2023/07/08 のログ
ご案内:「九頭竜の水浴び場」にシアンさんが現れました。
■シアン > 夜の更け始め、
館内はしんと静まり――
返っているわけでもない。
食事処で未だ酒盛り真っ最中の連中も居る。幾つもの部屋からは連れ立って引き籠もる男女或いは連れ込まれた男や女のあられもない声が廊下に漏れている。幾つかの浴場からは幾人も集って交わっているらしき騒音すらある。相変わらずといってよく何なら一部は昼より喧しい。
「ぁ゛ー……飲みすぎた……」
そこな一つの浴場は運良く静か。かこん、と鹿威しの音も軽やかに鳴る庭園を臨む露天風呂。
そこにやってくるのは赤らんだ顔をごつい掌で撫でるゴツゴツとした筋肉質の男だ。
「ぁよいしょ。あ゛ーーー……」
昼間に大雨にやられてすっかり濡れ鼠と貸した身体を温めるために来館して、
部屋を取っては飲んだり寝たりを繰り返していたのだが変な時間に目が覚めた。
残る酒精で少しばかり足はふらつくものの酔い醒ましと深夜の露天という贅沢に、やってきた。
おっさん臭い掛け声やら呻きやらを出しながら身体を流しては琥珀色の湯に身体を沈める。
……入浴剤じゃねぇよな此れ何の湯なんだ?
なんて、浸かってから首を傾げたものの芯から温まる心地にまた一つ吐息を零しながら足を伸ばす。
ご案内:「九頭竜の水浴び場」からシアンさんが去りました。