2019/01/03 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区/西はずれの居酒屋」にぼたんさんが現れました。
■ぼたん > 王都の平民地区西はずれ、雑木林が少し近かったりもする一角にある、軒先に提灯の下がった小さな居酒屋。
時刻は夕暮れ、普通の居酒屋ならば店を開け始める時刻だったが――
「………うう、身体痛い…」
店内では店主である女が、カウンターの客席側で突っ伏している。じつは店は一昨日の夜に夜通し営業。おかげで、昨日の夜最後の客を送り出した後気絶するように眠り込んで、店ののれんも提灯も出しっぱなし。早く一旦引っ込めるとかしないと、次の客が来てしまう頃合いになってしまった。
「あァ…せめて、座敷で寝ればよかったね…」
妙な体勢で寝ていたせいで、背中やら首がぎしぎしと言う。カウンターに突っ伏したまま泣き言を言ったって、誰かが応えてくれるでもなし…
■ぼたん > 幸い、接客途中にこまめに片づけもしていたし、長尻していた客は常連客であったこともあって、洗い物は徳利とお銚子がいくつかだけ。
それさえ片してしまえば、今日はもう客に『おつまみしか出さない』と断って営業することもできる―――どうせ頼まれれば、嬉々として料理をしてしまうのだろうけど。
半身を起し、ぼやんとした思考で自分の店を見渡して後頭部に何となく手をやれば、獣の耳が出しっぱなしだ。
(まァ、良いか…)
そしてもう、しまう気も無い。いい加減、ご近所に知り合いもできたし、おいそれと急に売られたりはしないだろう…多分。
ついでだ、だぶだぶのサルエルズボンに手を突っ込んで、黒い厚ぼったい尻尾も引っ張り出してしまおう。
■ぼたん > 尻尾の付け根、半分尻が覗きそうになっている所、セーターの裾を尻の下まで引っ張って隠す。そうして猫のように――本性は狸だが――両手を前にして背中を伸ばす。
(さて…お店開けるか、どうしよっか…)
取り敢えずのれんを引っ込めて、提灯だけで釣られる客だけ相手しようかな…などといい加減な営業方針を決めて、のれんを取り込みに立ち上がる。
「おっ、と?…」
立ちくらみ、ではない、二日酔いのせいなのかなんなのか腰が抜けて、ぺたんと座り込む。…これでは流石に。
「…はぁ、情けな……」
ずりずりと這うようにして入口へ行って、扉に縋って暖簾を取り込む。ついでに背伸びして提灯へ手を伸ばして、撃沈。
■ぼたん > 「……もぉ、いい。」
暫く提灯を恨めし気に見やってから、ぴしゃんと扉を閉める。戸の外でふらふらと提灯が揺れる。
やがて、店内の明りが全て消えて、久方ぶりの本当の沈黙が店内に訪れる…
ご案内:「王都マグメール 平民地区/西はずれの居酒屋」からぼたんさんが去りました。