2018/10/31 のログ
ご案内:「酒場「獅子神亭」」にチェルトトさんが現れました。
チェルトト > うまい酒と料理に暖かい暖炉。ある者はひとり静かに、ある者は仲間たちとにぎやかにそれを楽しむ夜の宿。本格的な冬の訪れを前に繁盛するその行きつけの酒場の前にチェルトトはいた。スレンダーだが美しい曲線を描く深褐色の肢体の胸元と腰に薄衣をまとわせ、大きな木箱の中に詰め込んだ藁の上に敷いた毛布の上で猫のように体を丸めて。
そして、誰かの気配がするたび、チェルトトは時折ゆるくウェーブした白銀のツインテールと金の瞳をその木箱のフチから覗かせ、あたりの様子をうかがっていた。

「あたしから財布を盗む恐れ知らずがいるなんて……。
 しかもそいつを取り逃がすなんて……!」

不機嫌そうに呟いた彼女の瞳は怒りで猫のように鋭く縦に裂け、尻尾は大きく左右にいらいらと揺れていた。時折うかつにも木箱を覗き込む通りすがりの客を仏頂面で睨み返すのはもはや営業妨害だったが、それをとがめるべき新顔の用心棒はすでに木箱の陰にだらしなく伸びてしまっていた。

「見つけたら絶対天罰を食らわせてやるんだから……!」

言いながらまたちらりと箱から頭を出すと、ひゅうと木枯らしが頬を撫で、チェルトトはその冷たさにぶるりと身を震わせた。

ご案内:「酒場「獅子神亭」」にセイン=ディバンさんが現れました。
セイン=ディバン > 「うぅぅぅ、寒っ……」

寒風の中、男が首をすくめながら通りを歩く。
最近お気に入りの着流しという服は、寒さにめっぽう弱い。
あまりの寒さに、男はとりあえずの避難先を探すのだが。

「あぁもう面倒だ。確かこの近くに酒場が……」

曲がり角を曲がり、目的の酒場、獅子神亭に向かう男。
料理の質は高かったはずだし、酒も良いのがそろってたはず。
そんな記憶にすがる様に、店に近づくのだが。

「……?」

なにやら、店の前に変な気配を感じた男は、店に近づくスピードを緩める。
なんとも珍妙な気配。人間のそれではない。
ミレーか、それ以外か。なんにせよ、獅子神亭の近くに何かがいるぞ、と。
しかして寒さには勝てず、男は店の入り口へと近づいていく。

チェルトト > 人の気配にまた木箱の中から顔を半分出すと、店の前のかがり火に銀の髪と金の瞳がきらめいた。ぎろ、と、音でもしそうな視線をやってきた男に向け、彼が目的のかっぱらいでないことを確認すると、ふぅう、と、残念げに鼻を鳴らす。そして、頭を引っ込めかけたところで、くしゅ、と、小さくくしゃみをすると、それをごまかすように男を睨んで。

「……何よ。何か文句ある? 寒かったらくしゃみぐらい出るわよ」

言いながら風から逃れるように頭を引っ込め、しどけなく猫のように丸まると、乱れた薄衣の下から深い褐色の尻の丸みがちらと覗いた。その姿勢のまま、彼をじっと見上げて。

「いいから行きなさいよ。ここ寒いし、お腹すいてるんでしょ」

セイン=ディバン > 「おぉっ?」

入り口まで後数歩、という所で。近くにあった木箱からにょき、と顔が出てきた。
睨まれた、なんか落胆された、くしゃみをされて、さらに睨まれた。

「いや、文句は無いけど。……そうだな、最近めっきり寒いよな」

別に文句などないのに、なぜそんなケンカ腰で言われなくてはいけないのだ。
そう思いつつ、相手を見るが。なぜか知らないが少女は木箱の中で丸まって。
というか、珍妙な気配は目の前の少女から感じ取れた。

「……あぁ、寒いな。
 ……お嬢ちゃん。なんでそんな所にいるんだか知らないが。この寒さじゃ体を壊すぜ。
 どうだい? もしもよかったら、メシを奢るから。なんでそんな所にいるのか、話を聞かせてくれないか?」

人間とは違う気配の少女。なにやら事情があるのか? と思い。
男は酒場のスイングドアに手をかけながらそう提案する。
というか、こんな寒空の下に少女を放置なんてしたら、夢見が悪そうだった。

チェルトト > 「うるっさいわね! 今日は文無しだから店に入れてくれないのよ!
 ずいぶん長いこと常連なのに、ほんっと融通効かないんだから!
 あたしは人間みたいな病気にはならないから……って、あら、ありがとう。
 話が聞きたいの? あたしの? あんた、そんな恩恵でいいの?」

獣のように避けていた瞳が、きゅるんと機嫌よく丸まった。ふわりと腰の薄衣をなびかせながら木箱から出ると、彼の後について店に入ろうとして、思い出したように地面に転がっているがっしりとした用心棒をひょいと担ぎ上げて背負い、彼に続いて店に踏み込む。

「この人がおごってくれるなら、入ってもいいわよね? ……それからこいつは自業自得ってことでいいわよね?」

空いた席に死んではいないがよく冷えている用心棒の体をぽいと放ると、ぐいと胸を張って店主にそう宣言してから、彼のほうを見て

「それで、何をおごってくれるのかしら? えーと……。あたしはチェルトト、あんたは?」

セイン=ディバン > 「あぁ、この店ツケはダメだもんな。
 ……やっぱり人間種じゃねぇか。……げふんっ。
 まぁ……恩恵っていうか、だって、お前さん可哀相じゃないか。
 こんな寒空で外に一人なんて」

相手の言葉から、人間でないことを確信。ただし、その正体まではまだ分からないが。
目の前で、相手が木箱から出て、用心棒を担ぎながらついてくるのを見れば、男は苦笑し。

「おいおい、用心棒ぶっ倒してたのか?
 ま……死んじゃあいないなら大丈夫だろ」

男は目線だけで店主に謝罪の意思を届けると、適当なテーブル席へと座り。
何を食うか、と考えながら相手を見る。

「なんでもいいぞ? 好きなものを頼みな。
 金には困ってないんでね。……あぁ、オレはセイン。
 冒険者のセイン=ディバンだ。よろしくな、チェルトトちゃん」

相手の自己紹介に倣い、自分も名乗れば、男は店主に自分の注文を告げる。
炒り豆、黒麦酒、あとは適当に肉料理を、と。

チェルトト > 「そうよ。あたしは神なの。将来の予定だけど。
 将来の予定でも、神は神だから憐みは受けないわ。
 貢物なら遠慮なく受け取るし、貢物を受け取ったら恩恵を与えるの。
 それが責務なのよ。
 ……だから、受け取れなくなっちゃうから可哀そうとかやめてよね」

あまりサイズはないが形の良い胸を張って尊大に言うと、自分も彼の向かい側に腰掛ける。そして、彼に促されるようにメニューを開くと、そうね、と、呟いてから、細い指先でメニューをたどり、ホットビスケットにスイートチーズ、ハチミツ酒と豚肉のグリル、と、遠慮のない注文を放つ。

「セイン=ディバン。なんか神聖っぽい名前なのね。こっちの神? それとも聖職者?」

言いながらテーブルに両肘をついて重ねた手の上に顎を乗せると、薄衣の下のささやかな谷間がちらりと肘の間から覗いた。

セイン=ディバン > 「……神? カミ? かみぃ?
 ……ははははは、そりゃあ凄い!
 だったらなおさら貢物を捧げないとな。
 ……恩恵、ってのとは違うけど。まず、キミのお話を聞きたいんだよなぁ。
 恩恵はまた別に貰えない?」

とんでもないことを言い出した相手に声を上げて笑うが。
男は、そこで考える。相手の種族は分からないが。
もしかしたら、神に連なる種族なのかもしれない。
これはあまりからかってはいけないな、と思っていれば。
相手はなかなか健啖家のご様子な注文。ついつい男は笑うが。

「……偽名だよ。本名は捨てたし、もう忘れた。
 ……で? チェルトトちゃんはなんであんな寒空の下にいたの?」

つ、と。表情を一瞬冷たいものにするが。
すぐさま男は相手に尋ねる。ちら、と見えた谷間に、思わず鼻の穴が広がるが。
一応は紳士的な表情をキープ。
そうこうしているうちに、二人分の食事がテーブルへと届いた。

チェルトト > 「そういえばそうだったわね。いいわ、いま4つ頼んだから、1つは話をするとして、
 あとの3つは別に与えてあげる。まだちゃんと神じゃないから、奇跡とかは起こせないけど。」

 言っている間に届いた甘い湯気をくゆらせる金色の酒を一口飲むと、幸せそうに目を細める。んふぅ、と、小さくため息をついて、ちろりと唇の上に桃色の舌を覗かせた後、カップを置いてナイフに手を伸ばしかけ、だがそれを引っ込める。

「それはさっき言ったでしょ。お金がなかったからそこの頑固おやじが店に入れてくれなかったのよ。
 こんなちっちゃい癖にあたしを振り切るぐらいすばしっこい泥棒に持ってかれたの。
 思い出すとほんっとうに腹が立つわ!
 あたしが獅子じゃなくてジャッカルの神だったら、地の果てまで追いかけてやるのに!」

 ぎゅっと眉を寄せながら指を開いてひゅっと手を振ると、グリルが音もなく綺麗に5等分された。すっとフォークに手を伸ばし、逆手に握ってそのひと切れに突き立ててから、金色の瞳を彼に向け

「あたし、何を司るかまだ決めてなかったけど、泥棒に罰を与える神を目指そうかって思ったわ」

セイン=ディバン > 「律儀なんだなぁ。神様にしては。
 神とかそういう存在って、人間見下してばっかだと思ってた」

黒麦酒を飲みながら、小さく微笑む男。ちらりと見えた舌に、ごく、と唾を飲むが。

「ふむふむ。なんでお金がないんだ?
 ……泥棒? つまり、財布をスられた訳か。
 ……なるほどなぁ。そりゃあ災難だ。
 ははははは、そうなったら、その泥棒も災難だな」

ケタケタと笑っていた男だが、目の前で起きた早業に口笛を吹く。
なるほど、まんざらホラ吹きでもないのだな、と。
感心したように見るが、次の言葉には男は眉をひそめる。

「そりゃあ困るなぁ。オレ、冒険者兼シーフだし。
 オレもバツが当たっちゃう感じかな?」

届いた牛肉を焼いたものにがぶり、と噛み付きながら相手を見る男。
なにせ男もかなりの悪党だ。この少女がバツを与えるのに値するほど。

チェルトト > 「人間……っていうか、慕ってくれる生き物は大事よ。
 人間を見下してる神は、人間に慕われてないとか、ほんとは神じゃないとか、実はいないとか、そんなのよ」

 大事だと言う割には偉そうに言ってから、切り分けた肉の一切れを噛みちぎる。
 もぐもぐと口を動かすことしばし、目の前の男がシーフだと明かすと、口の中のものを飲み下し、ナプキンで唇を軽く拭ってから、男の顔をじっと眺める。それは思案していたのか、思いついた、と、ばかりに、チェルトトは不意にぽん、と、小さな手のひらを打ち合わせた。

「大丈夫よ。ちゃんと貢物を収めるなら、罰を与えたりなんてしない……
 って、それじゃあたしが泥棒の元締めじゃない! だめよそんなの!
 ええっと、そうねえ……。うーん、ねえ、ちょっとセイン。泥棒とシーフって、何か違いはないの?」

尋ねながら、4つの残りの肉を、また半分ずつに切り分けていく。

セイン=ディバン > 「なるほどね。そういうことか」

相手の言葉に、納得したように頷く男。
自分よりも詳しい相手の言葉だ。
学べるところは多そうだぞ、と。

「ははは、チェルトト様のお優しさに感謝。
 つってもなぁ、仕事は仕事だからなぁ……。
 そうだなぁ。シーフは別に窃盗だけが仕事じゃない。
 最近じゃあレンジャー、スカウトって区分されてるけど。
 ダンジョン探索の時の生命線として、罠の解除に宝箱の鑑定までやるんだぜ?」

相手の質問に、男はじっくり考えながら語っていく。

チェルトト > 「べ、別にあたしだって優しいとか、律儀とかじゃないわ!
 正式な神になるために、慕ってくれる相手を増やさないといけないんだもの!
 あたしの責務なの! これも!」

不意に恥ずかしくなったのか、チェルトトは勢いづいてそう言った。
そして、せっかく切り分けた肉を2ついっぺんにフォークに突き刺すと一口にほおばり、もぐもぐと口を蠢かせる。そして語られるシーフの仕事の内容。口がいっぱいのまま、うーん、と、唸って視線を泳がせ、ごくん、と、喉を動かすと、はあ、と、呼吸を整える。

「あたし、冒険者じゃなくて傭兵だからそういう……なんていうか、戦わないところってわからなかったけど、そうなのね。
 じゃあ、あたしは神になったら他人の財産を盗むことばっかりしてる人間に天罰を与えることにするわ。それなら、セインには天罰を与えなくてもよさそうだし。
 ……っていうか、あんたには恩恵を与えなくちゃいけないんだったわ。何がいいかしら。さっきも言ったけど、あたしすごい奇跡とかは起こせないの。だから、与えられる恩恵って言ったら、あたしの知ってる秘術を施してあげるとか、あとは……」

言ってからそっとテーブルの上に頬杖をつくと、薄衣をくいと引っ張って、先端が見えない程度に胸元の丸みを彼の視界にさらし、いたずらっぽくちろりと舌なめずりしてみせる。

「この体でできることぐらいなんだけど……」

セイン=ディバン > 「いや、優しいと思うけどなぁ。
 少なくとも、オレは神様には出会ったことは無いけど。
 超越者級の方々はそりゃあもう自己中心的だったから」

相手の照れたような様子に、男はくすくすと笑い、酒と食物を胃に流し込む。
そうして、相手が語る言葉に、男はうんうん、と頷き。

「そうだなぁ。そういう柔軟さがあるのはいいんじゃないかな。
 盗賊も、やむにやまれぬ事情がある場合は許す、とか。
 うん? 恩恵。恩恵かぁ……。そうだなぁ……」

相手からの言葉に、男は有意義な会話だった、と締めくくりに入ろうとするのだが。
相手の提案に、男は腕組みして考え込む。
秘術とやらに興味はあるが、身に過ぎた奇跡やらの類には良い思い出も無い。
そうして悩んでいれば、相手がまるで悩殺してくるかのような振る舞いをしてきて……。

「……あー、それって。例えば。
 超絶魅力的なチェルトト様と、一晩素敵なベッドの上の格闘技、とか。そういうのもオッケーってこと?」

思わず、素直に尋ねてしまう男なのであった。あぁ、哀しき性欲の権化っぷり。

チェルトト > 「いいわ。じゃ、あたしが神になったときのモットーのひとつはそれね。
 なんだか思わぬところで決まっちゃった」

上機嫌に言いながらホットビスケットにスイートチーズを挟み、それを一口かじる。店の名前以外にもここに足しげく通う理由のひとつを頬張って幸せそうに目を細め、しばらくの間それを堪能したあと、ハチミツ酒のカップを掲げてみせる。

「性愛のと豊穣の女神……の姪のチェルトト様と、一晩だけベッドで愛を交わすことを恩恵としたいのだったら、喜んで与えてあげるわ。……あ、でも豊穣のほうはだめよ。まだ眷属とかいらないから」

いたずらっぽく金色の目を細め、残りのハチミツ酒を飲み干す。褐色の肌の目元に少し朱を登らせ、唇で弧を描いて。

「それでいい? セイン」

セイン=ディバン > 「神様になったとき、か。凄い言葉だよなぁ。
 ……えっと、そんなに気軽に決めていいのかなぁ」

なんだか、不用意に後押しをしてしまったのではないか?
そう考えて、相手に確認をする男。
もちろん、相手の考えに異を唱えるつもりがあるわけではない。

「……へぇ、チェルトト様はそういう神様なんだなぁ。
 ははは、そりゃあ、恩恵どころか。願っても無いプレゼントだよ。
 ……豊穣、眷属……。え、眷属?」

相手の色っぽい姿に、男は頬を朱に染めながら笑うが。
眷属とは、どういう意味でございましょうか、と、混乱。
しかしてそれを尋ねたら怖い返答が返ってきそうだなぁ、と思っているところに確認をされ。

「……いいもなにも。チェルトト様を抱けるなら。
 不満も何もない。喜んで、どころか。こっちからお願いしたいくらいだよ」

チェルトト > 「子供は生んであげないってこと。
 もしこれから抱いてみてよかったら、神になってからあたしの閨にまた呼ぶわ。
 それから眷属を作りましょ。あたしがよくて、セインもよかったらだけど」

あけすけに言ってまた笑うと、銀色のツインテールがふわふわと揺れる。じゃあ、と、片手をあげて給仕を呼ぶと、テーブルの上が片付けられる間に彼のほうを見てチェルトトはひとつウインクしてみせた。

「じゃあ、部屋代も今日の貢ぎ物に入れてくれる? セイン。本当は、何を貢物にしなさい、って、神が言うのってあんまりよくないんだけど、今日はしょうがないわ。代わりに、性愛の女神の業をいっぱい施してあげるから」

セイン=ディバン > 「あぁ、そういうことね。……ふぅ、ビックリしたぁ~……。
 ……あははは、なんとも男前なお言葉。
 そう、だね。相性ってのは大事だ」

相手の一直線な言葉に、男は苦笑するものの。
実際、相手の言葉は的確である。
そういったことを知らぬうちから、そういう関係になるのはいいことではない、と。
男自身、よく分かっているのだ。

「そりゃあもちろん。女性に払わせるつもりは無いよ。
 ……。なんとも。神様も大変なんだなぁ。
 うへぇ。そりゃあ期待しちゃうなぁ……」