2019/03/10 のログ
ご案内:「王都マグメール近辺」に玉藻さんが現れました。
玉藻 > 王都マグメール近辺にある、そう大きくもない森林地帯。
そう目立たぬ輝きが起こるも、それは、誰の目にも留まらぬままに消えてゆく。
それと同じくして、誰に気付かれぬ事なく去って行く人影。

そして、残されたのは…

「むぅ…そろそろ、到着するはずなのじゃが…
まだ、宿は見えんのか…?」

がさり、草を掻き分け現われる、一人の少女…幼女?
ただ、よく見れば、狐を模した耳と尻尾も見えるか。
この世界ならばミレー族と勘違いされるか、そんな装飾を着けた変わり者か、そんな感じに見えるだろう。
だがしかし、それは違う、これでも立派な妖狐である。
………もとい、立派をか弱いと訂正しておこう。
まぁ、雨に濡れ、今はぺたーっと張り付いて微妙な見た目だが。

もう少し前進、そうすれば、眼下に見えるのは、王都マグメールの姿。
それを目にすれば、ふぅ、と大きく吐息を吐いた。

「おぉ…やっと見えたのじゃ。
………しかし、聞いてたのとは、かなり違う気がするのぅ」

この瞬間、どこぞで誰かが一時的に、その姿を消した。
なぜならば、遠い過去の存在であろうと、同じ存在は同一の世界に存在出来ない。
それに関しては、別に気にしなくても良いだろう、気にするだけ無駄でもあるし。

玉藻 > 幼女は、がさりと懐から一枚の紙を取り出す。
そこには本来、目的地である宿までの場所から、世話になる部屋から、色々と書いてあった。
………はずである。

それを広げようとすれば、べたぁ、となにやら張り付いてて、広げ難い。
当然だ、懐に入れたままで雨に濡れているのだから。
だが、本当の問題は、そこではなかった。

広げた紙に、視線を落とす。
そして、沈黙。…長い長い、沈黙の後…

「こんなもの、よめるかあああああぁっ!」

ぐしゃーっ、と紙を握り潰し、べしゃーんっ、と地面に叩き付けた。
紙に書いてあった内容は、見事に濡れてぐちゃぐちゃ、解読不能だったのだ。

「ま、まぁ…あの宿?に向かえば、後は何とかなるじゃろ」

今だ、見える王都を宿と勘違いしている幼女。
掻き分けた草むらから出でれば、向かい歩み始めた。

玉藻 > 「ふふんっ、ここからが、妾の伝説の始まりとなろう。
見ておるが良い、いずれ母様を越えてみせるのじゃ…!」

ぐっ、と小さな握り拳を振り上げる。
宣言と共に、だっ、と駆け出し…

「ん…?…わ、わ、わっ…うにゃああぁっ!?」

べしゃーっ、水溜りに足を滑らせすっ転んだ。
しかも、ここは下り坂、滑った勢いのまま、ずざざざざぁっ!と滑り落ちて行く。
幼女の姿は、そのまま、再び先にあった茂みの中へと消えていった…

ここで幼女が学ぶべき教訓は、雨の日には走らない、である。

ご案内:「王都マグメール近辺」から玉藻さんが去りました。