2019/03/15 のログ
ご案内:「王都マグメール/宿屋「銀の滴」」にサウラさんが現れました。
■サウラ > 夜はどこにでも訪れる。王都の一角にある娼館通りにも。
部屋の窓を開け放ち、その窓枠に身を凭れ掛けさせながら、
人のざわめきで溢れる眼下の通りへと視線を向けていた。
己が居るのは宿屋の2階の筈だが、
この通りでは、宿だろうが娼館だろうが同じ役割を果たす。
ただ宿泊料を支払いひとりで使うか、一夜の夢込みの宿賃であるのか。
違いといえばそれくらいだ。
身に纏うのは普段の服ではなく、
膝下よりも長いゆったりとした黒のガウンローブ。
夜風の冷たさからいけば、己の姿はかなり薄着といえるけれども、
ほかの窓辺から誘う声を向けている娼婦たちは皆、諸肌露な姿だ。
厚着なぞしていたら、自慢の商売道具が隠れて仕舞うからだろう。
己がこの宿を選んだ理由は単純で、
ベッドに蚤が居なくてシーツが清潔だからだ。
遠征での野宿では平気で砂塗れ埃塗れにもなれるのに、
人の街に居ると我慢ができなくなる。不思議なことに。
■サウラ > 冒険者風の男が娼婦と腕を組んで宿の戸口を共に潜る姿もあれば、
人目を忍ぶようにローブを纏う人影が、通りを逸れて路地へと消えていく姿も、
通りの端に佇んで煙草を燻らせ、窓辺の娼婦に品定めの視線を向ける者も居る。
彼女達と同じように窓辺に居る己にも値踏みの視線が絡むが、
種族的に少数派の己は見られることに慣れている。
人の通りは絶え間なく、交わされる会話も途切れることがなく、
どこかの辻では流しの楽師が竪琴だか何かを挽きはじめて、賑やかだ。
人々の浮ついた空気に触発されたせいでだろう、ふっと口許が綻ぶ。
■サウラ > 身を起して窓辺から離れる。開け放った窓は今はそのままに。
窓を閉めたぐらいでは嬌声や人いきれは締め出せやしない。
閉めきるのは眠る直前でもいい。
ワインかラムでも寝酒に舐めながら、今日の疲れを癒すとしよう――
ご案内:「王都マグメール/宿屋「銀の滴」」からサウラさんが去りました。