2020/04/09 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にカーレルさんが現れました。
カーレル > そろそろ陽も落ち夜の闇が迫る頃
野菜や肉、魚を売る露天が店を片付け始め変わって、軽食や酒、土産物なんかを売る露天に変わっていく
陽が高いうちに方々色々なところに顔を出してみたものの、本日はあいにく仕事を手にすることは出来ず
ふらふらと日持ちのする食料品なんかを買いながら露天の並ぶ通りを歩く
店じまい間際の露店主が持ち帰るより売り切ってしまえ、とほぼ捨て値で商品を進めるものだから、
必要のないものも買ってしまっているような気がする…抱えた紙袋にはあれやこれやが押し込まれている

「…いや、そんなには要らないよ
 独り身だしそんなに買っても食いきれない…」

良いから良いから、と押し付けるようにサービスしてくれる店主が差し出す包みを受け取り代金を支払う
商売上手…というよりは、だいぶ大雑把な店主であった。ありがとよー、という店主の声を背に再び歩き始める
抱えた紙袋はずしりと重く、しばらく買い物に出かける必要な無さそうであった

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にティアフェルさんが現れました。
ティアフェル > 「――もう一声!!」

 店じまいを始めた売れ残りはすでにセール価格でどこもかしこもタイムサービス状態だったが――それをもなお、値切ってくるシビアな客がいた。

 主にナッツ類や果物を売る露店で、売れ残った少し痛んだ苺の山を更に値切り、店主は渋い表情で、これ以上負からん……と呻いていた。

「だって、これって下の方潰れてジュースになってる。残りはぜーんぶ引き取るから、もう一声負けてよ」

 しつけえ女は、黙っていてもサービスしてもらったし何なら量が多すぎると困るその男性とは対照的に、ガツガツ食い下がる。
 位置的にはちょうど彼の進行方向を手前の右手にあたる店だ。
 
 もうそろそろ店を畳んで一杯ひっかけたい所なのに、最後の客が無茶な値切りを吹っ掛けてくるので、店主は顔に『疲労感』と表示して肩を落としていた。負けるのはいいが原価割れはツライと。あと、客のいい値で売るなんて商売人の名折れ、と頑固になかなか譲ってくれない。

カーレル > 「そんなに買っても食いきれんだろう…」

聞き覚えのある声に足を止めた
正確に言えば彼女と店主とのやり取りで周辺の人の流れが少し緩やかになっていたのかも知れない
流石に声を上げて店主とやりあっていれば何事かと足を止めずとも視線はそちらに向かうだろう
自分もはじめはその口だった…声の主がスズキを釣り上げた少女であったから態々足を止めたのだ

「親父、そっちの売れ残った果物も引き取るから、苺まけてくれや」

彼女の背後からあれとこれとそれ、と売れ残った果物を指差し店主に示して
ほら、と自分は売れ残ったリンゴやら何やらを引取ってその代金を支払う
果物の使い道は思い浮かばないが、スズキをご馳走になった借りを少女に返してやる程度の事はしたい

ティアフェル >  盛られた苺は潰れた分を含めても一抱えくらいはある。
 もちろん一度に全部食べるためではないので、加工目的も範囲に入れての買い占め。夕方のこの時間は値切りのアタックチャンスと捉えている女は、予算以上はビタ一文出さないと決めて、1ゴルド単位で交渉していたので。そろそろ店主も疲れてきた。もうどうでもいいか――と粘る客に嫌気が差してきた頃――天啓にも思える鶴の一声がかかった。

「えっ? あ……っ、あー! ええっと、えええっと、釣りキチ……じゃなかった、カ、カー……カーレルさん?」

 不意にみみっちい交渉の最中に響いた声に振り向くと、こちらの値切りに加勢してくれる一言に、店主は即座に応じて、先ほどまでのげんなり顔は影を潜め、イイ笑顔で商品を包むと代金を受け取って毎度!と応じた。
 こっちは、苺の代金を払いながら、すでに色々買い込んでいる様子のそちらを見て、

「ありがとー。悪いわねえ。ほんとにいーの?」

カーレル > 「よう、ビギナーズラックスズキちゃん……じゃなかった、ティア、先日はご馳走さん」

釣りキチ、なんて呼ばれるのであれば助けるのではなかったか、と思わぬでもないが既に遅い
せめて、とわざとらしく彼女の名前を間違えてからしゅたっ、と手を上げて軽くご挨拶
それからずしりと重い紙袋を抱え直した

「別に良いよ、この前、ご馳走になったお礼だと思ってくれ
 ……で、そんなに苺買い込んでどうすんだ?いくら何でも腹壊すぞ?」

年頃の娘に対して酷い言いようであったかも知れない
しかし、売れ残っているとは言え、一抱えほどもある苺を1人で食べれば常人であれば腹を壊しそうなもんである
彼女が支払いをしているのを一目見て、ありがとよ、と店主に声をかければ
答えも聞かずに先にぽてりぽてりと歩き出す
長居をすればまた余計なものを買わされそうな気がしたから

ティアフェル > 「誰がスズキか。変なあだ名つけんな。――いいええ、こちらこそー。タダでお手伝いしてもらってすみませんでしたねえ」

 釣りキチの仇がスズキで返された。続けて読むと安いコンビみたいでイヤすぎる。こちらも、つられたように、シュッと片手を挙げてご挨拶に応じ。そして手持ちの買い物かごに沢山の苺を詰め込まれて、にやけながら「ありがとねー」と受け取った、店主は笑顔で毎度と云いながら目で『もう来んな』と語っていた。

「お礼なんて恐縮ねえ、どーせ食べ切れないくらいあったし……。
 あ、これ? まず、潰れた所はジャムにするでしょ、それからコンポートにして、リカーで漬けて……後はババロアにゼリー……タルトもいいけど、手間がかかるからなー……」

 全部いっぺに食う訳ない……3分の1くらいなら行けたかもしれないが。
 会話しながらであったので、何となく店を離れる隣を歩きつつ。そちらの戦利品も覗き込んで。

「そっちも大量じゃない。『腹壊すぞ?』」

 彼の言葉尻を真似て目を細くしながら云いやり。

カーレル > 「どの口が言うか…―――いや、俺も中々面白かったよ」

先に手…でなく口を出したのは果たしてどちらであったか
その健康的に膨らんだ胸に手を当てて思い出してみるが良い…
自分で手を当てるに問題があるのであれば、手伝わぬでもない

「いや、そりゃそうなんだけど…後で恩着せがましくされても面倒だし
 ……それって結局、全部自分の腹に収まるんじゃねえか
 食べてくれる良い相手でもいるのか?」

食事しながら聞いた所によると冒険者らしいから意外と交友関係は広いのかも知れない
まあ、この年頃であれば恋人の1人や2人位、いるのかも知れない
色気がある会話、というよりはまあ世間話…そんな聞き方であった

彼女が抱えた紙袋の中を覗き込んでくれば、少し下ろして彼女の視線の高さに合わせてやる
別にご禁制品を買っているというんではないから、見られた所でどうってことはない

「…そうかもしんねえな、あと真似すんな。
 なんなら、うちで夕飯食っていくか?男の……あー、おっさんの手料理でよけりゃ、だが」

随分と押し付けられてしまったから腹を壊すかどうかは別として食材をダメにしてしまうかも知れない
冗談半分にそんな事を聞いてみる…この年頃なら健啖であろうし助かると言えば助かる

ティアフェル > 「この口以外の口がどこにあると? ……っはは。意外に心が広いね」

 余計なことを云う口は、心が広いとだけ誉めて置けばよかったものを。そこで済まない。軽く笑いながら揶揄って。
 籠を抱えた手はどこにも当てる気も素振りもない。

「あんた、わたしがどれだけ厚かましいと感じてらっしゃる?
 んなことないよ、ジャムとかおすそ分けとかするつもりだし、デザートも下宿先で配るよ。さすがに多いっしょ。
 値切りも手伝ってもらったし、カーレルさんもお裾分け希望なら応じるよ?」

 苺は大好きだけど、全食いしません。そこまで浅ましくないやい、と元気なアホ毛を振ってご説明。
 恋人の有無など振られた日にはセクハラ発言と捉え、ここぞと訴訟を起こすと脅す。1ゴルドにでもなれば儲け。

「真似するなと云われるとしたくなるのが人情……。
 えー? いーの? じゃあそうする。まだ晩御飯決まってなかったし。――なに作るの? 邪魔になんなきゃ手伝うよ?」

 タダ飯はこっちも即乗る。うんうん、と気軽く首を縦にして。
 お手伝いを申し出るのは、お役に立ちますというより、待ってるの暇。というせっかち精神で。

カーレル > 「…ポケットに押し込んでおいて都合よく忘れたんだろ。―――流石に海ほどではないよ」

なんとも言えないやり取りの応酬であった
何処と無く楽しそうでいるのは故郷の妹を思い出させるからかも知れない

「さてねえ…女1人で冒険者稼業するにゃ厚かましい位じゃないと苦労しそうなもんだけど
 …ああ、なるほどね、ティアってアレだろ田舎育ちだろ?王都だとそう言うの嫌がる奴とかいねえの?」

冒険者がどんな生活を送っているか詳しくはないが、何となく田舎っぽい風情と言うかそんな名残を感じる
自分も都会育ちではないから、近所から獣肉であったりとか、家庭菜園の収穫物であったりとか、
そう言うものを母が貰ったり分けたりしていたのを思い出す

「…誰も聞き入れやしねえよ、そんな訴え
 ―――ああ、っとそうだな、野菜と魚のスープと腸詰め焼いたンと後は…塩漬けのキャベツ…そんなトコだな
 先、階段上がってろ、猫が飛び出してくるかも知れないから気をつけてな、踏んだりしたら殺す
 これは冗談でも何でもなくマジで」

いつしか平民地区と貧民地区の境目の辺り
武器工房の二階に続く階段を指差して彼女を促す…自分はその辺りに自生してる野草…と言うよりハーブを幾つか
摘み取ってから彼女に続いて階段を登っていった…扉を開ければ狭いが割りと小綺麗な部屋であった
簡易なキッチンにベッド、それにソファとテーブル…小綺麗、と言うよりはシンプルと言ったほうが正しい

ティアフェル > 「どんな口よ、財布の口じゃあるまいし。そうね、ため池レベルですかね?」

 海程じゃないという科白に池くらいの心かと図る。水たまりな心の持ち主。不毛な会話を無駄に落として。

「わたしは数少ない謙虚な女性冒険者として評判ですけど。ええ。
 ……い、田舎って程でも……そんなに見知らぬ人には配らないし。てか、都会は逆に下手すりゃ地方出身者の集合地帯よ」

 富裕地区ならともかく。冒険者は流れ者も多いし田舎者だって珍しくはない。都会育ちではないのは間違いないので、ぼそぼそとなんとなく云いづらそうに目線を反らしながら呟き。

「誰かは聞くわよ、多分。……物好きが。
 うーん。いいねえー。お腹空いて来ちゃう。キャベツ大目に欲しい。
 猫? 猫がいるの? わああ……踏んだりしないわよ、猫好き。 触らしてくれる子? いやな子なら見てるだけにする」
 
 今日のおかずを聞いてお腹を空かすし、猫と聴けば表情が明るむ。犬以外は基本動物好きである。猫は人懐っこい子だったらいいなあと夢見る。いきなり触り出すと嫌がるだろうから様子を見て構ってもらおうと決め。
 そして、工房の二階のご自宅に案内されて階段を上り、
「お邪魔しまーす。……猫、なんて名前? 今いるのかなー?」

 ごはんより心は猫になった。室内が片付いてることも感心する前に猫に興味。取り敢えずキッチンの方を見ると、持っている籠をどこか置いてもいいかと尋ね。

カーレル > 「王侯貴族ってんじゃないから、まあそんな所で十分だろ」

ため池にも様々あると思うが彼女が想定しているため池がどれほどのものなのか自分にはわからない
判らないがまあ…彼女の事なのでそう広いというわけではないのだと思う

「本当に謙虚な冒険者は自分じゃ謙虚なんて言わねえよ
 言い淀む所見ると当たりか…まあ、そんな雰囲気だもんな…
 やっぱ、一緒に仕事受ける連中なんかに分けたりすんの?大変だねえ、冒険者の渡世も」

目線を反らし言いづらそうにする様子に笑い声を零す
彼女の言う通り地方出身者の集合地帯であれば、言いづらそうにする必要もないような気がする
自分も王都よりはずーっと田舎で産まれたので気持ちは判らぬではないけれど

「物好き集めて訴えても仕方ないだろ…
 はいよ…キャベツ多めな…大したもん出せねえけどたんと食ってけ、腐らすよりは余程良い
 どうかな…そんなに気難しい方じゃないから触るくらいなら平気なんじゃねえかな」

元は捨て猫、小さい頃に拾ってずっと自分が育ててきたからどちらかと言えば人懐こい方なのだと思う
…自分が人間だと思っている節があるので触るくらいであれば大丈夫なはず

階段を上がって部屋に入り、とりあえず紙袋をテーブルに置いた
コートをコート掛けに掛けて、腕捲くりをすればキッチンで手を洗い軽く口を濯いで

「猫なあ…名前?アメリだよ……えーっと、ほらそこ棚の上にいる前足白靴下…そいつ」

指し示した棚の上からじーっ、と彼女を見つめる金色の瞳
黒い毛並みに前足に白い靴下を履いたような猫が鎮座している
人懐こいから彼女が呼べば彼女のもとへ向かうのだろう

と…まあ、彼女は放っておいて
自分はさっさと紙袋から今夜の食材を取り出して野菜を洗ったり皮を剥いたりしはじめる
彼女と同様に自分も腹が減っている…仕事が空振りであったから尚の事だ