2018/07/20 のログ
ご案内:「王国内造船所」にフォーコさんが現れました。
フォーコ > 王国内、ダイラスの海近くにある造船所。
現在、この場所は巨大な船が一隻居座っている。
竜骨は出来上がったものの船体そのものはまだまだこれから。
帆すら取り付けられていない。

「ゆっくりでいいから丁寧にやってくれ。
この船だけはいつも以上にミスがあれば取り返しがつかないからな。」

我が第五師団指揮の元、鋭意制作中のこの船は飛行能力を付与する予定だ。
騎竜や天馬での単独飛行は数あれどやはり大きなものを運べるだけの入れ物が欲しい。
巨大で快速がベストだ。故に戦闘能力は最低限に絞ってある。
そもそもこの船はある程度安全が確保されたエリアのみを通させる予定だ。
空中戦となればやはり元から空を飛べる連中の方が小回りが効く分有利だろう。

「他の師団ならばもっと上手くやるかも知れんが私の実力ではこの位が関の山だな。」

ご案内:「王国内造船所」にヴェルムさんが現れました。
ヴェルム > 「これは、大きいな」

造船の指揮を執る彼女へ近づく一人の男。
見上げるように作り上げられている巨大な船の骨組みを眺めつつ、少しテンションが上がっている。
男はこういうのが好きなのだ。

「アッサルト卿、第五師団はなかなか順風満帆のようだね」

にこやかに挨拶をしつつ姿を見せた十三師団の師団長。
ダイラスに姿を見せるのは珍しいし、ましてや造船所など十三師団には全く関係のない場所だ。
にもかかわらず姿を見せたということは何かありそうな予感をさせるか。
だがヴェルムはあまり緊張感のある様子ではないため、何かしらの報告をしにきた…といったところだろう。

フォーコ > 「おお、ヴェルム殿ではないか。
こんな所まで来られるとは。」

思いがけない客人の到来で私は瞳が輝いた。
部下に声をかけ、冷蔵庫から来客用の良く冷えたワインを用意させる。
すぐさまグラスを二つ手に部下がやってくる。
一つをヴェルム殿へ、その後私の元へ。

「なに、君たちに比べるとまだまだだよ。
税金泥棒と言われない程度に働くのが精いっぱいさ。」

私はグラスを手にし、上機嫌に話していた。
埃っぽい所だが私は気にせず口にする。

「して、今日は何をしに?
その様子だと何か言いたいことがありそうだな。」

彼はあまり顔に出すタイプではないが、多忙な中わざわざやってきたのだ。
何か直接伝える必要があるのだろう。

ヴェルム > 「はは、誰も税金泥棒なんて言わないさ。
きちんと仕事をしているじゃないか」

危険な任務だけではない、第五師団は艦船も所有しているためその活動範囲は他師団と比べて広大だ。
それをしっかりとやり遂げるだけでなく、資金や物資のやりくりもどうやっているのか気になるところだ。
冷えたワインを受け取れば、彼女と彼女の部下に軽く礼を述べる。

「ああ、星の聖猫派だ。
第七師団の件があってから、活動が散発的に増えてきていてね…おかげで王国内をあちこち回らされて、今回はダイラスってわけだ」

ワインを一口飲めば、よく冷えていて喉が潤う。
一応まだ仕事中なのだが、これくらいは構わないだろう。
ともあれ、ダイラスまでやってきた理由を述べたが、造船所に顔を出す理由にはなっていない、ここからが本題だ。

「ダイラスにあった聖猫派のアジトを捜索したら爆破計画書が出てきてね。
ターゲットはこの造船所…まだ実行前だったようだけど一応ウチの者に所内をチェックさせているよ」

テロリストのやりそうなことだ。
ましてや政府や軍の施設は真っ先に目標にされる。
王国内にそう数多くない造船所が破壊でもされれば、現在製造中の船だけでなく、建物の再建にも長い時間と多額の費用が掛かったことだろう。

フォーコ > 「君らがタナールで魔族相手に大立ち回りをしている時にこちらは不在だったからな。
直接非難してくるような輩は居ないが、君らにはすまないことをした。」

彼が酒を受け取れば、私は気兼ねなくグラスを空にする。
部下がすぐに次を足してくれる。

「神の御加護の優位性が証明されただけに強気になるだろうな。
今回はダイラスか。 君らのおかげで王都内での活動もやりにくくなったようだな。」

十三師団は星の聖猫派の摘発にかなり精力的に活動している。
タナール方面への出兵と同時並行でこなしている彼の手腕は私も見習いたいほどだ。

「私の船を狙うとは勇気のある猫たちだな。
忠告感謝する。 早速ここの警備を強化しよう。」

聖猫派にも今度恐怖を植え付けてやる必要があるな。
私は部下に声をかけ、警備体制を見直す様に指示する。

さて、私も彼には色々と聴きたいことがあるのだ。

「所で、後学のためにどうしても教えて欲しいことがあってな。
どうだろう。 支障のない範囲で情報交換と言うのは。」

赤い瞳を細め、口角を上げていた。
色々と不思議を抱えている彼だが、私は砦の一件について是非とも知りたいことがあった。
彼が教えてくれるかはわからないが、向こうも私の事で多少興味があるのならこの提案に乗ってくるだろう。
…いや、乗ってくれ。

ヴェルム > 「気にすることはないよ。
ギリギリだったけど十二師団が支援してくれたし、タナール防衛だけが第五師団の仕事じゃないんだから」

師団に魔族がいたことと加護の外での戦闘のおかげで、ずいぶん優位に長期間戦闘を継続することができた。
被害はあったがそれでも魔族さまさまだ。
上層部はいい顔をしなかったのは確かだが。

十三師団は単純に上からの命令をこなしているだけに過ぎない。
もちろん師団や師団の名前に傷がつかないよう上手くやりくりしている自負はあるが。
魔族やミレーなど、同族同士で血を流すことになったが、幸いにも彼らは十三師団そのものに忠誠を誓ってくれているので助かっている。

「うん?わかる範囲でなら構わないよ。
大抵のことは報告書に出してるから、隠すようなことなんてないけどね」

笑みを浮かべる彼女に対し、ヴェルムはいかにもすっとぼけたわざとらしい言い方をした。
確かに内密に行っていることがあるのは事実だ。
だがそれは彼女も同じ…例えば彼女がしばし不在だったころ、周辺国で謎の犯罪集団が活発に活動していたとか。

フォーコ > 「十二師団にも今度礼を言わねばならんな。
一度団長クラスを集めて一席設けようか。
勿論、支払いは経費と、ある程度は私持ちだ。」

十三師団は貴族衆からの評判は悪いと聴くがそれでも解体だのを言い出す者はほとんどいない。
彼らの戦闘力と忠実さを惜しむ声の方が圧倒的に多い。
おまけに彼らの部隊は品行方正な物が多い。
騎士の手本として示せるのは彼らとも言える。

「報告書にない範囲でお互いやり取りしたくてな。
勿論、口外するつもりはない。
さっそくだが、タナール砦を攻略した際君たちは何を使った?
何と言うか、手並みが鮮やか過ぎたのだが。」

鮮やかと言うよりは一切の戦闘行為がなかったように見受けられた。
後日調べたところ判明したのはその程度。

「教えてくれるのなら私が最近急に羽振りがよくなっている理由をお教えするが。
そうだな、君さえ良ければ一口噛ませても構わないが。」

彼の表情はあくまで変わらない。
付き合いの浅い者なら簡単にひっかるだろう。

ヴェルム > 「団長クラスの懇親会は惹かれるものがあるけれど
腹の探りあいになったりしそうだねぇ…」

元より王国軍師団はそれぞれ独自性が強く、他師団の具体的な情報はほとんど外部に漏れない。
なので団長を集めても仲良しこよしとはならなそうな気がする。
まぁ、そんな懇親会も見てみたくはある、支払いが経費なら尚更だ。

「あれか、やっぱり気になるよね。
なんてことはないよ、毒ガス砲弾を使ったんだ、誰でもできる」

少し前、魔族軍に占領されたタナール砦を戦闘無し、砦の被害無しで奪還せしめたことがあった。
鮮やか過ぎる報告に軍内部でもちょっとザワついていたが、今でもその件については囁かれたりしているらしい。
だがそれについて聞かれたヴェルムは、余りにもあっさりと真相を吐いた。

「試作兵器のテストを頼まれててね、他にもあるけどまだ試してないからノーコメントで。
それと、卿のしていることに興味は無いし、聞いたりもしないよ」

第十三師団は毒ガスを用いて魔族軍を全滅させた、ただそれだけだ。
また具体的にどこから頼まれて他にどんなものがあるのかは決して口にしなかった。
さらに彼女らの羽振りの良さの理由には興味を示さず、誘いにすらきっぱりと断った。
ただにこやかな笑みのままで。

フォーコ > 「それもそれで面白そうではないか?
横で見ている分には最高に良い肴になるぞ。」

彼が指摘するように、カードの見せ合いには到底ならないだろう。
私はそんな場を想像しては一人笑い、またグラスを空けていた。

「おや、随分とあっさり吐いたな。
それで砦内の水も食料も撤去していたのか。」

私は一発で酔いが覚めそうになった。
恐らく目を丸くしていたことだろう。
もう少しはぐらかしてくるかと思いきや何ともないと言わんばかりに教えてくれたではないか。

「試作と言うからには制式化した際はうちにも回ってくるのかな?
…隙が無いな、君は。
君みたいな切れ者が加わってくれると仕事が楽になったのだがな。」

毒ガスの入手ルートについては口を閉ざし、おまけに私の誘いは袖にする。
人の良さそうな笑みを浮かべているが頭の回転は速い。
一口乗れば最後、一蓮托生になると分かっているようだ。
私は空になったグラスを机に置いては溜息をついた。

ヴェルム > 「見ているだけならね、見ているだけにはならないだろうから。
こうして一対一で話しているほうが楽さ」

特に秘密の多い師団や、ウチみたいな癖のある師団に興味を持っている団長は多そうだ、フォーコのように。
それに、メンツを考えたらあまり色気がない。

「さっきも言ったとおり、誰でもできるし思いつく手段だ。
砦のような閉鎖空間でのガス攻撃は極めて効果的だ、しかも砲撃で撃ち込めるのなら尚更ね。
僕だったら媚薬ガス弾のほうが楽しそうでいいと思うけどね」

酒に強いのか、ヴェルムは飲んでもあまり酔っ払っているように見えない。
あっさり真相を吐くついでにガス攻撃の利点を語る…毒以外の手法ももちろんあると。
楽しい使い方のほうだが。

「どうだろうね、上も効果が出すぎでビビッてる節があるから、制式化しても配備は忠実な部隊や暗部だけじゃないかな。
それに、取扱いを間違えれば酷い死に方をすることになるし、僕はもう扱いたくはないかな。
僕は何も聞いてないし、知らないよ?
ただ秘密にしてなきゃいけないことを喋ってしまっただけさ」

切れ者なんかじゃないと、わざとらしい口調でのろけて見せる。
ただなんとなく、関わらないほうがいいと判断しただけだ。
あくまで師団同士の付き合いでいいと。

フォーコ > 「千載一遇の良い機会だと思ったのだが。
皆カードを隠してしまうな。」

今は外敵の脅威の他にテロのこともあり団結している。
しかし、これも状況が変われば互いに背後からの撃ちあいに変わるのだろうか。
とにかく私は宴の席が遠のいたことに肩を落としていた。

「媚薬ガスこそ相手を選ばないと意味がないだろう。
君や私が興味を持つような相手は大抵免疫があるのではないか?
ガチムチモンスターばかりが発情されても困るぞ。」

酒が回っていることもあり、容易にモンスター集団が発情している場面を想像してしまう。
うへえっと舌を出し、眉を下げていた。

「上は何がしたいのかよくわからんな。
被害を出さずに攻撃できる良い手だと思うのだが。
まあまあ、そちらに迷惑をかけることはないさ。
お互いのびのび仕事を楽しむとしよう。」

彼は察しが良いのか、距離の取り方が上手かった。
私は少し赤くなった顔で部下を呼ぶ。
彼のグラスが減っていたら継ぎ足し、次に私のグラスへ。

「それはそうと君の師団はメンバーが凄いな。
何かコツでもあるのかい?」

さりげなく二つ目の質問をしてみた。

ヴェルム > 「ふぅん…まぁでも第五師団とウチで合同の飲み会でもやるなら喜んで参加させてもらうよ。
上にはまぁ…合同演習って名目で説明がつく」

仲間であるはずがこれでは確かに一枚岩とは言えない。
シンプルに宴を楽しむのも悪くないし、機密があるとはいえ仲間内で駆け引きをするなんてと思う。
こちらも考えを改める必要がある。
ならせめて自分達だけで飲み会でもしようかと提案を。

「…確かに卿の言うとおり、媚薬ガスは魔族相手には向かなそうだね。
催涙ガスや睡眠ガスなんて選択肢もあるんだろうが、どうにもそういった非殺傷兵器を作る気配は無いな」

なかなか悲惨な想像をしたらしい彼女は気分が悪そう。
敵側に対する戦意喪失や抑止力には使えそうだが、こちらの士気まで下がっては意味が無い。

「ああ、仲間内で足を引っ張り合うなんてしたくないからね。
メンバー集めのコツなのかはわからないけど、単純に表立ってミレーや魔族の団員を募集しているのが良いんじゃないかな。
ウチに来るミレーも魔族も根無し草がほとんどでね、行くべき場所が無い連中に守るべき場所を提供できてるってことじゃないかな」

十三師団は種族に関わらず過ごし易くなるよう考えているつもりだし、そうなっている自負がある。
だからこそ団員たちは王国ではなく、十三師団に忠義を示してくれているのだ。