設定自由部屋です。サイトの世界観に合う範囲で、自由に場所などを設定してお遊びいただけます。
ご自身で考えられた施設や都市、村やダンジョンなどを考えて頂いてももちろん問題ありません。
王国外、つまり外国なども舞台にして構いませんが、あくまでこのサイトのメインの舞台は王国内になります。
あくまで外国等の舞台は副ということでお願いします。
●この部屋には固定パスワードが設定されています。
参加者(0):ROM(1)
Time:06:16:03 更新
ご案内:「商業都市 ラディスファーン」からファルスィークさんが去りました。
■ファルスィーク > 深夜にかかる時間帯になれば、さすがに人もまばらになり、店の明かりも落とされていくと少し前よりは薄暗くなっていく街並み。
その代わりに空に浮かぶ月は半分ではあるが地上を照らしていた。
梅酒も飲み終り、さて―と呟いて歩き始める先は己の屋敷のある方向であり、やがて姿は見えなくなった。
■ファルスィーク > 評判を呼んでいる果実ジュースは結構な売れ行きらしい。
次いで、カップにも力を入れつつあるようではある。
カップを持参した場合はしっかり値引きも行われていたりで、商魂たくましいと言うべきか。
現在はベリー系をミルクと合わせたりしたものも、割と売れ行きがいいのだそうだ。
他にはやはり桃の人気は高いらしく次いでメロン。
夜は大人に合わせたよく冷えた果実酒などが好評らしい。
「暑いのに人は元気だ…」
半分呆れ、半分感心した呟きは、そんな街の喧騒を眺めつつの広場の一角にてこぼれたものだった。
そんな己はと言えば、良く冷やした梅酒と呼ばれるものを堪能中。
ご案内:「商業都市 ラディスファーン」にファルスィークさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 大通り」からヤシュムさんが去りました。
■ヤシュム > ■
男娼として仮面をかぶってる、というわけではなく、これが男の素だ。
可愛い女の子、綺麗な女性と話をするのは好き。息をするように褒める。天職と言っても良い。
彼女が考えてどのような結果を出すのか気にはなるものの、彼女が店に来てくれるかもまだ未知数。
「少しは力になれたかな?
おやすみ、ショコラータちゃん。良い夢を──」
カップを受け取ってから、顔を赤らめる様子を好ましく思いながら走り去っていく小さい背中を見送る。
その後カップを屋台に返した後は、またふらりと夜の街を歩く。
男娼である男にとっては、これからが本番の時間だ────。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 大通り」からショコラータさんが去りました。
■ショコラータ > 「――男娼の話を他の人にするって、あんまり気安いものじゃ… なくないのかしらね当世は。」
…重ねてご馳走してくれると言うのなら、お言葉に甘えるが。
宣伝効果としてはどうかと思う。 機会があればと意識するが、あるものかどうかと。
「……。」
きっと思いの外面倒くさい話だっただろう。
それを真摯に聞いてくれる様を心地好く思い、自分の意識を整理させてくれるような反芻に、これがプロかと感心する。
お仕事でしているのだから、とも思ってしまわないではないが、この時間を必要とする人が居るのも分かる話。
今回の件など特にだけど、誰かに聞いてもらうというのもちょっとやり難い内容ならば。
「…犯罪者になりかねないけど悪人ではないような気がする。
ものの見方とか考え方とか… 私への気遣いは… 悪くない… ううん、まあ、好きかな。
――そうよね、悪い相手ではない。 うん、悪くは無い。 こんなに意識しちゃってるんだから、ダメじゃあないわね。
気に入らないところはあるけど、恋愛してるんじゃないんだから。」
そこが問題で、恋してるわけじゃない人と、本当に?となってしまうのだけど。
デートして、そこまでいくことを具体的に想定して、悪くないと思っているのだから悪くはないわよねと。
少し気を楽にして、ぐいーカップをあおればこちらも空に。
「――うん! 今はなんか疲れちゃって気楽になろうとしている節もあるので、またね。」
考えて来ましょうと、少し気を取り直した風に声を大きくして、改めて意識すると恥ずかし状況にそそくさと後片付け――
は、差し出される手にカップを預けちゃって。
――立候補にはどう返して良いのか分からず、お仕事だもんねなんて軽口も言い難く、顔赤く固まって。
「――あ、ありがとね、ごちそうさま! おやすみなさい!」
ズカズカとした足取りで、足早に帰って行った。
■ヤシュム > ■
ご忠告に感謝を、と笑ながら頷く。
サービスを断ろうとする姿勢には真面目だと分かる言葉に翡翠の目を細めて、首を振る。
「君自身がリピーターにならなくても、君が受けたサービスが良いものであったと感じるなら。
君はきっとそれを他の誰かに伝えてくれるだろう?
こうして話しているだけでも、君が優しくていい子だと俺は思っている。
出し惜しんで結局興味を失われたら、意味がないと俺は思うからね」
だから気にしなくていいよと笑う。
同じようにドリンクを飲みながら、今度は彼女の話を聞く番だ。
うん、うん、と頷きながら、異性との性交渉が未経験である彼女の性の話も、真剣な表情で聞いている。
女性の性暴行に関して被害が多い国だなとは思う。男娼よりも娼婦の方が多い。娼館も多い。
様々な種族が多く入り乱れ、風紀も治安も他国よりも乱れていると思える。
きっと彼女も女性である限り、狙われるだろう。
「……なるほど。
この国は確かに女性が傷つきやすいなと思う面もある。
それを武器にしてる人もいれば、楽しむ人もいるから一概には言えないけれどね。
ふむ。そうか。……そうか。
君の身を案じているのもわかるし、君が複雑に思う気持ちもわかる。
聞いている感じ相手は年上の男性かな。学院の教師とかだろうか。
賢い君が人として嫌いではないという感情を抱くなら、悪い人ではない、と。
聞いている感じは悪い相手ではないけれど、重要なのは君の気持だからね」
女性にとって純潔を捧げる相手は好いて惚れた相手がいいと言う人も多いだろう。
彼女の様子には迷いがあるように思えて、男は首を傾げる。
「少女から女になる瞬間は、男にとっても特別なものだ。
女性の初めて、というのは好意でもあるし、信頼の証とも言えるからね。
中にはそれを無理矢理奪って散らすことを楽しむ下衆もいるけれど。
君の中にその人への信頼があるなら、一晩良い経験をさせて貰えばいいと俺は思う。
裸を見せてもいい。唇を重ねてもいい。女になる瞬間を見せてもいい。
少し考えてみて、もしそう思えるなら、君にとって悪い相手ではない。
たとえ恋仲にならなくとも、恋愛感情を抱かずとも。
別の絆のようなものは芽生えるかもしれないし、もっといい女になって、相手以上のいい男を捕まえてやるとか。
存外スッキリした思考に切り替わるかもしれない。
考えてみて嫌だな、と思う部分があるなら、お出かけを断るのもありだ。
────さて、サービスはこれぐらいかな。」
いつの間にか、男のカップは空だ。
大きく呷った彼女のも、残り僅かだろうか。
「もう少し考えてみて、もしコーディネートが必要になったら、お店においで、ショコラータちゃん。
そうでなくても、見学でも歓迎だ。
その人をお断りして、じゃあ初体験をどうしようと悩むなら、俺も立候補するよ。
君はとてもいい子で可愛いから、役に立ちたいと思ってしまった」
飲み終わったカップを受け取るよう手を差し出しながら、そんな風に言って笑う。
彼女の価値観からすれば、男娼を選ぶことは難しいかもしれないが。
優しく、自分の心を守ろうとしている彼女に幸多からんことをと願うばかりだ。
あたりも夕闇が近づいている。遅くならないうちにお帰り、と、促そう。
■ショコラータ > 魔窟よ、生きて帰れるといいわね、なんてコクマーラジエルの見学には冗談めかしたとか。
娼館の内情には興味深々だけれど、コーデしてもらうとなるとそれもまた今度。
「――それはダメよ。
あなたの知識というか経験というか、商品にしているものを提供してもらうのに。
あとサービスしちゃって、リピーターになる率がたぶん低いわ私の場合。
あいや、あなたの問題じゃなくってね?」
こういう感じの子がホイホイ娼館を利用すると思う?と言うが、既に見学には興味を持っており分からない。
とはいえ自己評価は、たぶん改めて利用するとなると凄くハードルが高いんだろうなあというところで、
サービスしてくれると言うのに、否と首を振る。
歩き出し、まずは屋台でドリンクで、受け取りなんとなくその意味を察した。
グッと一口大きくあおり。
「……この街がそうなんだろうけど、コクマーラジエルも風紀乱れてんのね。
私も危ない事が何度かあって… その人は、私の初めてがろくなものにならない事を心配してる。
…私にも興味持ってくれてるんだろうけど、ちゃんとデートして雰囲気高めて誘うから、シちゃおうよって話。
なんか、改めて言ってみるとバカみたいなんだけど… 嫌な思い出になっちゃうよりは、そういうのでも、いいのかなって…
プロの人にお金でしてもらうとか、自分でーとか… 間に合わせで片付けちゃおうとするなら何でも同じなのよね。」
面倒臭い処女である。
その人と寝るのを意識しているなんて事を話してしまえるのは、相手が男娼だからだろうか。
それで良いのかどうかもよく分からないが、差し迫る不幸の予感を考えると、
言われるように「悪くない初体験」は、まあ悪くないのかなと。そう言う顔は、あまり浮かない。
「…嫌いじゃないのよ。
シゴトには変に真面目で責任感あるみたいだし、鍛錬がんばってるのをコッソリするようなところは、イイかなって思う。
痴漢だし、一歩間違えればレイプ魔だし、女たらしだけど、一応、考え方の理解が及べば納得はいく筋を通してそう…
なんだけど、そこはやっぱり嫌ね。 ヒトとしては悪くないけど恋人なんて… うん、絶対無理だし相手にもその気無いし。
――でも、今から純愛路線で相手探しからなんて、カラダがいくつあっても足りなそう。」
■ヤシュム > 「ふは、流石は音に聞くコクマー・ラジエル学院。興味あるな、今度見学申請でも出そう」
仕事でよく話題に上がるだけあって、広い王都一の学院に興味を持つ。
一度見学して存分に知識として蓄えるのもいいかもしれないと顎に手を当てながら真剣に考えた。
「君は初心で可愛いね。
勿論、悪気がないのは伝わっているから安心してくれ。
短時間ならその分、色んなお嬢さんやお姉さんたちと話が出来るからね」
一生懸命計算している様子の彼女はまだ実情を知らないだろうけれど、短時間コースにしか身を置かない若い娼年もいる。
下級貴族の子息であるとか、顔と要領のいい平民の少年だとか。
そちらはあくまでオマケであり、値段というなら本番込みの値段はまぁそれなりに。
とは言え、他の平民地区の娼館とそう変わらないのだけれど。
汲み取ってくれたようで、気になりながらもモゴモゴしている可愛い様子にふ、と笑う。
手を取り、軽い口付けを送って、そのままお別れかと思えば少し少女の興味は引けたようで。
翡翠の瞳を細めて微笑むと、軽く指を立てて口元に寄せ、内緒だよ、というようなポーズで声を潜めて。
「興味を持ってくれてありがとう、ショコラータちゃん。
そうだね、娼館も男娼の相手も初めてだろう君に、まずはサービスしようか。
お店には内緒にしてくれる? 俺が怒られてしまうから」
茶目っ気を見せながら「おいで」と招いて少し歩いた先には、ドリンクを売る屋台がある。
旬の果物を絞って水で軽く薄めたそれを木製のコップで立ち飲み用に販売している店だ。
二つ購入してから、その一つを彼女へと渡そう。
サービスは、これを飲み終わるまで。
「さて、コーディネートの案はいくつか浮かぶけれど。
意趣返しでもいいと俺は思うよ。
二人きりでのお出かけなら、普段の君らしさを残しつつも、普段とは少し違う雰囲気を見せられる。
健康的な肌の色は魅力的だし、ぱっちりとした猫のような目も愛らしい。
髪も長いから色々アレンジが効きそうだ。
相手が女たらしの痴漢なら、女性遍歴もきっと豊富だろうね。頭もいいだろうし、要領もいい。
そういう相手のお眼鏡にかなうほどの女なのだと、見せつけてやろう。
ただ……問題はその後かな。
君はその人と、どうなりたいんだい?」
一番大事なところ。一度デートをして、そのまま恋人のような関係になりたいのか。
あるいは一夜限りでも、男女の関係になりたいのか。記憶に残る存在になってやりたいのか。
そういう感情は思春期の年齢だろう彼女には複雑なものかもしれない。
まだわからないから、そのお出かけを経て、気持ちを確かめるというのもありだ。
訥々と話しながら、彼女の様子を伺い。
■ショコラータ > 「同じクラスで同じ制服着てるはずなのに全然違ってたりするから、参考程度ね。」
故にどんな形と言及し難い制服事情。
魔改造の横行する界隈なので、その記憶は無駄かもしれぬと、じゃあ何故紹介したという釘を刺して。
「先入観しか無いからね。
失礼してたらごめんなさいだけど悪気は無いわ。
…見学だけもあるんだ。 あ、いや、遠慮しとくけど… カフェくらいって… んー…? んンン?
短時間、だから、そのぅ… もっとハードな事、するのと比べても採算とれるのかしら…
ああ―― うん、無粋なのも分かる。 成り立ってるんだから、成り立ってるのよね。」
短時間とはいえ切り売りカフェタイムを合計して本番の金額に届くのかという、小利口な子供の算数思考。
――となると、金額次第ではインタビュー的に内情への興味が湧くのだが、あまりお金の話をするのが不粋というのも分かる話。
モゴモゴして、とりあえず頷いておこう。
いずれにせよ別世界と、あまりセールスが強くないのも幸いしてこのままサヨナラとなりそうなところ。
第一印象最悪だった人とのお出かけコーデと聞くと、その言い回しは興味惹かれるわねと耳がダンボになる。
他の男と選んだ服なんて、おそらく喜ばないだろうという感性はあるのだけど。だからこそ。
デート相手は文字通り、数多いる女の一人として…
一人一人をちゃんと見ているとはいえ、一途とは決して言えない感覚で私を誘っており、それが気掛かりであるのなら。
実際コーディネートにも困っているのだから、服くらい他の男性に意見をもらうくらいで丁度いいと思う。
握手を求められ、指先への口付けに うおう とビックリするのはその文化が無かったのだろう。
手を引かなかったのは、お別れの雰囲気に、ちょっと待ってと思っていて。
「――う… うん。また… あの… あー、ちょっと、やっぱり、少しいいですか?
その、第一印象最悪だった痴漢の女たらしとお出かけするコーデとやらを…
な、なんか面白そうなので、見繕ってもらいたいかなと。」
いくらになります?なんて確認しようとしてしまうが、無茶な事にはなるまいと口チャック。
無茶を言ってくるなら踏み倒してやる自信があるのも大きく。
「…それとも、そんな意趣返しみたいに考えるくらいなら、付き合わない方がいい?」
■ヤシュム > ■
「それは知らなかったな、教えてくれてありがとう」
いくつもある科のことは流石に男も覚えきれぬことではあるけれど、教えて貰えればその学生服の特徴も覚えられる。
胸を張って特別だと言う少女を微笑まし気にみながら、礼を伝え。
名前については知っていたようで、大袈裟な程に狼狽える可愛らしい反応に微笑みを浮かべ。
一先ずは言葉を紡いでいく少女に耳を傾け、結論付ける様子にふむ、と腕を組む。
「うーん、少し先入観が強いようだね。
娼館であるからにはまぁ、そういうことを求めてくるお客様もいるけれど。
若い子でも楽しくお話をしたり、悩みを聞いたり、軽い遊戯をしたり、社会経験として見学だけする子もいるね。
値段だって時間に応じて、内容に応じて変動する。
例えば短時間コースで性交渉抜きだと、カフェに入ってティータイムをするのとそう変わらない値段だ。
まあ、あまりお金の話をするものでもないけれど────。
そうだな……俺を買うというよりは、俺との時間を買ってもらう、という感じかな」
と、そこまでは業務の話。
興味を持ってもらうならまずは懐を広く見せ、自分でも手が届きそう、と思ってもらうことが大事だ。
どうやら富裕層の界隈に住まい育ってきた少女なのだろう。
それならサービス的には、平民向けである以上質は少しばかり落ちてしまうかもしれないけれど。
「第一印象最悪だった人にもしお出かけに誘われた時の君をコーディネートしてみたかったけれど。
男娼と言えど男に用意されたら相手は嫌かもしれないね。
────ありがとう、律儀で心優しいお嬢さん。
もしいつか興味が出たら、お店においで。ヤシュム、と呼んでくれれば、いつでも迎えに行くよ。
その時は、今日教えてくれた名前で君を呼ばせて貰おう」
根は素直な良い子なのだなと微笑みながら、学生服を纏う彼女に掌を差し伸べる。
握手のような形、その手を取ってくれたら、軽く引いて指先に触れるか触れないかの口付けを送る。
伝えることは伝えた、もし気が変わってくれたら嬉しいが、そうでなくとも彼女が他の誰かに今日の出会いのことを話してくれれば、宣伝にもなる。
手を離したら、そのまま道を譲る。「気を付けて」と最後まで穏やかに、男は少女を見送ろう。
■ショコラータ > 「コクマーラジエルの魔術科生よ。
魔術科だからって皆荒事対応なわけじゃないし、
制服色々だから、これで分かれってのも無理な話よね。でも私は平気。」
人によっては銃火器携帯しているようなものなのだ。
こういう手合いがいるから、市街での武装に制限をかけたりする意味も薄くなってしまう。
トクベツなのよと小さな体が胸を張るのは、場合によっては人の危機感を煽るけれど気にかけるチャンネルを持たず。
――店について聞くと、あるいは世間話でその名を知っていたのなら、娼館に誘ったのかと狼狽えた。
「だんしょっ… ちょっ、ちょちょっと待った学科とか分からなくてもコレ学生服… ああいや微妙なのかしらね、こんなの多いもんね。
でも客層としてどうなの? こんなの来る…? から、声かけたのよね…」
状況を見れば自己完結出来てしまう質問しか出て来なくてブツブツしてしまうけど。
単純に信じられずに褐色の顔をなお赤らめて、そうか、この街ではやはりそうなのかとドギマギした。
「…デートなのかな、よく分かんないわ。
もう嫌いじゃないんだけど、第一印象最悪な痴漢で女たらしで… じゃなくて、客引きでしょ?
時間の無駄よ、コクマーラジエル生だけど身分混合クラス。
物価分からなくてアレだけど、その… そういうお仕事って、安くはないでしょ。
だからきっと対象外。
…あの、あなたがダメで言ってるんじゃないからね?
いやお金で人を買うってのは結局ムリかもなんだけど… ショコラータよ。」
男娼と言っても必ず肌を重ねるわけではなく、そういう付き合い方もあるのだなと意外に思うけど、
いずれにせよ高級というか高額なサービスという認識はあって、自分の懐事情にはおそらく荷が重く、
また価値観的にも男娼の「お買い上げ」はまだハードルが高いと、甘い誘いにごめんなさい。
…しかしごめんなさいされる事も多いお仕事だろうと思えば、
私が買わないとしても男娼の仕事をとやかく言うつもりは無いし、
生理的に受け付けない的な逃げ口上でもないわよと、求められた名は名乗っておいた。
■ヤシュム > ■
その男娼は元傭兵。
広い視野を持つからこそ見つけた少女がこちらを一瞥して、しかし通り過ぎようとした矢先。
声を掛ければ足を止め、見上げてくる勝ち気そうな表情と台詞。
頭から足先まで見れば、細身で小柄ながら鍛えられているのが分かる脚。
男は微笑を浮かべたまま、穏やかな表情、低い声音ながら聞き取りやすい声質で、言葉を返してくれた少女へとさらに続ける。。
「なるほど、ただのお嬢さんではないようだ。
俺の店、といっても俺が経営者なわけではないけれど」
富裕地区にほど近い平民地区の歓楽街にある店の名を告げる。異国の言葉で楽園の扉を意味する。
その歓楽街の娼館通りにある店だが、学生である彼女が知らなくても不思議ではない。
誰かに聞いた事があるのであれば、冒険者の女性とかも利用する主に男娼が女性をもてなす店だ。
「────俺はヤシュム、と言う。その店で男娼をしている者だ。
お嬢さんは洋服を探していたのかい?
わからなくなってくる、ということは、普段使いするものではない特別なものかな?
となると、ああ、もしかしてデートとか、お見合い?
それも初めての体験だろうか。誘われるのを待っているとか? いいね、可愛らしくて」
彼女ぐらいの年齢なら、男女の初々しいお付き合いが始まっても不思議ではない。
幼さはあっても利発さが伺える顔立ちや目元から、それなりに自尊心も高くあるのだろうか。
顎に手を当てながら色々と考えて、そんな風に告げてみる。
「まあ、良いお客さんになってくれるかは俺の腕次第だからね。
なんにせよお見知りおきいただけたら幸いだ。
もしお悩みなら、相談役にでもなるし、デートの予行練習にも付き合える。
勿論誰にも言わないし、望まなれない限り手は出さない。
どうかなお嬢さん。
もし興味を持ってくれたなら、俺に教えてもいい"名前"を一つくれると嬉しいよ」
娼婦や男娼に彼女がどんな印象を抱いているかは分からないが、軽く体を前に傾ける。
男の肩ぐらいまでの背丈しかない彼女の目線に近しくなるよう合わせて、甘く誘う。
その名前は勿論偽名でもいい。
男娼が彼女を呼ぶ名前をくれるなら、彼女はお客様になるし。
興味がないというのであれば、名を告げなければよいだけだ。