2019/10/09 のログ
ご案内:「市街地」にメリュジーヌさんが現れました。
■メリュジーヌ > その周辺に人の気配がほとんど絶えているのは、時刻にも原因があるだろうが、
そういう場所──という理由が大きかっただろう。
「こういう場所の方が、存外『穴場』だったり……するのよねぇ?」
と、独りごちるはゆったりした調子で歩を進めている一人の女…
厳密には完全な女ではないが、身も心もほとんどが女ではあった。
■メリュジーヌ > 女が言う『穴場』とは…簡単に言ってしまえば、人漁りの──
であろうか。
欲望の捌け口であった。
そういった相手であれば、春を鬻ぐ者を扱う店に行けばいい、という話ではあるが…
困った事に、女は自分の意のままになる者に食指が動かない。
そうなると、こうして夜な夜な、あちらこちらを練り歩く羽目になる。
これだけの規模の街になると、不用心に独り歩きする者が居ても珍しくない。
ただし、それは自分自身にも言える事ではあったのだが──
■メリュジーヌ > もっと、明らかに治安が悪い場所……例えば貧民街であるとか、
そういった場所で人漁りをした方が、効率は良いのかも知れない。
実際、そういう事もたまにある。
しかしそれは、女にとって売春宿に足を運ぶのと同じ、お手軽に過ぎる選択であり。
あえて、非効率的な…獲物探しに苦心した方が、
労力が実った時の悦びが大きかった。
それ故に、女は下唇を指先で触れ、笑みを浮かべる。
安直に言えば、空腹時の方が食べ物が美味いのと同じ、だった。
■メリュジーヌ > あまり、一つの場所でこういった人漁りを連続して行う事は宜しくない、と言える。
この区画も広い…距離を空ければ、女のしでかした事など話題にすらなっていない。
勿論、こんな無法ばかり働いていたら、知らぬ間にお尋ね者になっている事もあり得ようが……
ともあれ、この辺りは詳しい区画でもない。
何となく、に任せて足の向くまま歩いていると、段々入り組んだ路地の奥へ入り込んでいく…
市街地とは、人がよく利用する通路を一本外れればこういった光景が広がるものだ。
この先に何が待ち受けているのか、胸の裡をさざめかせ──
ご案内:「市街地」からメリュジーヌさんが去りました。