2019/11/05 のログ
ジェイ > 黄色い談笑の声音で、彩られる性玩具店内。
二人の少女の談笑が響いているところから、棚をひとつ挟んだような場所。
お互い視線を向ければ、棚越しに視線が触れるだろう場所。
――そこは様々な媚薬が並んでいた。
そしてその媚薬の瓶を、ひとつずつ、手に取って確認している男が一人。

「………これは効果が大人し過ぎる。流石に、中々ないか。」

呟く独り言は、静かなで、冷静なそれ。
まるで薬品を吟味する科学者か、医者のような色合い。
――尤も場所が場所だ。格好がつかないのなんて百も承知だ。
此処に来た所以は、実益とあとは依頼に依るもの。
放蕩貴族からの、愛人に使う道具を買ってきて欲しい。できれば効果を確かめて――なんて依頼。
自分自身はこういう薬品や道具の知識が不足しているなと思った次第。
それ故、彼女達とは別の意味で似合わない場所に来ていた。
――と、響く笑い声に上げる視線。金色の眼差しが、少女たちを何気なく見る。

「――ああ、君達か。」

ぽつり、と呟いた。
夜桜のような桃色の着物と、漆黒の髪の娘と、その友人。
幼い少女と、妖艶な女が入り混じったような紫色の瞳を持つ、彼女。
時折立ち寄る、酒場で近くに座ったことがあっただろうか。
あるいは、酒を酌み交わしたことがあったかどうか。
――そこは、相手の記憶次第というところ。

月詠 > (鬼の少女の友人――その見目はといえば背丈が低く、どこか子供らしさが抜けきらない。けれども、その所作や雰囲気がどこか妖艶な・・・少女と女性が入り混じった言わば成長途中の少女、という雰囲気の鬼とは裏腹にその鬼が友人、と呼ぶ女性は成熟した大人の姿をしていた。
白い肌をした鬼とは対照的に褐色の、エキゾチックな肌色。夜のような黒髪をした鬼とは対照的に、雪のような銀髪。背丈も高く、踊り子のような自身の肉体を見せつけるように露出した衣服を纏う非の打ち所のない成熟した女性、といった雰囲気を持っていた。

君達か、と呟く彼の声は不思議と響いた。はた、と二人の少女は言い争いをやめて、彼の方へ向こうか。
鬼の少女は顔にえぐい玩具を突きつけられ、それを拒絶し、もう一方の友人はその鬼へえっぐい玩具をこれどう?どう?と押し付ける、あんまりな姿であったが。)

あら、どこかで会った事でもあったかしら。

(酒の席にて飲み交わしたかどうか。はて、いまいち相手の顔は記憶にない。名前も知らない誰かと飲み交わす、なんて日常茶飯事であったし、彼もその一人であったかもしれない。
あいにくと少女の方は覚えがないようで、彼の方を見つめながら小首をかしげて。)

ジェイ > 二者二様の美女――その行動に目を瞑れば、だが。
夜のような黒髪と、雪嶺のような銀色の髪の毛。
背の高い成熟した女性と、背の低い少女。
透けるような白い膚と、何処か南国を思い出させる褐色の膚――対照的な二人が、此方を向く。
とりあえず、手にあるえっぐい玩具とそれを突きつける様に目を瞑れば
絵になる光景と表現しても差し支えあるまい。差し支えないのだ。
此方とて、手には様々な胡散臭い殺し文句のついた媚薬の瓶を持っている。
他人のことをどうこう言える立場でも状況でも場所でもないが。

「ああ、やはり覚えていないか。
 この間、燃える黒兎亭で、酒を飲んだが――確かに自己紹介もしていなかったな。
 二人とも随分酔っぱらっていたようだし。」

平民地区にある酒場。
扇情的な踊り子――たまに酔っぱらった女性客も舞台で踊るのが特徴の店をあげる。
それで記憶が呼び起こされるかどうかはわからないし、どうでもいいといえばどうでもいい。

「自己紹介に相応しい場かどうかは置いておいて、改めて名乗っておこう。ジェイだ。
 ――ところで、それ買うのか?」

薬の瓶を棚に戻せば、軽く帽子を取って挨拶してみせる。
そして添えるのは鬼の少女の頬に押し付けられている玩具。
一瞬、何に使うのかわからないそれだ。
何方向にも生えている男性器を模した道具が、どんな悪魔的な動きをするのか。
興味を抱かせるものといえば抱かせるもの。

月詠 > (二人とも、その性格と在り方にさえ目を瞑れば多くの人間が振り向く美女、と言って差し支えないだろう。その二人が映る絵だ。さぞや映える絵となるだろう。・・・ただ、シチュエーション的に題材は春画となるだろうが。)

燃える黒兎亭・・・あぁ、たしかにそこならこの間行った覚えがあるわ。
それじゃあ改めて。私は月詠。よろしくね、ジェイ。
あ、コレは色魔。

(ぴ、と親指で差すのは鬼の少女が友人と呼ぶ少女の姿。そんなあんまりな紹介をされれば、当然その友人もそれはひどくない?なんて抗議の声をあげようか。その後、なんやかんやと軽口を叩きあった結果・・・名前はアヤメ、というらしい事が青年に伝わっただろう。)

さて、ね。あれはあの色魔の買い物だし。私はただの付添だから知らないわ。
そっちこそ。そんなえっぐい殺し文句の入ったお薬持って。なぁに?意中の相手でもそれで惚れ殺しに行くの?心が手に入らないなら、身体だけでも、ってやつかしら?

(なんてくすくす微笑みながら青年に声をかけよう。もし、意中の相手がいて、それで腰砕けにするつもりなら・・・是非とも話を聞きたい所だ。

・・・なお、アヤメ、と名乗った少女が持っていた玩具は鬼の少女が青年をからかいに行ったその一瞬の隙にふらり、と離れて会計を済ませてほくほく顔で戻ってきたらしい。
そのえっぐいディルドだけに飽き足らず、えっぐいアナルパールや拘束具、怪しい玩具やら魔道具やら色々買っていったらしいが、鬼の少女はそれに気づいた様子はなさそうだ。少女の心は今友人にからかわれた腹いせに青年をからかおうとそちらへ向いていた。)

ジェイ > 絵になる光景だ。
表現する言葉はそれだけで構わない。極上の美貌をもつ二人。
手に持っているもの、押し付けられているものは些細な問題、ということにしておこう。

「なるほど。いや、成る程――月詠に……」

そこでいったん途切れる言葉。
なるほど、言い得て妙だ。と浮かんだ感想は口にしないでおいた。
二人のやり取りは微笑ましいというべきだろう。
「―――アヤメか。よろしく」という言葉を添えるまでにかかった時間が惜しいと思わない程度には。

「残念ながら、俺が使うためじゃない。
 こういうものを手に入れて来てくれ、という依頼があってね。
 心が手に入らないなら身体だけ、というのは間違ってはいないだろうが。
 効果に興味があるのは、否定はしないがね?」

くすくすと、笑う少女の揶揄る声に軽く言葉を返してみせよう。
少しだけ、唇に苦笑めいた色合いを宿した言葉だ。
その所以はからかって来る鬼の少女に向けたものであるし、一瞬だけ、鬼の少女から逸れる金色の眼差しの先にもある。
そこに映ったものを口にしないだけの分別、優しさ、好奇心――なんだろう。
ともあれ、玩具と魔道具と、もう何に使うのかわからないものが詰まった袋を持った女の姿。
「我得たり!」とでも言うような顔をした彼女には何も言及はしなかった。

「………ああ、そうそう。ここには試遊室もあるそうだな。
 買ったものや、買う予定のものを試させてくれるらしい。」

思い出したような口調は、どちらに向けたものか。
視線だけは鬼の少女に向けて、そう告げる。視線だけは。
くるりと指先が回す薬の瓶には
「塗っても、飲ませても、注射しても大丈夫!聖女でもあっという間に娼婦に変貌!」
なんて言葉をはじめとして殺し文句が語彙の限りを尽くして書いてあった。

月詠 > なぁんだ。つまんない。
それで?あなたはそれ買うの?

(自分が使う訳じゃない、なんて言えば少女はつまらなそうに唇を尖らせる。もし、これが意中の相手がいて・・・、というのなら根掘り葉掘り聞き出して酒の肴にしよう、と思ったのだけれど、そうもいかないらしい。 ・・・彼のような無愛想な男程、そういう恋の話は情熱的で、それが悲恋に終わるというのならば更に面白い、と思ったのだけれど。)

試遊室。そう、試遊室、ね・・・。ふぅん、いいんじゃない?
丁度ここにそういうのが大好きな奴がいるし、その買う予定のお薬の効き目の程、試してみれば?

(――少女が企むのは友人の乱れた姿なんかではなく。友人の乱れる姿なんて見ててもつまらないし。
このぶっきらぼうで無愛想な青年の、乱れる姿である。何買ってきたか知らないけど、アヤメの方はなんか色々買ってたし、道具は揃ってる。ついでに媚薬の方もしれっと青年が買った奴を使ってやればいいだろう。

――この無愛想な青年の乱れる姿が見たい。面白そう。
そんな邪念を元に彼を誘ってみようか。アヤメが買っていたえぐい玩具を彼に使ってみるのもまた一興である。

・・・一瞬脳裏に浮かんだその玩具を使われてよがり、乱れる自分の姿は頭から振り切って。
ぺろり、と獲物を見つけ舌舐めずりしつつ、鬼は青年を誘惑し。)

ジェイ > 「悪いな。残念ながら自前で間に合っている。
 これは参考になるし、他に適当なものもないから――買う予定だが。」

つまらなそうに口を尖らせるのに、片眉をあげて詫びる。
酒の肴は提供できそうにない。
提供してもらう側になるかどうかは――この後の手運び次第だろう。
だから、次いだ提案にはあっさり頷いてみせよう。

「そうだな。確かに、ちょうど良い相手かも知れないな。
 “お礼に一杯奢るから”お付き合い願えるだろうか?」

自然と零れる誘い文句。
その言葉の向かう先は、目の前の鬼の少女へと向かっている。
けれども、褐色の女性は気付いてくれるだろうか。
言葉に含まれた意図に―――どちらでも、構いはしないのだけれども。
不愛想、と評される顔が、刹那だけ笑みを浮かべる。
本来、獲物を見つけた肉食の獣がするような、穏やかな。

「では、月詠とアヤメ、先に行っていてくれるか?
 俺はこれの会計を済ませてから後を追うから。」

ところで、鬼の少女は気付いているだろうか。
男が指で回していた瓶。ちょうど掌に隠れている部分に。
「密室で散布するのもおすすめ」なんて一言が書いてあったことに。
尤も、それを見せるつもりなんて毛頭ないから
瓶を握りしめて、会計へと向かっていくのだけれども―――。

月詠 > へぇ。ふぅん。 ・・・いいんじゃない?

(くすくすと面白そうに笑う姿は新しい玩具を見つけて喜ぶ子供のよう。
何かを企んでいることを隠そうともしないのは鬼、という強者の余裕か慢心か。

そして、青年が付き合って欲しい、なんて言えばアヤメはいいよー、と気楽な笑顔を浮かべて承諾するだろう。月詠はそういうことは嫌いじゃない、というスタイルであるがアヤメの方は大好き、というスタンスである。相手は無愛想でこそあれどいけめんであることだし、断る理由はアヤメの方にはなくて。
先に行っておいてくれ、と青年から言われれば二人の少女は軽く手を振って先に試遊室の方に向かうだろう。
彼の耳には届くだろうか。そこへ向かう最中、詠も一緒にやろうよー、という女性の声と気が向いたらね、と適当にいなす少女の声があったことを。
・・・そんな風に少女は言うけれど、参加する気は満々である。
無愛想な青年。その顔を快楽に歪めるのはぜひ自分の手でやりたい。面白そうだもの・・・。

――青年が見つめる、媚薬の効果範囲は気がついた様子もなく。)

ジェイ > 強者の余裕で終わるか、慢心で終わるか。
それはどちらも同じことだろう。アヤメの方があっさりと頷くのを見る。
無表情の下に隠れた捕食者が喰われるか、喰うか。
いずれにせよ、悪くは無いだろう。あと数手打っておけばあとは運次第。
そして、月詠と共に歩いていくのを見送る。
狭間で零れる二人の会話に、また少しだけ笑ってみせれば、帽子をかぶり直す。

「さて――それじゃあ、この薬を――」

店員に試遊室の予約と、室内に媚薬をたっぷり散布してくれという依頼をひとつ。
効果がきちんと確認できれば、定期的に購入してくれる得意先を紹介する。
そんな条件まで付け添えておいてから、二人の後を追いかけるだろう――……。

ご案内:「性玩具店」から月詠さんが去りました。
ご案内:「性玩具店」からジェイさんが去りました。