2018/07/03 のログ
ミリーディア > 昨日の今日でもう此れか、少女はそんな事を考えていた。
少女は何時も通りに柔らかな椅子に座った侭、デスク越しに前へと目を向けている。
其の先には数人の男達、誰もが身形から見て王族や貴族の者だろう。
口を揃えて自分が出した案件を否認する言葉を述べていた。

「なるほど、君達の意見はよく分かった…で、本当に儂が付け足しておいた文面に自信が在るのだね?
世の中、どんな人間だろうと叩けば埃は出るだろうに…」

特に変わった様子も見せぬ少女。
デスクに在る折り畳まれた数枚の紙、其処へと目を移せば選ぶ様に指を添える。
其の度に、其の紙は消えて男達の手元に一枚一枚渡ってゆく。
此れが如何した?そんな様子を見せる男達に一言。

「いいから見てみ給え」

訝しげに男達は折り畳まれた紙を広げ各々目を通す。

ミリーディア > 途端に男達の表情が揃って見る間に青褪めていった。
少女へと垂れ流す様な文句の言葉も消えてゆく。

「……如何かね、中々に面白い内容だろう?」

其処に書かれていたのは彼等の小なり大なり行った不正の数々。
其れに関わった他の者達全員の名前。
然も忘れてしまう程の過去の事さえも事細かに書かれているのだ。
沈黙を破る様に少女は声を向け、真っ直ぐに瞳を向ける。

「余り儂を舐めない方がいい。
別にこんな事をしなくても儂の力を以てすれば何事も無かったかの様に君達を消す事も出来たんだ。
此れは仏心だよ、そう思うだろう?
其れで…君達は何をしに此処へ来たのだったか?」

視線から感じる少女らしからぬ威圧感も在ってか、男達は萎縮する。
最早誰からも何も言葉は少女へと向けられない。
すごすごと室長室を後にして帰って行った。

ミリーディア > 誰も居なくなった室長室。
少女は柔らかな椅子へと身を沈ませた。

「儂とて不正は在るだろうに、其れと共に共倒れをするような度胸も無いか…
まあ、此れが地位と金しかない人間なのだろう」

小さな欠伸を洩らし寛ぐ様に天井を見上げる。
次はどの紅茶にしようか…思考は既に先程の事からあらぬ方向に向けられていた。

ミリーディア > 今日はまだ研究所に残る研究員が居る。
何でも次に製作した魔導機械のテストを行うとの事らしい。
其れを行うにおいて、何か在った時の為に居て欲しいとも聞いている。
故に気軽に深夜の散歩は出来そうもないか。

此れ以上は無駄な事が無い事を祈り乍、少女は此れと決めた紅茶を作りに掛かるのだった。

ご案内:「王都マグメール 王城内研究施設」からミリーディアさんが去りました。