2018/05/05 のログ
ご案内:「ローザの領域」にローザさんが現れました。
ご案内:「ローザの領域」にレキ・キドーさんが現れました。
■レキ・キドー > 行こう、と促されて歩き出そうとしたら、一瞬の光。
視界が戻ればもう港には居らず、ここは――
「ローザは… いずれの神様か何かか。」
こういう事がある世界に身を置いていたのでそこまで動転はしないが。
それにしても、すんなり取り込まれてしまったがこれは大丈夫かと、今更少し恐ろしくなる。
ぽかんと呆けたようになりながら、掲げ持つ刀をぎゅっと握りしめた。
■ローザ > 魔法で連れてきた先は別の次元にある一件の館。
今居る場所は食堂。 部屋の中央にある長いテーブルの上には多数の燭台が灯されている。
尤も、外の明るさもローザの気分次第。 今は昼となっている。
窓の外には広大な平野が広がっていた。
色とりどりの花が咲き誇り、魔族や魔獣、人や動物が自由気ままに暮らしている。
「驚いたよね。 これが僕の住処なんだ。
すぐに料理を持ってこさせるね。
希望とかある? お酒もたくさん用意しているよ?」
椅子は見た目は木製の椅子だが、魔法機械になっており自動的に動く仕組み。
来客をテーブルまで案内せんと、椅子が二脚やってくる。
座ればテーブルまで運んでくれることだろう。
「昔、魔王を倒した時に取り込んじゃってね。
その時にここも僕の物になったんだ。」
久しぶりの来客に興奮気味の少女。
「まずは座ろうよ。 で、お姉さんのことを色々聴かせて欲しいな。」
■レキ・キドー > 夢ではあるまいか、幻術の類ではと考えるけれどおそらく違う。
他にも人―― やそうでないものまで ――が居るのを見ると多少落ち着くが、自動椅子が寄って来ると思わず身を引いてしまった。
「い、いや、歩けるし… あ、お酒はいらない。食事は… その… お構いなく…」
遠慮するが食事は欲しかった。揺れていてあまり食欲は無いけれど、積極的に食べておいた方が良い体で。
ローザが椅子に運んでもらうのなら、ためらいがちに腰かける。
「……!」
無事テーブルに着くまでは、しゃちほこばって肘掛けを握りしめていた。
「魔王… 魔族の王か。高位になるとこんな… 神々じみた真似が出来るのか。」
それを倒したのか、とローザを見て、周囲を見回し… 相手の事はさておき、文字通り胃の中状態の、自分が取り込んでいる魂達を思う。いずれは私の中も宮殿に出来るのだろうかと。あるいは、ここはそんな場所とも違うのかもしれないけれど。
「…期待させて悪いけど、ローザの話より面白いって事は無いよ。
私は… お姉さん、なのかな? 私がこうなってから、そんなに時間は経ってない。」
対してローザは、これほどのものを手にしておいて見た目通りの年齢なのか。
お姉さんという慣れない呼び名がくすぐったいのもあって、そんな事を。
「私は、巫女―― 神官を、していた。ええと… 神殿騎士で通じるかな。」
■ローザ > 「あ、じゃあ軽めのものにするね。
その、驚かせてごめんなさい。」
人を招き寄せたことは本当に久しぶりで。
少女はいつも以上に張り切ってしまった。
結果として招いた相手を驚かせたことに眉を下げて謝る。
自らも椅子に載ると、彼女の向かいの席へと運ばれる。
同時に別室からゴーレムがやってきては食事を持ってくる。
テーブルの上には塩だけのおにぎりと味噌汁、冷ましたお茶が並べられる。
「魔王を倒してからもあちこち回って拾った物を持ちこんでいるうちにこうなったんだよね。
でも、お姉さんの反応を見るに他の人を連れてくるのは止めておくよ。」
驚かせては話も進まないなと、漸く気付いた少女。
以後はどこか手頃な宿へと連れて行くことだろう。
「僕の話しはもう終わったことばかりだよ。
お姉さんの話しは今の話しでしょ? そっちの方が大事だよ。
あ、どうぞ食べて食べて。」
年齢を気にされたようだが、少女はおにぎりを手にし、はぐらかす。
ひょっとしたら、実年齢は逆転しているのかもしれない。
「巫女で分かるよ。 で、どうなったの?」
■レキ・キドー > 「ああ、いや、こういうのを知らないわけじゃないから…」
謝ってもらう事ではない。むしろお招きに感謝なのだけど、他の人を連れて来るのはーと言うのには、そうだねと頷いてしまう。
「人によっては大喜びかもしれないけどね、ただ移動しただけだと思うとか―― え。」
給仕してくれるゴーレムをチラチラと気にしていたら、出してくれるのはまさかの和食。
わぁ、と嬉しそうにほんのり表情を明るくして、いそいそと口をつける。
「…いただきます。」
年齢については重要でなく、追及はしなかった。
「――私の務めは、生贄として育てられるヒトの子を、神々に捧げられるその時まで守護する事だった。
そういう子を汚しちゃいけないっていうんで、近くには女しか居られないし、そういう子は色んなものに狙われるから。」
「…あ、私の国は、神様として扱う範囲が幅広いんだ。だからここで言う神様には、精霊?とか妖精?なんかも含まれるって思ってもらえると。ローザの、この、魔王?っていうのも、うちではそう扱うかもしれない。
私達は神々を、基本的に立ち向かう対象としては見ない。物理の法則が人格を持ってるとかそんな感じで、とにかくどういうものかを知って、付き合い方を考えるのが第一で。
生贄に巫女を捧げるっていうのも、食べさせると言うよりは、召し使いとしてお側に置いて下さい、みたいな。そこに優秀な子を送るので、その代わりヒトとの間でこういう約束をしてくださいと―― ローザはこの辺、知ってるのかな。」
どこから話したものかと思案する風に言葉を探して、おむすび食べられないが、話はすぐに食欲の無くなるものになる。
「――すごくいい子がいたんだけどな。
外来のよく分からない神が流れて来た時、荒ぶって手が付けられないって言うんで、とにかくその子を送り付ける事になった。押しかけ女房みたいなね。簡単には取り込まれないように育てられてるし、そういう特に強い子を送り付けてとにかく宥めすかしてまず話せる状態にするみたいな事も、よくやるんだけど。
…とにかく柄の悪いカミサマだったからな。
…その子を行かせるのが嫌で。
奉納の時、カミサマを獲ってやろうとした。そんな事が出来れば苦労は無いから、私達はああしてたのに。」
■ローザ > 「いや、これじゃ駄目だよ。
毎回人を驚かせてたら僕が落ち着かない。」
和食に喜んでくれたことは良かったのだが、いきなり招き入れたのは
失敗だと肩を落とす少女。 次はどこかの宿へと変わるだろう。
料理を並べたゴーレム達はすぐにどこかに去ってしまう。
後は二人っきりだ。 話しが始まると、少女は食い入るようにお姉さんの話を聞いていた。
「僕もそういう国に行ったことあるよ。
僕の行った国では結局お姉さんの言う所の神様を倒すことになって、
結局僕が滅ぼしちゃったんだけどね。
今食べてる料理もその時教わったものだよ。
ただ、傍に置くだけってのはだいぶ条件が違うんだね。」
途中、おにぎりを食べたり味噌汁を啜っている。
少女が居た国では生贄だったが、今聴いている話では違うようだ。
「お姉さんの国に来た外来の神ってのは魔物みたいな物なのかな?
…で、結果はどうなったの?」
■レキ・キドー > 「力ずくで追い出すか言う事聞かせるようにがんばる事もあるんだけど、労力がね。
追い出したって荒れた土地と疲れたヒトが残るだけだし、力ずくで言う事聞かせるのは、押さえ付け続けなきゃならないし、最後の手段。」
「いや… 生贄は、生贄だよ?
奉公に出されるのとはもちろん違う。
肉体は置いてかなきゃならないし、帰れない、逃げられない。
ただ神様に尽くして尽くして、魂が疲弊して消えてしまうまで、相手をして目を引き続ける―― ぶっちゃけ玩具にされる事もあるだろうけど、玩具が壊れるまでその神様はヒトとの約束を守ってくれる。」
ただ生贄と言うと即座に消えてしまう、食事として提供されるようなイメージにならないだろうかと、説明迷走。
「…神様にさらわれた人と、その神様が祝福してるモノと、その神様自体への糸口を探してる、って話でいいのかな、ようするに。
私が奉納を邪魔したから、もちろん契約も何も無い。その子はただ攫われて、私は… 遊ばれたんだろうな、祝福を授かってこうなった。
あいつは、カミサマだよ。依り代として形を取る事はあるけど、それが必要なわけじゃない。どこかでは真面目に信仰されてるのかもしれないし、それが無くても私みたいに祝福したものから、上前をはねて元気つけてる。御本尊みたいなのがどこにあるのかすら分からないし、それを壊したところであいつが消えるわけでもない。
私が最後に見た時は、肉の山の天辺にイチョウの木を生やしてた。」
■ローザ > 「僕も悲惨な地域はたくさん見てきたけど、お姉さんの住んでる国はかなり酷いね。
それって魂を取り込まれる訳だ。
こっちでいう所の死霊術師に使ったような状態かな?
どちらにせよ食べられるよりもずっと地獄が続くんだね。」
相手の説明を聴いている内に、少女は眉間に皺が寄っていた。
元々人助けを生業としていただけに惨たらしい状況を聴かされると語勢が強くなっていた。
「お姉さんの目的は分かったよ。
僕も出来る限り協力するけど、とても難しいことのように思えるね。
まずは手がかりを探さないとどうにもならないね。」
話しに熱中し始め、次第に食事の手が止まる。
喉が渇いたのでお茶を流し込んで。
「良かったらお姉さんの身体のことも教えてくれる?
僕で手助けできることがあるなら協力するよ。
お姉さんの身体はまだまだ不安定そうだしね。」
■レキ・キドー > 「――上手くやってるよ。
誰も貧乏くじを引かない社会があるなら負けるけど。
奉納される巫女の待遇は悪くないし、国土を背負って立つ気概が無いとそもそも務めなんか果たせない。
…自分の務めだと納得して、望んで、行くんだ。
言い訳じゃないよ? 巫女を守護する戦士は、巫女の落第生から成る。
だから… 私は分かってたのにな。」
語気を荒くするローザに首を振る。
例え奉納される神様が、下品極まる特性を持っていたとしても、あの子は喜んで捧げられ、懸命にその務めを果たしただろう。
私が一時の感情でそれを邪魔したのだと注釈をつけて、声が震えた。
「…協力は、そんな。」
勇者の性なのかもしれないが、積極的に協力してもらう筋合いではないと首を振った。
本当のところ同志や仲間は喉から手が出るほど欲しいが、ローザの事がよく分からずに不安が残る。
私は、正義は我にありとはとても言えない。
「――ただ、私を見て感じるのと似たものを持ってるヒトやら物やらがあったら、教えてくれるとありがたい。
たぶん物なら、素材やら模様にイチョウが関連してるか… 無いのもあるかもだけど…」
「ヒトなら… こういう特性のやつは他にも居そうだけど、怪我しても放っておけば直るとか、死んでるように見えて生きてるとか、極端に死ににくいやつがいたら。」
…私がそうなのだと言って、肝心なところは話せなかった。
再生の活力となり得る、魂の収集は、ローザが先ほど「かなり酷い」と評したもので。
それを認識されていなかったのであれば、やはり勘付かれる前に距離を取るべきだろうと思ってしまう。
今の時点では
■ローザ > 「それで皆が豊かに暮らせるのなら幸せかもしれないね。
ごめんね、軽はずみなことを口にして。」
人々が暮らしていく為に選んだことなのだと言われると、少女はそれ以上何も言えず。
それで神々の協力を得られるのならそれも一つの正解なのだろう。
「…そうだね、まだお互い初対面だもんね。
とりあえずイチョウを見かけたら気にするようにするし、
それで進展があれば連絡するよ。」
まだどこか話を伏せたりしている気がする。
少女はそのことを口にすることはしなかった。
焦らずとも、時間をかけてゆっくりと分かり合えばいいのだから。
この日はこれ以上のことを少女は聴こうとしなかった。
相手が満足できるだけの食事を提供すると、風呂と寝床を貸し出すだろう。
翌日、朝食を終えた所でダイラスの港にお送りするのであった。
■レキ・キドー > 「……。」
「…いや、ありがと…」
もそもそと口にする礼が何に対してのものなのかは分からなくていい。
反論するように言ってしまったが、ローザが自分達のやり方を非難してくれたのは、少し嬉しくもあった。
しかしそれは個人的な感情で。捧げられていった巫女達を思えば不敬にあたる。
「…うん、頼みます。
って言っても、まだ宿無しだけど。」
連絡先をどことも指定できなくて、気まずそうにちょっと冗談めかした。
このローザなら、連絡など無くてもこちらを見つけそうな気がするが。
「――それで、私は何をすればいい?」
多少なりと助力が欲しくて自分の話をした。その見返りは、本当に何も無いのか。
それでなくとも一宿一飯の恩義はできてしまいそうで、報いるのに何をすれば良いのかと困ってしまう。
何も無いとなるとお言葉に甘えるしかなくなるが、ダイラスでのお別れでは恐縮しきりだったとか。
ご案内:「ローザの領域」からローザさんが去りました。
ご案内:「ローザの領域」からレキ・キドーさんが去りました。