2017/12/29 のログ
ご案内:「王都 平民地区・娼館通り」にブレイドさんが現れました。
ブレイド > 独り歩く道。帰り道。
ここらの通りは日に日に賑わいを増していて、今日もそれなりの人混み。
通り過ぎるだけのものもいるだろうが、大体の者が目的を持っていると思われる。
自分はどちらかと言えばただ通り過ぎるだけではあるが。
以前、とある娼婦の少女から受けた言葉を真に受けているわけでもあるまい…。
だが、ここをこうして歩いてしまうということは、まぁ、そういうことだ。
我ながら浅ましいというかなんというか……

「はぁ…金もねぇのに阿呆らしい」

思わずため息が漏れる。

ブレイド > 新しく買い替えたフード付きマントは厚手で作りがしっかりしている。
前までの襤褸に比べれば見た目がましになったということだ。
そうなると、それなりに客引きの女に声をかけられることもある。
貧乏人だと説明すれば、興味を失ってさっていくが、そのたびに情けなさでため息が出る。
いや、もうすぐ報酬が出るのだから今は我慢…

「……(いや、そうじゃねぇか)」

その報酬は別の用途がすでに決まっている。
バカみたいな考えを振り払うように頭を振って。

ブレイド > そういえば、マントで隠れてはいるものの、自分の着ている服も結構くたびれてきた気がする。
冒険者用の丈夫な布地ではあるが、毎日着回ししていればわりと痛みが目立つようになってくる。
ついでと言ってはなんだが、普段使い用の服も新しく買ったほうがいいかもしれない。
現在、同居している少女に服を買うと約束をしていたし、そのついでで…。
そこまで考えて、はたと歩みを止める。

「(そういや、女物の服の選び方とかまったくわかんねぇ…
そもそもサイズっつーか…あれ、どうすんだ…)」

どうしよう。少し困ってしまった。
そして急に立ち止まったせいで、人波に押されてしまう。

「うおっ!?」

人の流れから押し出されて、もう一度ため息。何やってんだか…。

ブレイド > 街歩きもそろそろなれたかと思ったが、まだまだだったようだ。
先日も財布を落としただかスられただかでなくしてしまったし。
賑わいそのものは好きだが、人混みはどうにもダメっぽい。
またため息が出そうになる。今日だけで何度目だ。
飛び交う男の声、女の声…流れる人波、こういうもの少し外れた場所から見聞きするのも悪くはないが…

「(こんなところでぼーっとしてたらあらぬ疑いかけられそうだな…)」

金に困っても体を売るつもりはない。
変なのに声をかけられぬうちにそうそうに立ち去ることにしよう。

ご案内:「王都 平民地区・娼館通り」からブレイドさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にシズクさんが現れました。
シズク > 寒空の中、年の瀬も近いからか、貧民地区も人出が多い。
勿論もう夜も深夜を迎えようという時間だから、この辺りの人出といえば、真っ当な人ばかり、とは言えないが。

そんな賑やかな喧騒を聞いているのは、雑貨屋の店番中の少女であった。
貧民地区のほぼ中央に位置するが、路地を進んだ先にあるこの雑貨屋は、雑多なモノばかりが販売されている「雑貨屋」であった。
入口から店番をするカウンターまで、大人であれば10歩も歩まずともたどり着く狭さに、腰高の棚が2つ。
そんなこじんまりとした店だというのに、破格の日給での店番であったから飛びついたのだが。

「店主さんが言ってたのに、おかしいなぁ。…若くて可愛い女の子だと売り上げがいい、って」

カウンターの向こうに腰を下ろし、だっらーーー、と前屈みでカウンターに頬杖。
朝方店主と話した言葉を思い出す。
『勘定はしなくていい。魔導機械が映像を撮ってるから、必要なものを渡していい。
納品に来たら受け取るだけでいい。支払いもギルド経由だから。
とにかく、若くて可愛い女の子だったらそれでいいから』

…という話だったわけで。

「てかっ!それだと私が可愛くないみたいじゃんっ!」

………朝からいまだ客が来ない小さな店に木霊する空しい叫び。
そして本日何度目か、いや、何十回目か、椅子から立ち上がり、カウンターを抜け、商品棚を眺めて歩く。
その様子も、小さな店にもかかわらず、驚くほどたくさん設置されている魔導機械が、
働きぶりはもちろん、万が一の万引きもチェック、というところであった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にエズラさんが現れました。
エズラ > とっぷりと日が暮れて、時刻は深夜。
素性怪しき者達が闊歩する時間帯である。
御多分に漏れず「素性怪しき」男が、何気なく見かけた雑貨屋に――

「……お!」

見知った顔を発見し、そちらへ足を向ける。
以前、ギルドで出会った少女――果て、こんな店で見かけたことはなかったが――
訝しみつつも、軽く手を挙げ挨拶しながら、店の中へと足を踏み入れる。

「よう、シズクちゃん――」

シズク > 武器から食料品まで、なんでもごちゃごちゃに詰め込んだ棚を眺めながらうろちょろ。
うろちょろ…も1分もせず終わる狭さ。
ぐるっと狭い店を1周して、またカウンターに戻ってきてしまうと、はぁぁぁ、とため息が零れる。
今日、どれだけこれを繰り返したんだろうか。
店番終了の明朝まで、この繰り返しを想像すると萎える心がないわけでもない。

肩を落とし、カウンターの向こうへと戻ろうとしたとき、店の扉が開く音が。
少しひんやりする外気が流れたのと、

「わおっ!いらっしゃいまっせーーーっ!!」

無駄に明るい声と満面の笑みであいさつしたのは同時。
揉み手する勢いで客を見れば、

「あれっ!…ええとぉ、エズラさん!」

目をぱちくりさせて、一瞬名前が出なかったのは、ずいぶん久しぶりに出会う人物だからで。
それでもすぐに笑みを浮かべ、

「本日大特価!通常の3割増しです!」

…3割引きではない、ある意味「大特価」で、指を3本立てて。

エズラ > 「おわっ……相変わらず、元気いいね……――」

特大の声で元気に挨拶され、じり、と一歩後ずさり。
まるで朝一番の客を迎えるような調子である。

「そうそう、憶えててくれて嬉しいぜ――ここって、シズクちゃんの店――じゃ、なさそうだな」

ぐるり、と店内を見渡して。
武器や食料品の他、日用品まで手広く揃え、手狭な空間に所狭しと陳列されている。
しかも、魔導機械までもが数多く設置されている。
恐らく、店番を任されているのだろうが――

「って、割り増しされてるのかよ!」

続く宣伝文句にがくっと肩を落とし。
「それじゃオレみてぇな金欠にゃ厳しいぜ」と笑いながら返答。