2020/03/26 のログ
■パティ > まるで御伽噺の中の盗人のように、建物の屋根から屋根を身軽に跳び移る小柄な人影。
その最中に荷物の届け先を地図で確認し、目当ての屋敷の前に降り立つ。
身長より長い金属の杖の先に取り付けられた金属の連環がシャランと音を立てた。
門番に頼んで使用人を呼んで貰い、頼まれた品物と書類を手渡し、書類にサインをしてもらってから受け取る。
ぺこりと一礼して、その場から駆け去り、次に足を止めたのは入り組んだ路地の途中。
「……っふう!」
一息ついて、配達用の鞄に括りつけられた水筒の蓋を外し、ほとんど水に近い果実水を飲む。
口元を手の甲で拭って、道の脇に積まれた木箱の上に腰を下ろした。
富裕地区とはいえ、入り組んだ路地裏ともなれば全く人影も無いが、配達人にとっては慣れたもの。
今日の分の仕事を終えたささやかな満足感に浸りつつ、その場で疲れを癒して。
ご案内:「市街地」からパティさんが去りました。