2020/05/28 のログ
ご案内:「山賊砦」に紅月さんが現れました。
ご案内:「山賊砦」にティアフェルさんが現れました。
紅月 > 【待ち合わせ】
紅月 > 岩肌をくり貫いて作られた堅牢な砦…とはいっても、さすがに小規模なそれの出入り口は大概丸太の柵か木板の扉か。
ここの場合は古びた木を鉄で強化したものであるらしい。

「あら、精霊術にも難点はあるのよ?
…ふふっ、でも。
紅で良ければいつでも頼って下さいましね?」

小窓から、小さき隣人によって投げ渡された南京錠を片手で弄びつつティアフェルに微笑みかけて。
さて、正面へと視線を戻せば扉を開いてみる。

…ギィィ………――――

小さく軋む音が鳴る。
ほんのりヒヤリとするものの、その後に続く音が品のない鼾の音では雰囲気もへったくれもない。

軽く開いた隙間から覗くように首を突っ込んでみれば砦の中はほんのり薄暗く、サッと見回すと…どうやら幾つかの松明や蝋燭が燃え尽きているようだ。
場所は正面大広間、といった所か…何だか散らかっていて、何より、酒臭い。
テーブルどころか地べたにも酒瓶が転がってる辺り、まさに宴会翌日の朝の有り様…

「あらあら、まぁ…
酒樽抱えて転がってるのが一人居るねぇ、随分気持ち良さそうに寝てるわ」

突っ込んだ首を引っ込めると、とりあえず見たままを報告した。
声色には、呆れが多分に含まれている。

ティアフェル > 「まあ、それは何にでもあるだろうけど……ここまでいろいろ出来れば頼りたくなるー。
 ぜひぜひ。その時はお願いしまーす」

 軽く両手を合わせてお願いしては、精霊が開錠してくれた扉に手を掛ける様子に、気を付けてーと少々ハラハラ緊張しながら見守り。軋む音を立てて開いた中からは鼾がこちらの耳にも微かに届いて。中の様子を覗き見た彼女から、聞こえた鼾の主が一人転がっているようだと聞いて肯き。

「よし……じゃあ念の為目を覚まさないようにしてもらってから乗り込んでふん縛ろうっか」

 明け方まで飲み明かした山賊たちは恐らくそんな感じで全員落ちていることだろう。見張り一人、広間の一人を片づければ後は二人か三人か……適うなら同じ場所にいてくれると助かるが……。
 取り敢えず気づかれぬように中に押し入る取っ掛かりにしようとまず一人の対処をお願いし。

紅月 > 「はぁい、お任せあれ~」

情報共有、後、行動。
報告連絡相談の不文律は、冒険者業界でも健在である。
人差し指に魔力を集め、クルクルクルと3回…先程の見張りを昏倒させたのは"妖精サンドマンの眠りの砂"であったが、今度は赤みがかった紫のモヤのようなものを手に纏わせれば。
そのまま軽く投げるように酔っぱらいを指差した。
スッと飛んでいったモヤは対象にまとわりついて…
『んごっ! …かー……』
鼾が少々大人しくなった、ような?

「…こっちは純粋な眠りの魔法ね。
流派によって差があるみたいだから、扱いやすい術式を選ぶといいよ」

魔法を投げた指先で唇に触れ、シー…と静かにするよう指示を出すようなジェスチャーをし、悪戯っぽく笑う。
魔法魔術の豆知識を添えるのは忘れずに。

ティアフェル > 「ちなみに、魔法を連発してもらうかもだけど、限界はどのくらいだろ?」

 結構魔法頼みの部分が多い状況。出来る人なのでついついさっきからぽんぽんお願いしているが、魔力の消耗が少々心配にはなる。
 そして実に手際よく、魔法を掛けて酔って寝ている山賊を深く眠らせる様子に感心して、音を立てず手のリアクションだけで拍手を表して。声も潜め気味で。

「わあ、凄いね……。わたしは相手を眠らせる魔法は使えないから、出来るとしたら眠らせる薬を調合して使うくらいね」

 結果的に同じようなことは出来るが魔法ほど便利な方法でもない。ふむ、と肯きつつ小声で会話し。そして、扉を開いてもらうのはお願いしてこちらはロープを用意して砦内に侵入すると縛り上げてしまおうと構え。

紅月 > 「んんっ?限界かぁ…
このテの支援魔法なら昔、悪戯用に色々研究したから…気にしなくても大丈夫なくらいには余裕あるわねぇ」

虚空に目を遣り考えながら口を開く。
…馬鹿と鋏は使い様、碌でもない研究も使い方さえ工夫すれば無駄にならないものである。
普段相手にしている魔獣達に比べたら、酔った人間に使う魔力はたかが知れているのもあり。
どうと言うことはない、と、へらりと笑ってみせて。

「さ、どうぞお通りを…なんちゃって。
ティアは調薬かじってるのか…あっ、ソイツもう、ちょっとやそっとじゃ起きないから。
存分にギチっとやっちゃってね」

少々重量のある扉を押し開いたまま片手で支え、冗談混じりの一礼を。
薬の調合が出来ると聞いて感心したのも束の間…思い出したように無慈悲な言葉を添える。
ティアフェルが男に近付くのを視界におさめれば、彼女の作業の合間は廊下や周囲の警戒に勤めるだろう。

ティアフェル > 「そっかあ。魔法の弱点は魔力切れと詠唱中のガラ空きだからねー。詠唱中のガードは任せてね」

 無尽蔵という訳でもないだろうが今回の任務でなら、魔力が尽きるほど使う可能性はないということだろう。なるほどと首肯して。
 そして、踏み込んで行く砦内。灯りが尽きた内部は少し薄暗いものの窓から差し込む朝日のお蔭で充分に目は利く。

「うん、一応本職ヒーラーなんで、回復術、薬品の調合、基本医術は抑えてるよ。
 ――あー、ほんと、叩いても起きないねこりゃ。じゃあ遠慮な、くっと……!」

 念のため足音を忍ばせて近づいたが眠らされた髭面の男は完全に意識がないようで目を覚ましそうにない。構えたロープで胴体をぐるぐる巻きに縛り付けて手首に、口には猿轡を噛ませて仕上げ。その間にも周囲の警戒をしてくれた彼女に振り返って、完了すれば、ぐ、と親指を立てて見せ。
 改めて岩を繰り抜いて作られた内部を見廻した。外から見た所では三階建てに仕様で、三階部分は物見、二階部分は生活区域だろう。残りの賊は二階と一階の別室にいるのではないかとアタリをつけつつ。岩面を削った階段と、広間の左木製の扉と右に扉の代わりにカーテン代わりのラグを下ろした部屋を見つけ。耳を澄ませるとラグが掛かった右の部屋から人の気配を感じた。
 声を出す代わりに人差し指で、あっち、と示して。耳打ちするように小声で囁いた。

「多分、人がいる……さっきと同じ手順で行こう?」

紅月 > 「ふふっ、頼もしい!
小さなナイト様がいれば安心して嫌がらせ出来るわね」

ニコニコと笑顔で宣う。
…実際、人間相手に物理で攻撃となると加減を誤る恐れがあるため、極力遠慮したいのが本音。
今日は平和的に行けるかもと思えば、ついつい笑みも浮かぶと言うものだ。

「うんうん、流石だねぇ。
灯りの追加は…いや、大丈夫そうか。
ふふっ、見事な手際ねぇ…ナイスふん縛りっ」

たまにチラリとティアフェルの方を眺め、見事な拘束っぷりを讃え、彼女へとグっ、とサムズアップを返してみる。
次いで彼女が周辺を確認をし始めたのを見れば…自身ももう一度辺りを見回してみる。
罠などは…無さそう、か。
そうしてティアフェルからお呼びがかかれば、にんまり。

「はいはいお任せあれ。
さぁさぁ、行っておいでな眠りの風よ」

先程のモヤをまた作り、今度は件のラグの方へと投げる。
と、それはスルスルと布の向こうへ消えていき…しばし間があった後、ドサッ、と何かが落ちるような音がした。

ティアフェル > 「小さくはないよ、フツーサイズでアタックしますよー?
 イジメは程々にねー?」

 アタッカーとしては小さい方かも知れないが…自分は平均だと思っている。少々訂正を入れつつ、嫌がらせと笑顔で云い出す声に、意外とS?と小首を傾げた。
 ぐいぐいとがっつり縛った山賊は踏んずけても反応がない程ぐっすりだった。大したもんだと感心しつつ。

「いえいえ。そちらこそ。
 うん、灯りは返って向こうさんの気を引いちゃうかもだから……。
 ってか全然起きないんだけど死んでないよね?」

 縛り具合を誉められては、に、と笑みを刻んで見せたが、完全に意識を喪失しているような態に思わず息を確かめた。勿論しっかり息をしていたのでほっとして。
 そして、先ほどと同じ手順で木製の扉の反対側――扉代わりにラグの布地で仕切られた人気のある方へ魔法が発動すれば、そっとその部屋の前に近づいてラグの隙間から覗き。作業机や椅子、棚作りつけられた簡素な室内で一人倒れているのが見え。よし、と小さく肯いてまたロープを取り出し。一人目と同じように縛り上げ。
「よーし、二丁上がり。これで三人目、か……。後いるとすれば一人か二人……」

 ぱんぱん、と軽く手を払い打って、後は人の気配はないが木製の扉の方と二階を調べればいいと。
「そっちの扉の方、確認してもらえるかな? 鍵が掛かってるみたいだし人はいないと思うけど……倉庫かも」

 南京錠の掛かった木製の扉。開いて確認をお願いして。

紅月 > 「ふふっ、それなら"可愛いナイト様"だ。
あら、そこは相手次第ねぇ…?
ついでで悪夢を見せないだけでも良心的だわ」

上機嫌そうに話すが…つまりは肯定も否定もせず。
真相は闇の中、である。

「生きてる生きてる。
いっそ奴等を夢に閉じ込めとく事もできたんだけど、ね…?」

言いかけて、笑顔のうしろに黒さを隠した。
…まだ私はかっこいい先輩でいたいのだ。
そうしてまたひとり拘束が終われば、後ろ手の芋虫を小脇に抱えて中央広間へ運び。
満足げに笑顔を浮かべ、ひとつ頷く。

「了解…ん、もしかしたら此処、武器あるかも。
【お前は錠前、いい錠前】【私を向こうへ通しておくれ】」

次いでティアフェルの『倉庫かも』の言葉に、自分でも扉の向こうを探ってみる。
…ほんのり火薬のにおい、金属ならではの鉄のにおい。
開錠のための詠唱を終えると共にカシャンと小気味良い音を立てて解除される南京錠…それを外せば床に雑に転がしておいて扉を潜る。

「……、…物置、だねー。
工具、ランタン、ロープ…こっちは発破用の火薬かな?
お宝は無さそう」

敵の気配がないのをイイ事に、ゴソゴソと軽く物色してみる。
…どうやら"ハズレ"みたいだ。

ティアフェル > 「うむ。それならば許可します。
 悪夢くらいはいーんじゃない? 実害ないし。
 ――夢に閉じ込める? 目が覚めなくなるってこと?」

 程々にと云いながらも必要があれば存分にやっちゃって下さいとけしかけることも辞さない。山賊なんて輩は少々痛い目見るべきとも思うところだ。
 しかし続いた言葉にきょとん、と瞬きをして窺うような視線を向けた。

「武器ねえ。必要?」

 自分は持てる装備に制限がある為あっても使えない可能性が高い。彼女はすでに自前の武器があるので必要ないはず。
 また手際よくあっさりと外された錠。この能力は悪用すればとんでもないことになるヤツだなーと益体もなく考えながら扉を開けて中へ入る後ろから内部の様子を窺った。
 中には武器も目的の品もなく。これは押収品となりそうだなと考えながら、ロープは今使える、と。

「ハズレだね。――ロープ取ってもらっていい?
 それじゃ、二階へGO
 この調子でさくっと殲滅だ」

 早朝の奇襲をかけたのが功を奏したのか順調過ぎるくらいに順調。ラスボス――なんてほど大層なものはいなかろうが、次でラストだろう。階段を先に上がってもらうように促した。