2020/02/06 のログ
ご案内:「平民地区 酒場」にジェルヴェさんが現れました。
■ジェルヴェ > (人で賑わう夜の酒場。一般市民や冒険者、傭兵にゴロツキに花売りにと、カウンター席から見渡すかぎり客層は多様を極めているようだ。
口許でショートグラスを傾けながら、繁盛した店内の様子から背を向ける形で男は正面のマスターに向き直る。)
「…なァ、いいコ居ないの?」
(硝子の中で丸い氷がカラリと揺れた。喉を通る琥珀色の蒸留酒、その酒気を吐息交じりに放つ男の問い掛けに、マスターは大層怪訝な顔つきでこう返す。
『居ねェよ馬鹿。何しに来てんだ馬鹿。』至近距離で振りかぶり投げ付けられた礫の如き毒を浴びつつも、男はけろりとした風体で飲み干したグラスをマスターに差し出して)
「酒飲みにだよ。
ついでに優秀なウエイトレスのヘッドハンティング」
(ウイスキーおかわり。催促で締めくくる男の顔を暫しじっと眺めたマスターは、やがて抱えた様々な思いを一つにまとめ凝縮したかのような溜息と共に、注文の用意に取り掛かっていった。
―――平民地区のある酒場。ギルドが近いためか大通りに面しているからか、何の変哲もない安酒場は今宵喧噪で溢れていた。
と言っても、この客入りがこの店の通常営業なのかもしれない。時折ふらりとやってくると、大抵決まってこれくらいの盛況ぶりだったような気もする。
羨ましいような、そうでもないような。ともかく、この男が商う店とは客層も客入りも随分違う事だけは確かだった。)
■ジェルヴェ > (酒が注がれるのを待つ間、男は気を抜かしきったような顔を頬杖に預け、小皿から小さく砕かれたチョコレートを一粒摘まんで口の中へと放り込む。
どうやら自分は座る席を間違えた様だ。配膳や客からの呼び声を聞きつけるたびにカウンターとホールを忙しなく行き来するウエイトレスの姿を視界の端に捉えながら、三杯目のウイスキーを空にした今にして静かに後悔した。
カウンター席のスツールに腰掛けて状態を楽に預けたこの姿勢からでは、視線の高さが平均的に言って丁度女性の胸元だ。なので他意はない。断じて他意はないのだが、働く彼女らの動作に合わせて揺れる襟元のリボンタイが兎角目を惹いて仕方ない。
例えば、一人だからと気を利かせてカウンター席を選んだりしなければ。マスターが酒を造る作業台の真ん前に座りさえしなければ、きっと自分の元へ注文を運んでくれたのはあの、華やかな笑顔を絶やさぬ彼女たちの内誰かだったろう。)
「ええ、あのコ可愛い。週2、3でウチ来ねーかな」
(ウエイトレスの品定めに走りかけた視線。独り言というよりは元々マスターを世迷言に付き合わせるつもりでいたのだが、『ありゃ俺の娘だぶっ飛ばすぞ』とウイスキーのグラスを雑に置くと共にドスの利いた声が返ってきたので、今度は男が深く長いため息を吐いた。驚愕と落胆の入り混じった様相を、”あのコ”とは似ても似つかない凝り固まった強面に向けた後で。)
■ジェルヴェ > (娘さんを僕に下さいと父親に頭を下げたような気分だ。きっと世の青年はこんな心持なのだろう。多分。
渋い顔で出されたウイスキーを煽る。一口、二口。満たされていたグラスをすぐに半分程まで減らしてから、へらへらとした薄ら笑いでマスターに娘の名前を聞いてみた。即座に鋭い眼光を食らう。男の笑い顔は可笑しそうに濃くなった。)
「―――…いや、探してんのは本当。
でもどうせなら可愛い女の子雇いたいじゃん。ひらっひらのエプロンドレス着せたいじゃん」
(入店してから続くマスターとの掛け合いの中で、続く世迷言のうち一つの話題がこれだ。店の名前もなければ品もない、売上の波が激しく極めつけは一際治安の悪い地区にある酒場の非正規従業員の雇用について。
考えていると言う男の口振りは緩く、妄言のような願望しか吐かないばかりか、会話の最中にも近くを通るウエイトレスににこやかな笑顔でひらひらと手を振っている。
一体どこまで本気なのか。男の横顔へ、マスターの呆れ返った視線が注がれた。
―――平民地区のある酒場。変わらぬペースと顔色でグラスを煽り続けた一人の男性客が、その日帰宅までにマスターの娘という女性店員と接点を持てたかどうか。
変わりない日常のほんの一幕、知るのは当人達のみである。)
ご案内:「平民地区 酒場」からジェルヴェさんが去りました。
ご案内:「宿屋」にユネさんが現れました。
■ユネ > (ごそごそと布団を手繰る。細い手がカーテンの端を引っ張ってみれば。どうやらすっかり日も高い時間。
仰向けになれば、軽く額に手を当てて――どうにかこうにか、記憶を呼び覚ます事が出来た。
昨夜。酒を飲んで、意気投合した人物と。勢いその侭この宿に雪崩れ込み。
一戦交え…いや、二戦、三戦だったかもしれない。
ともあれやるべき事というか。ヤりたい事をやって、眠り込み…ご休憩がその侭、ご宿泊になった、らしい。
其処まで状況把握が出来たところで。手探りで捜してみた服は…多分、ベッドの下にうっちゃられた侭。届きそうにない。
それならそれでまぁ良いかと、欠伸混じりに決め込んで)
「ぅ、ん……ほら。ほら起きて。……もうちょっと、…してこ…?」
(代わりに。直ぐ手の届く場所。隣で寝ているであろう、昨夜のお相手を。軽く揺すってみる素振り)