2018/11/23 のログ
■ゼナ > 彼女の相手をしていると、どうしたって意識させられてしまう。
己よりも実力の劣る相手を蹂躙する強者の愉悦を。
己が強いのだと、人間など相手にならぬのだと驕る気位の高い少女を嬲るこの心地は、正しく嗜虐の悦楽という物なのだろう。
ふたなり男根を生やして、同性の肉孔を制圧した時の肉悦にも似た心地。
しかし、それに飲まれてしまった先にあるのは、ゼナの理想とは大きく外れた暴力の化物なのだと思う。
そして、そうした化物は人の心を保つ強者―――英雄に殺されるのだ。
眼前の彼女、言葉を交わしたのさえつい先程が初めてでしかない義理の娘。
それでも、絡んだ時間の長さなど関係なしに愛おしく感じる少女を、絶対そんな風に殺させない。守ってみせる!
そうした決意を胸に抱いたまま、少女の気概を傷つけるだろう言葉を冷徹な表情を保って告げるゼナ。
そして、少女の気配が変わった。人から竜へと。
大気すら震えるかの存在感。
捕食者を前にした小動物の心地。
しかし、そんなものは既に幾度も克服してきた
だからこそ、リカッソから柄へと滑らせた手が、大剣を持ち上げる細腕が形作る『担ぎ』の構えに揺るぎはない。
少女の周囲、歪んだ空間が帯電する。
恐らくは、魔法斬りの効きづらい電撃系の大魔術が来る。ここでそうした魔法を選ぶ戦闘勘には末恐ろしいものを感じる。
奥歯を噛み締め、覚悟を決める戦士娘の身体が、その体内で魔術を回し、対魔法の備えを進める。
「――――来ないなら、こっちからいきますよ?」
構えのまま、一歩、二歩、ジリジリと狭めるその距離感。
無論これはただの脅し。こちらは彼女の魔法に備えるので精一杯。
当然、先打ちの遠当てにて戦いを終わらせる事は出来るだろうが、それは彼女の命を奪いかねない本気の一手となる。もしも上手く意識だけを奪えたにせよ、彼女の全てを受け止めた上で終わらせなければ彼女の傲慢を破壊することは出来ぬだろう。だからこそ待つ。彼女の最大の一撃を。
先程見せた"練気"の絶技が、右肩に担いだ巨大剣の刀身をヴゥゥゥゥゥウンン…ッと小刻みに震わせ始める。
■竜胆 > ――――彼女は、ひとつ勘違いを行っている。
竜胆のの本気というものは、『魔法』ではないのだ。
『魔法』というのは少女の人の中に紛れ込むための手段。
本気というのは、今の竜眼を発動した今の存在。
そして、三姉妹で一番竜としての破壊を持った存在。その反動なのであろう、三姉妹で一番肉体的に劣るのは。
帯電をしているのは、『魔法』の所為ではない。物理的に、自然現象としての雷を発生させている。
彼女は知るだろうか、東洋の竜は雷を引き連れる存在だと。
「雷鳴は、雷声に。雷声は、雷霆に、雷霆は雷光に―――」
雷を選んだのは、東洋の竜の存在というだけではなく、彼女の言うとおり、金属の剣、鎧に相性の良い術を選んでいるだけである。
「噛み砕け。雷帝―――!」
鍵言と共に、放つのは雷の魔術。
少女のてから水平に五本の魔力で練り上げられた稲妻が放射状に広がり、荒れ狂い。
それと同時に、地面から上空に、自然の雷が―――少女の分子操作で作り上げられた雷が昇龍の形に登る。
魔法と物理の雷―――神鳴りをもって、ゼナを攻撃する。
■ゼナ > 「ハァァァァァッッ!!」
少女の手から四方八方に向けて駆ける紫電の竜撃。
本来ならばそれらを吸い寄せただろう巨大な鋼塊は、裂帛の気合と共に放った"弾き"の剣圧によって雷の群を爆ぜ散らした。
しかし直後、ゼナの立つ地面を中心に、持ち上がっていく白光。
「―――――ヅ、ゥ………ッッ!!?」
咄嗟に巨剣を突き立てて、今度こそ地面を爆ぜさせ飛び退く小麦の肢体。
直後、爆風めいて物理的な圧力さえ存在する轟音と巨大な稲光の光柱が、全てを白く塗りつぶした。
その膨大な魔力を感知した宮廷魔術師が蒼白な顔で立ち上がり、王都の殆どの人間が至近に落ちた―――正確に言えば天へと還った雷霆の轟きにビクリと跳ねて目を向けただろう。
雷の巨龍が消えた後も、黒焦げとなった大地の上にてジジッ、ジジジッと紫電の細蛇がのたうち回る。
その中心部にて唆り立つのは、一際強く電荷を孕む煤まみれの巨大剣。
その主の姿はどこにもない。
あれだけの雷槌の直撃を受けたのだ。チリ一つなく消し飛んだとておかしくはあるまい。
大口を空けて、白昼いきなりの惨劇に戦慄き腰を抜かした戦士たちの中、顔をもたげた狼犬が空に向かって一声吠えた。
着物姿にふっと落ちた影が、欠片も気配も無しに風斬音だけを伴に大きくなる。
その直後、少女を襲う事になるのは空の高みより落下したゼナの叩きつけ。
彼女の傍らへと落下しながら着物の胸元を掴み、そのまま地面へと引き倒すという技術など欠片もない純粋な力技。
精妙な力加減の余裕のない攻撃は彼女の肺腑を痙攣させ、しばらくの間呼吸を奪う事となるだろうか。
そして彼女がそれを受けたのならば、着物の衿を握り込んでいた手を滑らせて、オーガにも負けぬ膂力で少女の細い首を拘束し、最後の一撃へと繋げようとするだろう。
■竜胆 > 神鳴りが、練兵所に荒れ狂う、轟音と、目すら霞む程の暴威を振りまいて、衝撃が石畳を割る。
そう、石畳を砕くほどの雷霆が荒れ狂ったのだ、自然の雷とは、斯も偉大なのである。
彼女の声は雷声にかき消され、少女の耳には届かず、動きは雷に遮られて見え――ていた。
今の少女の目は竜眼であり、その目は魔力を捉える。
自分の手の平から放射する魔術を弾く剣は……驚くべきことに魔力を備えてはいない。
そして、全身の魔力なのだろう、それと戦士のとしての闘気。
もう一つ――――彼女の奥底に眠る『竜』
無意識と言って良いのだろう、神鳴りをも減衰させて防いでいた。
視線は追える、しかし、見えるのと反応できるのは、また別である。
少女は竜眼を―――己の負担を顧みずに使ったのだ。
そして、全力を吐き出した後は、魔力はまだしも脳の疲労が強くなる。
見える世界を変えれば脳に負担が強く、全身を披露で包み込む。
身体能力で言えば彼女に一歩遅れる上に熟練の戦士と新米の魔術師で体捌きで言えば、天と地の差。
戦闘経験も差が大きければ動けるものでもなくて。
――――全身に紫電をまとわせた女が降ってくる。
――――その怪力に、重力という最高の力を共に―――。
「――――ぁ――――」
悲鳴すら上げる暇なく、首を掴まれて地面に叩きつけられる。
竜の体は軋みこそすれ、死に至るレベルではないが、それが軽傷と言われれば答えは否である。
地面に叩きつけられ、石畳が割れて飛び散り、円形に窪みが作られる。
地面に土をつけられた―――それで終わるはずもなかろう。
しかし、動くことができない。
■ゼナ > 後にこの日を思い出してゼナは思う。
結果的に勝ちを拾うことは出来た。
とはいえ、全てを塗りつぶす白光と轟音の中、それでも斜め上空へと飛び上がった己の姿をきっちりと追いかけていた少女の竜眼を思えば、本当に偶然の際どい勝利。
彼女がもう少しだけ戦いの経験を積んでいて、安っぽい挑発に乗せられて全ての力を吐き出すという愚を冒さなければ、最後の一撃をあっさりと回避されたゼナはその後に挽回することが出来たかどうか怪しいものだ。
いや、恐らくはそれでも無理矢理勝ちを引き寄せただろう。
娘となった愛おしい少女の未来を守るため、ゼナは絶対に負けられなかったのだから―――――。
双眸は開いていても、その視界は何も映してはいない。気配だけを頼りに腕を伸ばし、捕まえたそれを無理矢理に地面に叩きつけた。
表情を取り繕う余裕などあるはずもない。
今動いていることさえ無理矢理もいい所なのだ。
戦闘時に噴き出す脳内麻薬の危険な助けを拠り所に、決して解けぬ人外の膂力による首枷で少女を捕え――――見開いた双眸が形作る蒼瞳の三白眼が、魔物めいた無表情のまま彼女の頭部に死を降らせる。
硬く握った右拳。
―――ッドゴォォオオン!!と陥没した地面が直後に浮き上がり、同心円状に地表を捲りあげる程の慮外の一撃。小隕石でも落ちたかの有様だ。
――――その一撃は、少女の竜角をかすめるかの位置に深々とゼナの拳を埋めていた。
「―――――これで、あなたは死にました。わかり、ますよね………人間、でも……あなたを、殺せるん、です……………。」
小麦肌のそこかしこを炭化させ、浴びた電流の巨大さを示すかに肌下の肉を痙攣させながら言い放ったゼナは、そのままドサ…ッと着物姿の上に倒れ伏した。
遠くで『オンッ、オンッ!!』と吠え立てるグリムの声が聞こえてくる。視界が暗く染まっていく。
■竜胆 > 殺し合いとすれば、戦闘として言えば、最後まで立っていたものの勝ちである。
地面に叩きつけられ、全身に大ダメージを受けていたとしても。
そこで彼女の攻撃が止まったのは、意図的だったのか、それとも力尽きたのであろうか。
――――必殺の一撃である右の拳は自分の即頭部に、紙の一枚分の所で止められていた。
そして、宣言の後に倒れ伏す義理の母。
戦闘が終わったとわかったのか近づいてくる狼犬は、心配そうにか細く泣いて主である女を見下ろし、自分の方を見上げる。
周囲を眺めれば、先程の魔法で倒れふしている冒険者たち。
雷の余波の衝撃波で倒れ付したのであろう。
「―――――。」
最後に立っているから、勝ちだと、冒険者であれば言うだろう。
しかし、竜としてのプライドはそれを認められない。
挑発に乗り、全力を出して防ぎ切られ、致命的な目にあった。
ぎり、と歯を食いしばり、倒れ伏す義母を見下ろす。
その目は既に、青く戻っていて。
――――ここで殺せばという思考も、逆に情けなくなる。
「解りましたわ。だからそんな目で見ないでくださいまし、グリム。」
そう、言葉を放って彼女を―――義母を抱き上げ、歩き始める。
まずは彼女の持つ剣の方に移動し、引き抜いては懐にしまい込む。魔術で空間を作り上げているので、するり、と入り込み、懐に大剣をしまっているようにも見えないだろう
とりあえず、治療するにも家に戻ろうと。
器用にバスケットを咥えて付いてくるグリムと共に、練兵所を去っていく―――
■ゼナ > ぐったりと弛緩しきった小麦の半裸が、ビクンッビクンッと痙攣だけを繰り返す様は迎えの時を間近に控えた半死人を想起させる代物だろう。
事実、未だに稲光の残滓を纏わりつかせた肢体は、並の人間であれば即死していておかしくない。
しかし、彼女の竜眼が生命の流れも捉える事が出来るのならば分かるだろう。ゼナの身体が急速に回復しつつある事に。そこには死神の骨手が潜り込む隙など欠片も存在せぬ事に。
戦闘終了直後に駆け寄ってきた狼犬は、ぐったりと倒れ伏した主の頬に鼻先を寄せて安否確認を行って、なんとも言い難い表情を見せる群の中でもまだ若い雌に銀瞳を向けた。
そして少女の答えを聞けば『わうっ!』と一声返し、ふさふさの獣尻尾をゆったりと揺らしながら竜人娘の傍らを行く。
ただでさえ肉付きもよく、更にはフル装備のゼナの身体は流石に些か重かろうが、それでも程なく一行は目的地たる館へとたどり着くことだろう。
■竜胆 > 普通であれば命を消し飛ばす一撃を防ぎ切ったのは、魔力や闘気だけではなかったようだ。
あれよあれよと回復していく彼女の体もまた、普通ではないのであろう。
暫くの移動のうち、家に戻る少女、家令が家の前で待っていた。
なにか小言を言いたそうではあるが、先にする事がある、とその脇をくぐり抜ける。
足早に自室へと義理の母を持ち上げたまま移動し、流石にグリムは犬小屋へ戻るように言う。
言葉だけでわかるのだろう、グリムはちょっと寂しそうだが、籠を家令に押し付けて犬小屋へ。
少女の自室は、少女の部屋というよりも書庫というべきだろうか。
ありとあらゆる魔導に関する書物で作り上げられていた。
部屋の中央に何も書かれていないサークルが置いてあり、その上にベッドを移動してゼナを寝かせる。
「―――起動――白魔術――選択――医療―――」
なにかの記号のように、てきぱきと少女は術式を選択していくと、何も書かれていないサークルに自動的に魔法陣が浮かび上がっていく。
竜胆は白魔術を起動する。天使を召喚し、自身に降霊。
半眼に、トランス状態へと行こうし、口は自動的に人ではない言葉を紡ぐ。
「――ああ、讃えよ、主を、子である娘に宿る死神の影を退け
――――amen――――」
ただ、あれかし。
異世界の異邦の声は祈りにも似た言葉を紡ぎ上げ。
ゼナの体の焦げた部分を、未だ残る紫電を振り払い、癒していく。
■ゼナ > ここ数年の中でも特に早い回復は、日常的に注ぎ込まれる竜人の体液が、淫魔にとって極上の魔力に変換されていたせいもあろう。
しかし、やはり最も大きくゼナの回復を助けたのは、特殊な手続きを経たとは言えど回復魔術すら見事に使いこなした義理の娘の魔法力。
小麦の肌の各所を痛々しく焦げ付かせる外傷は、所々縮れた金髪も含めてみずみずしく修復され、更には目に見えぬ、外傷よりも余程に致命的なダメージまでも優しく癒やしていく。
苦しげに眉根を寄せていた戦士娘の寝顔も、すぐに強張りの消えた穏やかな物へと変化する。金の睫毛の意外な長さが形作る整った寝顔は、年相応に稚気を残した物。傍らで見つめる竜人娘と、外見的には然程変わらぬ子供めいたそれ。
しかし、穏やかになった寝息が上下させる小麦の乳房は革鎧の圧迫の中で苦しげに柔肉を膨らませ、薄っすら汗ばむ肢体が香らせる匂いは、ここしばらくの爛れた性生活のせいなのか、それとも戦闘と回復によって活性化した淫魔の血によるものなのか、柑橘の体臭に甘ったるい性フェロモンの香りを付着させた物だった。
何にせよ、清潔なシーツの上で、戦闘の予熱をありありと残す鎧姿のままの寝姿は、なんとも苦しげに見える事だろう。
■竜胆 > 「―――――は。」
回復の魔術の儀式は、典礼ではない分強力だが隙が多くなる。
トランス状態に陥って、天使等に体を明け渡すのだから特に。
魔法を使い終われば、退去する天使、そして、トランス状態からもどる少女は、義母を見る。
自分とさほど変わらない外見年齢で、生きている年齢と、等しくある人間。
普通の人間というにはいろいろ語弊が見える体である。
淫魔と混じっているその肉体は今はきれいに修復されているもののあくまでそれは見えている範囲でのもの。
ちゃんと仲間で回復できているか確認する必要がある。
なので、少女はおもむろにその鎧に手をかける。
彼女ほどではなくても強力な腕力を持つ少女は、苦もなく彼女の鎧を外していく。
ごとりごとりと、鉄の鎧を外し、脇に置いて服も脱がせていく。
褐色の肌を全身晒すようにしながら、少女は確認するようにその肌を眺め、触れていく。
傷を確認する状態ではあるが、ほかから見れば寝込みを襲っているようにも見えるだろうか。
■ゼナ > もしもゼナが目覚めていれば『あっ、あっ、だめっ、だめです、そこ、そんなに拡げたら……あっ、あぁぁ……だめぇええっ』などと、妙に卑猥なセリフを投げたであろう竜人娘の力技の鎧脱着。
ともあれ、戦士娘の肢体から、部分的に薄鋼で強化された革の軽鎧が外されていく。
分厚い鎧は、下手な毛布などより余程に重い。
肩当てを外す際に持ち上げた細腕は、薄く滲んだ汗にて腋下の柔肉を淫らに艶光らせている。
ビスチェ状の胸鎧などは、鳩尾部分の結びを解いた瞬間、圧迫から開放された乳肉がその弾力を誇るかの如くばるんっと胸甲を跳ね上げたりもした。
下肢を覆う貞操帯は、革製品という事もあるのだろう。長年の冒険で延々と染み込んだ半淫魔の凝縮された恥臭にて、テンプテーションにも抵抗力を有するだろう竜族さえもくらっとさせるほどの濃厚フェロモンを漂わせた。
更にはむっちりと肉付きの良い太腿を覆う皮タイツやら、両手を覆う籠手やらを外し、唯一残った純白の下帯――――恐らくは雷霆を受けた際の弛緩で多少の失禁があったのだろう、薄っすらと琥珀の色合いを付着させていた―――まで剥いでしまえば、清潔なシーツの上に薄く汗濡れた小麦の裸身が無防備にさらけ出される事となろう。
毎晩の様に竜胆の実母の巨根を咥え込み、甘い声音を響かせているゼナの恥部はクリトリスこそ少し大きめなれど、花弁のはみ出しもなくぴっちりと閉じ合わさった清楚な代物。
小麦の丘陵を黄金の恥毛が飾る様は、割れ目の清楚さとは対照的で妙に淫猥。
■竜胆 > 如何に鎧が重かろうが、彼女も自分もそれを苦に思うほどではない……はずなのだが、彼女の体はしっとりと汗ばんでいた。
恐らく身につけて動いていたので熱がこもっていたのだろう、それに加えての戦闘である。
全身の鎧を外した義理の母の肉体は、どことなく淫靡な空気を身にまとっていた。
ものすごく大きく女性らしさ……母性の塊とも言える胸部も、全身、筋肉と同じく絶妙なバランスで付いている脂肪の柔らかさ。
そして、牡を誘うフェロモンの濃厚さ。
下着も合わせて全て脱がしてしまえば生まれたままの姿、無防備な彼女の肉体が晒される。
とても性的に食べたくは思うのだが――――流石に。
負けた上で、意識のない相手を強姦などというのはプライドが許さない。
勝てないから、意識のない間に無理矢理とか自分が圧倒的弱者を認めるようなものである。
恥の上塗りもいいところなので、今は我慢だ。
ただ、淡々とエロい気分を我慢しながら怪我の残りがないかを確認するのだ。
■ゼナ > ゼナが微睡みから意識を浮上させたのは、それからしばらくの事だった。
淫魔の無意識の誘惑に耐えきった竜人娘は、ゼナの身体に傷は無く、その中にも後を引く様な怪我は残らないだろう事をきっちり確かめることが出来ただろう。そして、眠っている最中であってさえ、触られてしまうと色っぽい吐息を漏らしてしまう各所の弱点についても知ってしまったはずである。
ともあれ
「――――ん、ぅ…」
小さな身動ぎと、金の睫毛の震えを経て、ゆっくりと開かれるゼナの双眸。
数度の瞬きが見覚えのない部屋の内装を見回して、枕元に控える義理の娘の愛らしい顔立ちを捉えてふわりと表情を綻ばせた。
「竜胆ちゃん……もしかして、看病してくれてたんですか……?」
■竜胆 > 問題がないとわかれば、少女はひとつ頷いた。
あとは、彼女が意識を戻す前にする事がある。
ボロボロになった服を視界に入れて、少女は再度金の目を、竜眼を発動させる。
世界の色が変わって見える、それは全て壊れてしまいそうなほどに脆いもの。
そして、少女は自分がボロボロにしてしまった服を見る。
崩れてしまいそうな世界の中、幾千幾億もの小さな『何か』を集めて作り直していく。
元のあるべき形、あるべき姿へと。
時間が巻き戻るように直っていく服は、それこそ新品のように。
分子を破壊して壊すことができるなら、その逆もできるということである。
彼女の装備をあらかた修復し終えた時、背後で声が聞こえた。
「――――勝ち逃げは許しませんから。
それに、『妹』を殺したら、母に殺されそうですし。」
再度の竜眼を使用したせいか、疲労が出てしまう。
それはほんのりと赤く染まった顔として出てしまうのであろう。
はぁ、と吐き出す吐息も悩ましげなものであり、どこか誘っているようにも見える。
ずるり、と懐から彼女の剣を取り出せば、綺麗に直した服と鎧の脇に置いておこう。
「一応、治療のために服は脱がせましたわ。
傷跡は残ってませんのでご安心下さいませ。」
にっこりと、微笑む娘は、体に違和感は残りませんか?
そっと近寄り、意識のある状態での彼女の不具合を確認する。
■ゼナ > 問いかけに応える言葉は、どこまでも彼女らしい物だった。
頑ななまでに距離を置こうとするツンツンとした物言いは、それこそ己の弟や妹の様に子供じみた物で、それが余計に微笑ましくて愛らしい。『わたしはなんでこんな子を怖がっていたんでしょう』と不思議に思う。
そうして、改めて気付かされた。
彼女の漏らした『妹』という言葉。
生理こそ来なくなり、ますます妊娠したとの確信を深めたゼナではあるが、これまでと変わらず動けているため妊婦としての自覚は全くない。
あんな激しい戦闘をして、更にはあれ程の雷撃を浴びて、普通だったらせっかく宿した新たな命も形を作る前に砕けていたとておかしくはない。
慌てて下腹に向けた手指が、ふにゅりと柔らかな脂肪層と子宮壁の先に、本来ではあれば決して感じる事など出来ぬだろう小さな命の存在を感じ取って安堵した。
そして、そこでようやく気付く。
己が全裸であることに。
そして、先程受けた決して軽くはない、むしろ、死んでいたとておかしくない傷がどこにも存在していないことに。
「そう……そっか、竜胆ちゃんが、治してくれたんですね。剣に、鎧まで……ありがとう、竜胆ちゃん」
彼女の微笑みに誘われる様に、こちらも自然な、それこそ妹弟達に向けるのと同様の家族に向ける笑みを向け、治癒師としての手を向けようとする少女の体躯を伸ばした細腕でぎゅっと抱きしめようとする。
『いえ、違います。竜胆ちゃんの赤らめた顔が色っぽかったとか、漏らした吐息にドキドキしたとか、そういう邪な理由じゃなくてですね、単純にこれまでごめんねという意味を込めたですね』なんて言い訳を心の内側で展開しつつ。
■竜胆 > 精神年齢は、大きくても少女の経験は彼女の弟や妹よりも少ないのである。
だからかもしれない、彼女がそういうふうに思えるのは、そんなふうに感じたのは。
―――間違いとは、言い切れないのが、目の前の少女なのだ。
自分の体を確認するように触れている相手、戦士であれば当然のことであろうと思える。
肉体の状態は戦闘に直結をする、僅かな違和感が生死を分けると言っても過言ではないのだ。
とはいえ、今更のように自分の下腹部に手を向ける相手に半眼を向けようか。
妊婦なの忘れてたのか、と無言の抗議。
「別に、死なれては困りますから。
それに、武器防具は冒険者として必要なものなのでしょう。」
つん、とした少女の言動、確認するように伸ばした腕と同時か。
彼女の方からも腕が伸ばされて抱きしめられる。
「……お義母さま?
流石に裸で抱きついてくるとか、誘っているのでしょうか?」
彼女の意図はともかく。心の中の言い訳も兎も角。
流石に裸で抱きしめられると、強い肉体の、濃厚なフェロモンが鼻を突く。
誘われるように、ゆったりとしているはずの袴がぐぐぐ、と持ち上がる。
彼女もわかるぐらいに力強いそれは、彼女の旦那のそれよりも大きく。
濃厚なオスのフェロモンが込められている。
そして、じいっと、見つめるのは、彼女の愛する人と似た青い瞳。
その奥には、確かにこもる情欲の炎。
■ゼナ > 「はぁぁ……かんっぺきに忘れてました……リス、ごめんなさい……。でもでも、あの場は致し方なかったんです! 竜胆ちゃんも、もうわたしの大事な娘ですからっ!」
お腹の子の存在をすっかり忘れてバトルに興じてしまっていた事を、密かに恋人に謝罪しつつ、それでも傍らの少女に向けて言い訳めいた言葉を並べるのは、半眼を向ける彼女に嫌われたくないからなのだろう。
何やらいろいろとっくに手遅れな感じはあるのだけれども。
そうして近付いてきた彼女に対して、唐突で無言の抱擁。
触れ合う肌の温かさと柔らかさ、そして異なるリズムを重ねる鼓動に安らいでいれば、耳元に届く娘の問いかけ。
途端、ぼわっと頬を赤らめつつも
「ち、ちちちちち違いますっ! そ、そもそもですね、わたしはほら、竜胆ちゃんのお義母さんなわけですし、そ、そういうふしだらな感情とかは、ええと……な、ないです………よ? …………………たぶん」
語尾に小さく付け足す辺り、いろいろとダメな母親である。
そんな、はっきりと拒絶出来ぬ曖昧な態度の中、触れ合う下腹で膨れ上がる硬い熱。
「――――ひゃあっ!? っって、りりりりりり竜胆ちゃん!? り、竜胆ちゃんもリスと同じ………お、男の人の、生えてるんですかっ!?」
慌ててがばっと離した身体がたわわな小麦乳を揺らしつつ、袴の膨らみを見つめて頬を染めた後、改めて娘の顔に戻って
「―――――………あ」
リスに良く似た青瞳が、リスに良く似た劣情の色をともしているのがわかった。『竜胆ちゃんが、わたしの身体で興奮してる…っ』そんな言葉がゾクリと背筋に走らせたのは、子宮が戦慄く程の妖しい愉悦。
絡む視線が外せない。徐々に乱れていく呼気を漏らす半開きの唇が、吸い寄せられるかの様にゆっくりと彼女に近付いていく。『あ……ダメ……っ。』
恐らくは、戦闘と治療で淫魔の血が性を求めているのだろう。抗いがたい強烈な誘惑に、それでもどうにか抵抗しようとするゼナの元に
『―――――わうっ!』
愛犬の声音が届いた。どうやら、ゼナの声を聞きつけて、犬小屋を抜け出して見舞いに来てくれたらしい。さっと霧散した情欲の気配に「はうぅう……」と長い安堵を零し
「ありがとうグリム。お見舞いに来てくれたのね。」
と、利口そうな顔立ちの頭を撫でてやる。
こうして晴れて、リスの子の一人と家族となったゼナではあるが、そこにはこの先の生活への妙な不安が孕まれる事となりそうだ。
『この子、やっぱりリスの子なんだ………気をつけてないと、え、えっちな事になっちゃうかも……』なんて不安が。
■竜胆 > 何をいまさら、な気もする。
本来であれば、冒険者家業を一時中断して、子供を産むために安静にしてるべきであろう。
彼女のことを尊重している母の失態とも言える。
半眼を向けたままの少女は考えて、はぁ、と軽くため息。
「そこで否定しきれない時点で、もうそういう感情はあるって言っているようなものだと思いますわ。」
くす、と耳元で笑う少女は、少し密着するように体を寄せる。
しっかりと、彼女の腹部に大きなそれが当たろうか。
「あの母の娘ですから、生えてないのはラファルぐらいですわ。」
そう言いながら、顔を近づけて――――
『ばうっ!』
大きな犬の声。
それが扉の外から聞こえる。
飛び上がる義理の母、視線を逸らして扉の方へ。
どうやったのか扉を開けて入ってきた犬が近づいて彼女に頭を撫でられる。
ふぅ、と気をそらされて少女は肩をすくめる。
「とりあえず、服を着てくださいまし。
あと、お風呂沸かしておきますから。」
人心地付いたら入ってくださいましね。
少女はそう言って、自室から出て行ったのだった。
一応、少女は彼女のことを母と認めた模様なのは、間違いはない。
ご案内:「街壁外の修練場」からゼナさんが去りました。
ご案内:「街壁外の修練場」から竜胆さんが去りました。