2018/04/15 のログ
フォーコ > 「まあ、そうなるだろうな。
人気のある師団以外は皆ろくに知らないものだ。
しかし、それならよく私の名を知っていたな。」

私そのものは悪名高いようなので知っていたとしても驚きはしない。
その割には彼女は落ち着き払っている。
私のことを知っているのならもう少し露骨に嫌な顔をされそうなのだが。

「なんだ、完全に部外者ではないか。
軍隊である以上勝手に部外者を入れさせるわけにはいかんな。
…お前みたいなものをホイホイ通すわけにはいかんと言っているんだ。
あまり舐めたことを言っていると叩きだすぞ。」

城内では最早珍しくもなくなりつつある、入り込んだ魔族の類か。
数時間前は友人に斜陽と言ったこの国の現状が目の前にあった。
声を荒げても無反応のこの女性はよほど己に自信があるのだろう。
私は彼女の胸ぐらをつかもうとしていた。
彼女の物言いに腹を立てたわけではないが、このまま放っておくわけにもいかない。

ナズナ > 「いえいえ、第七師団が人気のある師団と言う事自体、私は知り得ぬ事でしたので。
人気の有無はともかく、師団を纏める方の名前くらいは知っているものではないのでしょうか?
もっとも、主様は、その辺りの事は覚える気が無いようですが」

実際には、それがこの世界での常識なのかどうかは知らない。
が、己の世界の常識範囲内での考え方で答えておいた。
もし違ったとしても、人によって詳しいの程度違いとでも答えておけば良い。

「えぇ、私は部外者ではありますね。
ですが、貴女が考えているような、魔族等の類でも御座いません。
…しかし、それは困りましたね…貴女の案内が無いのであれば、私自身で探さねばならないでしょう。
もしかしたら、また違う部屋に入ってしまい、関係ない情報を集めてしまうかもしれません。
それが、良い事なのか悪い事なのか、判断しかねますが。
そう考えると、素直に第七師団に案内して頂けると、お互いに良いのではないのでしょうか?
案内をした貴女自身も、その記憶からこの事実は消え、ただこの部屋にやって来ただけ…そうなるのです」

別に、事を荒立てるつもりはない。
この目の前の女性が、案内してくれれば、他には何も問題なく事が済むのだ。
そう済ませたくないならば…好きに行動すれば良いだろう。
笑顔から何一つ表情を変える事なく、その胸倉を掴まれる。
ただ…そこから、引き寄せようとしても、ぴくりとも女性を動かす事は出来ないが。

フォーコ > 「君の主とやらは第七に所属しているのか?
その言い方だとまるで全師団長の名前をソラで言えるようではないか。」

はたして、このような底の知れない相手の主となるとどのような人物であろうか。
私はその主様とやらに興味が湧いた。

「貴女は賢いようだが、もう少し相手を刺激しない方法は取れないのか?
それとも、私が取るに足らない相手と思って見下しているのか?
嘘でも関係者である君の主から話は通していると言えば案内したし、
それが出来ないなら黙ってこの部屋を出てから探れば良かったではないか。
なぜわざわざ全部を私に話す必要がある?
おまけに私の記憶を弄るだと?
愚弄するのもいい加減にしろ。」

胸ぐらをつかむも、彼女は全く動かない。
おまけにその状態で貼り付けたような笑顔を変えることすらない。
異様な相手だが、それでもここまで言われて大人しくしていては沽券に係わる。
私は掴んでいる手から炎を噴き出す。
動かないのなら無理矢理でも動きたくなるようにしてやろう。

ナズナ > 「いいえ、関係を持ってはいますが、所属はしておりません。
あぁ…色々と、興味を持った事を調べる事が好きな方が、身近に居りますから」

その調べ方は伝えないが、こう伝えておけば納得出来るだろうか?
下手な事は、そろそろ溢さないように考えながら、言葉を紡ぎ。

「今、この行動は私の独断、そう御伝えしましたよね?
きっと貴女は、主様が関係者と伝えれば、後々にその関係性を調べようとするでしょう。
それは、私自身が勝手に行動した事が、主様に伝わる可能性があるので困ります。
案内があれば時間も節約出来、無駄な行動が抑えられる。
そして、貴女は私に案内をさせられた事を、後々まで気にする…違いますか?
案内して頂いた後に記憶を消せば、貴女はそれを気にする事もなくなるのです。
確かに、今、この時点ではそう思えても仕方ないでしょう…それは否定致しません。
それでも、先々を考えれば、それが最善の流れ…私の個人的な考えではありますが。
それ以外に、何か良い道があるのであれば…お伺いしますよ?」

己を掴む女性の手から、炎が噴出し始める。
ちらりと、視線を下へと向けて、それを見詰めるも…それだけだった。
その炎によって、己をどうしたいのかは分からない。
が、その炎が己の身を包もうと、着込む浴衣さえ燃やし尽くす事は叶わない。
女性から見れば、炎の中でも平然と自分を見詰める己の姿が見て取れる事だろう。
先の考えの通りだ、荒事を起こすつもりはない。
こちらからは、一切の手出しはしないつもりだ。

フォーコ > 「客分か何かか?
まあ、その姿勢は良いと思うぞ。
情報は多い方が何かと有利だ。」

言葉を選んだり、濁していることはなんとなく分かるが、
そうしている以上はこちらか追及するつもりはない。
問題はその次だ。

「名前を知ってくれている割には私のことを知らないようだ。
私は君と違って効率よりも感情で動く生き物でな。
コケにされて黙っているわけにはいかんし、ましてや勝手に記憶を消そうとして
納得するような物わかりが良い女ではないんだ。
…数分だけ時間をやる。 私がこの部屋に戻ってくるまでに出て行くがいい。
貴様が私の知らない所で何をしていようと私には関係ない。
主殿とやらに会ったとしても今日のことは黙っておいてやる。
ただ、私と私の部下に何かしているのが分かった時はただではすまさんぞ。」

正直のところ、記憶の操作については今の装備で対抗できるので問題ない。
口には出さないが。
だが、この女を焼くことは今の装備では難しいようだ。
普段なら着物の端辺りが黒い炎を出すはずが何も起きない。
私は彼女の胸ぐらから手を離すと、部屋を後にする。

戻ってきてもまだ部屋に居たら?
その時はいよいよ武器を取ってくるしかないだろう。

ご案内:「王都マグメール 王城 ある師団の執務室」からフォーコさんが去りました。
ナズナ > 「そうですね…多分、そのような関係ではないのでしょうか?
何事も、知っていればそれなりに…どのような知識であれ、確かにあって損はありませんもの」

その考え方で、確か合っていたはずか。
少々はぐらかすような言葉と、後は、それに賛同するような言葉を。

「やはり、そうした方々と言うのは、納得して頂くのが難しい事で…困ったものです。
いえ、そもそも、考え方の違いによって意見は平行線となるのでしょうから、仕方ないのでしょうか?
あ、時間を頂けるならば、出来ればこの事の記憶も………はい、そうですね、させる訳も無いですか。
仕方ありませんね、少々時間が掛かりますが、自分で探すと致しましょう。
私は、何事もなかった事にはしますが、それ以外の事をするつもりはありません。
ですので、その点は心配なさる事は無いかと」

説き伏せるのは難しい、かと言って、無理矢理の力押しもするつもりはない。
勝手に事象を変えたりも、なるべくは避けなければならない。
そうなると、この手の相手と言うのは、本当に扱いが難しいもの。
とは言え、相手も、己を相手取るような無謀な事はしないようで。
手を離し、部屋を後にする女性に、軽く一礼を。

「………糸乃様に、改めて城内の見取り図でも作って頂くしか…
ともあれ、参りましょう」

そして、呟き、その後に続いて部屋を後にした。
女性が戻った頃には、誰も居ない部屋となっているだろう。

ご案内:「王都マグメール 王城 ある師団の執務室」からナズナさんが去りました。