2016/05/25 のログ
ご案内:「ドラゴンフィート・チェーンブレイカーの訓練場」にリーゼロッテさんが現れました。
リーゼロッテ > 山寄りの開けた場所にある訓練場は、何時もは魔法銃の訓練に使われる一角。
そこで一人、何時もと違うライフルを手に椅子に座った状態でライフルを構えていた。
台座の上に二脚で安定させたライフルのストックを肩に当て、単眼鏡を覗きこむ。
今後投入予定として作られた新しいタイプの魔法銃だが、その微調整を任され、こうして試し撃ちに勤しんでいる。

「……」

銃口に青白い魔法陣を広げながら、両目を開いた状態で狙いを定めていく。
片目を瞑るとより正確に狙いやすくなるものの、視野が狭まるからと学校では両目で見るように言われたクセのまま倍率の違う世界を見つめる。
そよそよと可愛らしい服の裾が揺れる中、呼吸を止めて体の上下を抑えた瞬間、きゅっとトリガーを絞る。
キィンッ! と魔法の発動する独特な音を響かせながら魔法弾は飛翔し、何時もよりも早い弾速はあっという間に遠く離れた人型の的へと到達し、頭部を貫いた。

「……本当に狙撃用なんだ」

ティルヒアの鉱山にある造兵廠で試作されたものだったが、予想以上に狙撃用に仕上げられた量産品に目をぱちぱちと瞬かせながら、レンズから目を遠ざけた。

リーゼロッテ > 弾速が通常のものよりも早く、何より魔法弾の増幅率がとても高いこと。
ただの魔法弾でもあれだけの距離離れた鉄製の的を撃ち抜けるのは、使った本人が破壊力に驚いているぐらい。
勿論いいことばかりではなく、出来ないと言われたことを試すことに。
もう一度構え直し、トリガーに指をかけて魔法陣を展開しようとするが、バチバチッ!!とショートする音が響き、魔法陣は広がらない。

「…弾丸しか撃てないんだ、ほんとに」

只管に遠くの的を高い火力で一撃で撃ちぬく。
狙撃だけに調整されたそれは、何時もの薔薇蔦の魔法弾を形成しようとするとオーバーロードして魔力を散らし、弾丸を作ることが出来ない。
攻撃用の魔法の弾、魔力の塊や圧縮された火の弾といった、攻撃手段のみ。
攻撃しか来ないのだから、撃つときは回避に専念すればいいだけで、近づかれたら切り返す術がない。
眉間にしわを寄せながらじっと銃を見やると、排莢口から溢れる魔力の煙をパタパタと祓っていく。

「あと、カバーだったっけ…?」

瓶のような大きな筒を手に取ると、銃口のねじ山にクリクリと回して取り付けていく。
魔力の光を吸収する黒い筒は、遠くから魔法陣の光を見られないようにするための細工なのだとか。
それを嵌め終えれば、もう一度とライフルを構え直し、レンズを覗き込んだ。

ご案内:「ドラゴンフィート・チェーンブレイカーの訓練場」にセイン=ディバンさんが現れました。
セイン=ディバン > 「ど、ち、く、しょおぉぉぉおおっっ!!」

静寂。時折射撃音。それ以外はあるはずの無い空間に突如、男の下品な叫び声が響いた。声の主の男は空からの自由落下中。地面に衝突する前に詠唱一回。

「Flip vertical!!(上下反転)」

声と同時に男の身体がクルクルと回り。すた、と静かに着地する。
そのまま回りをキョロキョロと見渡し、深いため息を一つ。

「はぁ。今度はどこだよここ。見たことも無い場所だな」

頭を掻き毟りながらまたチクショウと叫ぶ。人の気配など気づきもしない。

リーゼロッテ > 隠れた銃口から広がる魔法陣は、光を外に溢すことなく魔力を貯めこむ。
ぐっと引き金を絞っていき、発射しようかと思った瞬間、空から聞こえる男性の声にビクッとして指がピンと伸びきった。

「えっ……?」

驚きながら空を見上げれば、落下してくる男性の姿。
そして回転しながらも綺麗に着地する様子を見やれば、きょとんとしながら改めて空を見上げた。

「ザムくんが落としたわけじゃ…ないよね?」

おそらく空で飛行中だろうと思った使役獣へ思念伝いに問いかければ、脳裏に響くのは俺じゃないという言葉と、更に奥にある巣にいるという返事。
じゃあこの人はだれだろうか? と思いつつ、台座に立てかけたいつものライフルを手に、ベルトを肩に通してそちらへと歩いて行く。
周りには真新しい建物が幾つかあり、軍のような訓練設備がちらほらと見えるはず。

「…えっと、九頭竜山脈の麓のドラゴンフィートって集落ですよ。そこの民間軍事組合の敷地内です」

見たこともないと言われれば、関係者以外立入禁止だからねと内心で呟きながら苦笑いを溢す。

セイン=ディバン > 自作トラップとしてのテレポーターの作成。試験的に作成したそれを発動した瞬間、座標の設定を行っていなかったのに気づくも時既に遅く。

「……最悪、帰ることはできるだろうが。さーてどうしたもんかな」

右手の指輪を見ながらぼやく。なんとか人に会えれば場所も判ろうが。
そう考えて周りの風景を観察すれば、どこか人造的な雰囲気を感じる。ダンジョンではないのか? と思っていれば声をかけられ。

「ん? ……あぁ、えっと。情報ありがとうカワイコちゃん。
 ってことは、随分飛んだな……。民間軍事組合ってことは、ギルドってことか?」

相手の言葉を咀嚼しながら一礼。マグメールからの転送としてはかなりの長距離移動になってしまったようだ。

リーゼロッテ > 指輪を見ながら何かをつぶやく彼の様子を見つつ、軽く首を傾げる。

何処かという問に素直に言葉を返せば、お世辞っぽいお礼の言葉にくすっと笑いながら、いえいえ と返事を返すと、続く問いに考えるように視線を上へそらし、暫し間を置いて。

「……近い、といえば近いですけども、どちらかといいますと…王国軍っぽいといいますか、間みたいな…感じです」

ギルドのように広く仕事をとっているわけでもないし、軍属といえばそこからは切り離されているしと、曖昧なラインを説明しようにも、この娘の頭では難しく、困った様に笑いながら精一杯の返事をする。

「えっと…貴方は?」

ともかく、見ず知らずの男を拠点内に入れてそのままにするわけにもいかず、まずは彼の存在を確かめようとおずおずと問いかけながらじっと見つめる。

セイン=ディバン > 「なるほどな。民間、軍事、組合。ってことで、間、か。
 いや、納得した。アリガト」

相手の言いよどむ言葉を汲み取り、一人納得する。
自分の知らない世界、自分の知らない組織だが。あまり深入りしない方がいいのだろう。相手への迷惑を考えても。

「あぁ。えっと。冒険者ギルド・シーフギルド所属のセイン=ディバンだ。他には……『怠惰』の魔王軍所属」

相手の質問の声に、自身の名前と所属を言う。しかも、全て包み隠さず。
相手がこの言葉を冗談だと思わない限りはマズいことにもなりかねないが。そもそも相手の組織の管理施設に迷い込んだ以上、嘘をついても逆によくないことを招きかねないという判断からだった。

リーゼロッテ > 「…た、多分そんな感じです」

よく分かっていないが納得してくれたようなので安堵の笑みを見せつつ、ホッとしていた。
それも続く言葉にすぐに消えていってしまうのだが。

「冒険者ギルドとシーフギルドですか。セインさんですね、私は……」

中央館で未開拓の洞窟の仕事を斡旋しているのもあり、そこに来たのが何故か空からやってきたのかなと妙な想像をしたところで、魔王軍と聞いた瞬間表情が一瞬で凍りつき、間髪入れずに地面を蹴って、一気に距離を離そうとしつつ肩にかけていたライフルを素早く構えた。

「――魔族の軍勢の方が何用でしょうか…?」

自分にとっては心の傷口を作ってばかりの魔族という存在はとても触れたくない存在であり、砦での攻防戦に関わることもあって基本的には敵対する相手。
それが単独とはいえ入り込んだとなれば、一気に警戒してしまう。
先程までの柔らかな笑みが引っ込み、引き締まった表情には淡い憤怒が交じる。

セイン=ディバン > なぜか安堵の表情をみせる相手の様子に首をかしげ苦笑する。
なにか安堵されるようなことをしただろうか?

「多分、ね。なんともあいまいだなぁ」

相手の言葉をわざとつつくも、次の瞬間、空気が張り詰める。
見惚れるような距離のとり方、そして淀みなく構えられた武器。
終ぞ眼にしたことはなかったが。おそらくは銃という武器だということは知識だけで知っていた。

「……ちょい待ち。何用も何も、テレポーターの誤作動で飛んできただけだよ。別に何も悪巧みはしちゃいない。
 もっと言えば、俺は別に人間を裏切ったつもりもない」

相手の警戒も最もだが、黙って撃たれる趣味も無ければ義理も無い。
自身も短刀を抜き、身体の前で逆手に構えながら、相手の表情を観察する。
警戒。怒り。なにやら魔族と因縁があるようだが。

「とにかく、武器を収めてくれないか? じゃないとこっちも腹をくくらなきゃならん」

リーゼロッテ > 「……テレポーター、ですか」

空間移動の術の類だろうかと思いつつも、それなら失敗してあらぬところに飛んできたと言葉の辻褄は合うが、そうかと構えを解くには不安が残る。
使役獣伝いに自分の言葉を他の隼へ、そしてその契約者の少女達へと伝えていけば、周囲の建物の中で周囲の気配に溶けこむようにしつつ身を隠し、こちらの援護に当たれるように動き始めるが…。

「…向こうは人を人と思っていない様な人達です、そんな人達と…」

そんな存在と一緒になるなんて考えることも出来ず、滲む憤怒にライフルを握る力が少し強まる。
武器を降ろせと言われれば、降ろしたくはないものの、使役獣から一人位置についたと、思念の言葉で一応の安全がとれる確証を得れば、銃口をゆっくりと下ろしながら袈裟懸けにしたベルトで肩からライフルを提げた。

「…下ろしました、そちらも収めてくれますか?」

少々不機嫌気味に表情を曇らせながら、そちらも武器を納めるように呼びかける。

セイン=ディバン > 「あぁ。自作トラップとして作ってたら座標の指定を忘れて。
 んで適当な位置に飛ばされたってわけ。いや、かべのなかにいなくて助かったよ」

相手の仕草を監察しながら補足説明。実際、壁や石の中にテレポートしていたら死んでいた訳で。

「……まぁ。そりゃそうだけどな。
 話が通じる相手もいた、ってことさ。実際オレは会話で窮地を乗り切ったわけだし」

普通に考えれば、相手の言葉が道理だ。
種族が違い、争っている相手。それに組すればそれは単純に裏切りと見て間違いは無いのだろう。

「はいはい。下ろしたついでに、自己紹介の続きを頂いてもいいかな?
 ……あと。こっちを狙ってるお仲間さんに、誤射しないでね、って伝えておいてくれると安心」

相手が武器を納めたのを確認し、こちらも短剣をくるくると回転させて鞘に収める。
続いて両手を上に上げて軽薄そうな笑顔を浮かべれば、口からはこれまた重みの無い言葉が出る。

リーゼロッテ > 空間転移の術を使用する道具のテスト、そんなところだろうか。
確かに岩や壁の中でなくてよかったかも知れないが、空から落下するのもどうだろうかと心の中で突っ込みながら構えを解く。

「話が通じるですか……通じるのと軍門に下るのは別だとおもいますけど」

その場凌ぎとはいえ、自ら下った先のことをいうのはどうにも信用ならないと思えてしまう。
短剣を納める様子に、とりあえずの衝突は回避されたが、周囲で静かに配置についていく仲間達は言葉に動じず影に潜む。

「多分しないですよ、凄く上手ですから……。 リーゼロッテです、ここで魔法銃の講師とか色々な事の先生したり、雑用をしたりしてます」

この状態で軽い流れで名を問い返せるのは、ただ軽いだけなのか肝が座っているのやら。
どちらにしても魔族と繋がったという一点は気に食わないらしく、相変わらずに不機嫌そうな様子で自己紹介を紡いだ。

セイン=ディバン > 「いや、だってその俺の命を見逃してくれた魔王様。

 可愛かったんだもん」

人間でありながらなぜ魔王の下についたのか。答えは簡単。
魔王が可愛かったから。この男、これを嘘でも冗談でもなく、本気で言っている。

「あ、そ。そら一安心。リーゼちゃんね。……魔法、銃? その、書物にあるような、オレの知ってる『銃』とは違うのか? 火薬とかなんとか。鉄の『ダンガン』ってのを飛ばすとかいう、そんな武器とは?」

相手の自己紹介された名を短縮形で呼ぶも、その後の単語に食いつく。
自身が単独で仕事を受けることばかりだったので、冒険者ギルドに『ガンナー』という職種で登録してる人間とは面識も無く。
銃というものは書物でしか知らないために湧き上がる疑問であった。

リーゼロッテ > 「……」

理由のあまりの酷さに、以前参謀さんから習った筆舌に尽くし難いという言葉の心境を実を持って知った。
嘲笑すら浮かべる気力がわかず、それでもどうにか薄っすらと笑ったが冷たい感じになってしまう。

「……魔法を放つ銃です、火薬銃とは違います。ティルヒアの魔術学校で生み出された新しい魔法です。魔力を圧縮した魔法弾とか…そういうのを使うんです」

勝手に愛称で呼ばれてると思うものの、特にそれに訂正を求めることはない。
興味あり気な問い掛けだが、警戒はまだ残っているらしく、離れた距離から動かずじっと見つめながら答えた。

セイン=ディバン > 「え、なにその冷たい笑みは。オレ変な事言ったか?」

相手の笑顔の質が温かいそれではないことに、驚いたような表情を浮かべる。
普通に考えれば一般的な反応なのだろうが、この男にとっては自分の言葉に何かおかしな点があったか、自覚できておらず。

「ほ……っお~。すっげぇな。それ。つまり魔術を使えなくても、物理攻撃無効化できる敵と戦えるってわけだ」

仕組みまではわからないが、概要は理解できたらしく。感心したそぶりで相手の周りをグルグルと回る。
どうにも瞳は輝き、まるでオモチャを見つけた子供のソレだ。

「……それさぁ。撃ってるところとか見せて貰えない? ダメ?」

挙句の果てにとんでもない事を言う。自身が警戒されているとかそんなことはおかまいなし。
ただただ興味が先行してしまっている。

リーゼロッテ > 「言ってないと思うなら…多分気のせいじゃないかと」

これで今度は人間側に愛らしい将校がいたらそっちにねがえるのだろうかと思いながら、心が静かに冷えていく。
悪党というところではないのだろうとは思えたものの、誠実さというところでいうなら欠けるような気がして、どうにも一歩離れた反応を返してしまう。

「…そんなところですね」

正確には魔法を無詠唱短縮化し、手数で魔法を並べるもの。
そこまで細かく説明するところでもないだろうと思っているが、自分の周囲を回る彼に少しばかり警戒して、視野から消えないように目で追いかけた。
真っ白な木製フレームに蔦模様を思わせる金のモールドと、銀色の金属パーツといった、戦闘用らしかぬ装飾が目立つ銃を抱えていた。

「……ダメです、敵と繋がってる人に手の内を明かすわけにはいかないですし」

これだけ怪しさのある存在に多少なりとはいえ、手の内を晒すのはどうにも気が引ける。
ふるふると頭を振ると、こつこつと足音を立てて怜悧な雰囲気をまとった男が二人へと近づいてくるだろう。
その背後には量産されたマスケット式の魔法銃を持ったミレーの少女達が6人程後に続いていた。

「…あとは参謀さんに聞いてください、変なこというと、出られなくなっちゃいますからね?」

足早に台座に置いていた試作型のライフルの元へと戻ると、それを抱えて宿舎の方へと向かってしまう。
代わりに対応にあたる参謀と呼ばれた男は、リーゼとは真逆に冷静に彼に接するだろう。
妙なことをしなければ、程々に事情を聞いてから集落の一般区域へと彼を開放するだけだ。

セイン=ディバン > 「そうかぁ? ……ふむ。
 キミ、オレのことを軽薄で不誠実な男だと思ってるだろ」

相手の様子を見ながらそう確認する。
多分この男とであったならほとんどの男がそう思うであろうが。

「うっお。デザインもかっけぇなぁ!! 美しい装飾がなおさらグッドだ!!」

相手の周りを回遊しながら武器を眼に捉えれば。その装飾の美しさに思わず声を上げる。
冒険者だけあり、そういった審美眼はあるようではあるが、いかんせん言葉遣いが俗であった。

「……さっきから気になってたんだけどさ。敵って、魔族のこと言ってるよね?
 それって、魔族は滅ぼすべきってこと? 一欠けらの慈悲も無く? 根絶やしにすべきってコト?」

冷たい拒絶の言葉にカチンときたのか、こちらも不機嫌そうな表情になり問う。
が、その言葉も新たな人物によって遮られる。
そのまま去っていく相手を見るも、まるで事務的に扱われれば不満極まりないといった表情で。

「へいへい。なーんかお役所仕事~。
 ……ま、いいけどさ。リーゼちゃん。一つ言っておくぜ。
 魔族を人間が倒したなら、次は魔族の住む土地のか弱い存在が人間にとって食われるだけだよ。
 人間が被害者、なんて面ァすんのはやめな」

相手の背にそう言うも。その言葉の真意は届くだろうか。
しかして男はソレだけを口にするとあとは大人しく事情を説明するのであった。

ご案内:「ドラゴンフィート・チェーンブレイカーの訓練場」からリーゼロッテさんが去りました。
ご案内:「ドラゴンフィート・チェーンブレイカーの訓練場」からセイン=ディバンさんが去りました。