜しい話である

ティアフェル > 「何?! 誰?! 誰かいるの?! 聞き覚えのある声だな!」

 後衛だけどもっと鍛えておくべきだったかも知れない。鍛え過ぎてムキムキするのがイヤだからって程々で済ませとくべきではなかった。こんな所で差がつくなんて夢にも思ってなかった。後悔しながら這い上がれず、涙にくれかけたが。後ろから声がした。首だけどうにかそちらへ巡らせてみると。

「――あんたか! 打ち所が悪くって死んだらどーすんの、よ――?!きゃあぁぁぁ!!」

 見知った顔に、うっかり現状を半ば忘れて売り言葉買い言葉状態だったが――、そこで会話に気を取られてつかまっていた手がずるっと滑り、そのまま悲鳴を上げて落下していきました。咄嗟に急所を庇って受け身を取るが――良くて捻挫、悪くて腰骨にヒビ。木箱をがっしゃん!と派手に崩しながらその上に落ちて行く。

カーレル > 冷静になった風には到底見えないが、どうやら此方の声が彼女に届いたらしい
天から下りてきて彼女を助ける天の使いというでもなく、かといって足を掴まえ引きずり落とす血の底の住人でもない
子犬を抱いた傍観者が彼女の視覚に入ったであろう

「いーから、いーから、そのままの君でいて
 無理したら落ち―――………あー…言わんこっちゃない」

彼女の顔がこちらを向き、恨み言が飛んできたかと思えばそれも悲鳴にかき消され
綺麗に崩れた木箱の山に彼女は落ちる。不思議なもんで自分が落ちるわけでもないが、
本能なのか落ちる瞬間というのは自分も無意識の部分で見たくはなかったらしく目を逸らしてしまっていた

「……新鮮な感覚だったな。咄嗟に目を背けた
 じゃないや…大丈夫か?っても大した高さでもねえけど…」

子犬を抱いたまま崩れた木箱と彼女の落ちた方へ寄っていく
倒れてるんだか、地面に突き刺さってるんだか、ともかくどうにかなっている彼女を覗き込み

「…ケツがクッションになったか?どうだ?」

とか声を掛けてみたりする…流石に死んじゃあいないだろうと思っていたから冗談七割の言葉であった

ティアフェル >  後ろを見たら助けを求める、という考えがさっぱり浮かばない顔があった。これはこの時点でもう詰んだ。見るんじゃなかった気にすらなった。
 そして案の定――落ちた。降りたかったけど落ちた。
 悲鳴を上げて木箱をぶち壊しながら落下して。

「……ぅ…」

 一時的に脳震盪を起こしたらしく、意識が飛ぶ。ただの木片と化した木箱を下敷きにして伸びていた。
 しかし、彼の腕に抱かれた子犬が、わん、と一声発したものでビク!と肩を跳ねさせて目を開き。

「い、ったあぁ……――きゃあぁぁぁぁ!! 寄らないでー!!」

 あちこち打撲を負ってしまい、痛みと眩暈に額を抑えたが、ぼんやり霞む視界に入る子犬を抱いた姿を発見すると、また悲鳴を上げてずざざ、と後ずさろうとして家屋の壁に当たり、傷を痛め、

「ぅっ……う、痛ぅ……」

 呻いて身体を折り動きが止まった。

カーレル > へんじがない
これはマジで打ち所が悪かったか、と思い関与を疑われるのも面倒であったから、
一瞬、『逃亡』の文字が頭を過ぎったが腕の中の子犬が一声、鳴き声を上げれば物凄い勢いで彼女が蘇生?し、
背後の壁まですっ飛んでいった

「…どうやらあのお姉ちゃんはお前の事を嫌いみたい」

抱いた子犬に話しかける。しかし、くうん、としおらしい声を上げるでなく、
子犬はこちらを見上げて『なんかくれろ』とでも言いたげな瞳を向けてくるだけである
流石、王都育ち、猫でも犬でも人でも皆逞しい

「…参ったね、生憎、食わせてやりそうなものは持ってないんだよなあ…
 …ともかく、一旦、こん中入ってろ」

抱いていた子犬を崩れた木箱の中に入れてやり、壁にぶつかった彼女の方へと歩み寄る
状況はわからないが無傷ってわけでもないのだろう

「…で、どうだ?立てるか?
 そういや、治療の魔法使えるんだったか…自分に使えそうなのか?」

彼女の傍で膝を折ると視線を向ける
ざっと見た所、出血はないようだから今すぐどうこうという事は無さそうに見える

ティアフェル >  我ながら死んだ、と思ったが。そんなに柔ならもうとっくにあの世の住人の筈。
 腰が痛かったり足が痛かったり頭が痛かったり、痛む箇所を数え上げればキリがないが、大怪我という程でもなく意識を取り戻したが、犬の顔を見るとまた地獄に舞い戻った心地。小さく震えつつぶんぶん首を振っていたが。

「っはあ、はあ……――いたた……」

 犬が木箱に入れらるとそちらを相当嫌そうな顔で見やりながらも、取り敢えずは視界に入らなくなり、荒く呼吸して、痛む箇所を抑えつつ木屑を髪や衣服にくっつけ、ささくれを足に刺しつつ唸り。

「腰が抜けた……。
 う、ちょっと待って……スタッフ忘れて来たから……やり辛いな……」

 声を掛けて来るそちらを見上げて緩く首を振ると。回復魔法をかけようとしたが、道具を持っていない。できないことはないが、普段より効果が弱くなる。溜息を吐き出しながら、少々時間を要し、打ち付けた腰や捻った足首に掌を翳し、詠唱すれば生み出した淡い光で患部を覆い、若干痛みは残るものの、取り敢えず回復させ。

「はー…ぃったた…死ぬかと思ったー……」

 裾を払ってゆっくり立ち上がりながらまとわりつく木屑を払い。

カーレル > 子犬に向けられる視線というか、表情から彼女は相当な犬嫌いだと言うことが伝わってくる
抱き上げられる程度の大きさの子犬にすらそうなのだから、何か余程のトラウマがあるに違いないと思わせた
それはさておき、彼女の方である

「流石、冒険者。頑丈だな…
 ああ、そういうもんなのか…まあ、何はともあれ大した怪我でなくて良かったな」

彼女が回復魔法を行使しはじめるのをなんとなく眺める
回復魔法を間近に見るのは初めてであったが、中々大したもののようである
自分も回復魔法というか、治癒能力があるが、あれは傷ついたり失ったりした部分を
体内の精霊が代替するだけであって正確には治癒ではない
そんなんだから、ほー、とか、はえー、とか、間抜けな声を出して感心してしまった

「便利だな回復魔法…
 ともかく、立てられるようだし、足や腕が折れてるってことも無さそうだな」

大丈夫そうなので彼女の傍を離れる
木箱に入れた犬を再び抱き上げれば、彼女と一定の距離を保ったまま、子犬を見せる

「……こんなんでも苦手なんか?」

冒険者と言えばもっと巨大な魔物であったり大型の獣と対峙することもあるだろう
にも関わらず、こんな小さな犬を怖がるというのが不思議に思える

「…大抵、こういう場合、ガキの時分に噛みつかれたとか、そういう理由なんだろうけど」

当て推量に言葉にしながらそんな所か?と僅かに首を傾げ、彼女に視線を投げた

ティアフェル >  追いかけられていた時に感じたよりも案外小さかった。小型犬なのか子どもなのかは知れないが。

「……そりゃどぉも。
 何か人に云われるとムカつくな……まぁいいわ」

 大した怪我じゃないと云われて少々カチンと来るがここで口論してもしょうがない。一応表面上はざっと治した外傷。感心する声にちらっと目線を向けて。

「まあ……万能じゃないけどね。
 何とか、へーきみたい。ってかこんなとこで何してんの?」

 小首を傾げながら尋ねたが、木箱から抱き上げられた犬に、さらにこちらは距離を離して顔をしかめ。

「やだなあ、どっかやっちゃってよ……。
嫌いな物は嫌いなの、理由なんか知らない。しょうがないでしょ、一家そろって全員駄目なんだから呪われてるのよ」

 属性がサルとかゴリラなんできっと本能的に駄目なんだろう。5人いる弟達も多少の差はあれど全員犬嫌いだ。何故嫌いなのかなんて考えたこともない。高所恐怖症や先端恐怖症に、あなたは何故それが怖いんですか、と訊くようなものだ。

カーレル > 「ムカっ腹立てられる程度にゃ元気って事だろ」

腹を立てているようであったが何とか流してもらえたようである
あとで慰謝料を請求されたりしそうな気もするが通りがかっただけ、と言い張ればなんとかなるはず

「いやあ、やたらと犬が鳴いてるから何事かと
 貧民地区の方だったらそんなに気に留めないけど、この変だからちょいと気になって
 …空き巣だ物取りだってなったら、とっ捕まえてやろうかと」

距離を保って尚、彼女が顔を顰めたので眼を瞬かせて
どうやら相当に気に入らんらしいぞ、と子犬に耳打ちしてから木箱に戻す
どうやらすっかり落ち着いているようなので騒いだりしなければ犬のほうが勝手にねぐらに戻るだろう

「…一家全員ってのは相当だな
 トラウマでもあるんじゃないかと思ったけど…そりゃあ言葉通り呪われてるな」

どうやら当て推量は外れたらしい
理由を聞けば納得せざるを得ない理由にも聞こえる、そういう血筋だからというのではぐうの音も出ない
ポケットを弄り何時から、何故持っているんだかもよく思い出せない干し肉の欠片を木箱の中に入れてやると
子犬がハグハグと貪り始めた音だけが小さく聞こえてくる

「…よし、残飯に夢中になってる今のうちに退散しようぜ
 ―――で、ティアは野良犬に追いかけ回されてあんな所にぶら下がってたのか?
 王都にゃあんなん幾らでもいるからおいそれと出歩けねえな」

貧民地区あたりじゃよく見かけるぞ、と付け加えつつその場を離れようと歩いていく

ティアフェル > 「やかましい……」

 普段余程うるさい奴が選ぶ言葉でもなかろうが、疲れたようにぼそっと零しては。
 はぁ…と大きくため息を吐いた。今日は厄日だなあ、と何となく肩をとんとんと叩きつつ。

「そこで知り合いだと見ても助けようとかなんとかそういう思考が一切なく、静かに見ていた根性はスゴイと思うよ……わたしもどんなピンチに陥っていようがあなただけは助けまい、とそう心に誓ったよ……」

 要らん決意を疲労感漂う表情で口にして、はー、ともう一度嘆息を零した。木箱に戻された子犬には一応安堵して。二度と会いませんようにと願う。

「本当に苦手な物ってさ、理屈じゃないのよね。あと、わらわら集まってる集合体も駄目だわー。気持ち悪くなる」

 恐怖症関連は謎が多い。どんな回復魔法でも癒されない病気である。ポケットから取り出した干し肉をやっている様子に、ポケットが生臭そうだと感じた。

「あの干し肉お腹壊しそうねえー……。
 他にこんな時間にあんなザマになってるどんな理由が?
 犬って狂犬病とかあるから、そこそこ中心地では駆除されてるからまだ大丈夫なんだけど……ねえ。もっと政府がんばってって思う」

 普段はいち早く気配を察知して回避しているけれど、時たま運悪く追いかけられてしまう。あからさまに怖がるものだから、向こうもイケルと思ってちょっかいを出すのだろう。悪循環だが手がない。
 ここで犬と顔を突き合わせていることなどできる筈もないので素直にその場から離れて。

カーレル > ぼそり、と溢れた声はしっかりと耳に届いた
その声に鼻で笑い、ため息に続いた言葉にそりゃあ、ご愁傷さま、と続ける

「厄介そうな事には首を突っ込まない処世が身についてるもんで…
 良いんじゃねえ、それで…お互い背中を守り合うと誓った仲でもあるまいし
 人間結局、最後にゃ自分が一番の大事だしな」

彼女があんまりため息を零すものだから、苦笑を浮かべると幸せが逃げるらしいぞ、ため息と続ける
子犬の入った木箱にカビていそうな干し肉を放り込んで、ちらりと覗く
夢中で貪っているからこちらには意識は向けていないように見える

「…そんだけ苦手なもんあると冒険者やってて大変そうだな
 ―――食うに困って泥棒とか?この辺りは人通り少ないし、結構あるらしいぞ、空き巣」

腹を下すであろう子犬を置いて歩き始める
流石にもうあの犬も追ってくることはないだろう…他の犬にしたって
二人連れの人間に襲いかかってくる程ではないはず

「国にそんな期待してるのか…まあ、それより腹減った浮浪児なんかに任せたほうが早そうだけどな…
 俺は食ったことねえけどあれでも結構、美味いらしい」

王や貴族に任せるよりは余程、早く処理してくれそうだと笑ってみせる
通りの角までくれば彼女より先に出て、先を覗き込み…振り返れば、大丈夫、いないと伝えて

ティアフェル >  鼻で笑われて瞬間舌打ち。おざなりなご愁傷様にはそういうのいい、とやぶ睨みして。

「フツーはね、飽くまでもフツー、は、だけど……知り合いが屋根の縁につかまって落ちかけてたらちょっとはどうにかしてやろうって思うもんよ。
 そんな薄情じゃこれからロクな人生になんないわね」

 むしろ知らない人でも多少はどうにか、と思ってくれるもんだが、見事に当てはまらない様子に、自分でも無駄なことを云っていると自覚しながらボヤき。

「まあ……こんな調子が常態なもんで今さら……。
 ヒーラーは普通食うに困んないのよッ。生きてる限り怪我や病気と縁が切れないからねッ」

 誰が空き巣じゃ、と剣呑な眼差しを向けて相変わらず不穏そうに反論しては、後ろをちらちらと振り返りながら歩いて行き、もう大分離れたところで一応安堵して息を吐き。

「えぇえ……食べるの…? でも、肉食獣の肉って普通は臭くて食べれないもんでしょ? カラスとかだって、森で穀物を餌にしてる奴はおいしいけど、この辺の何でも食べるヤツの肉は臭くってマズくなるって話だし……」

 ロクな物を食べていない野良犬が食肉に値するとは思えない。怪訝そうに眉を潜めて首を捻り。そして、先立って犬偵察をやってくれている…らしい様子には上がりっぱだった留飲を下げつつ。ぼそぼそとありがとうと呟き。

「薄情なんだかそうでもないんだか…分かんない人だねー…」