2023/04/26 のログ
ご案内:「自然地帯/森林区域」にアロガンさんが現れました。
アロガン >  鬱蒼と覆い茂る草木。太い幹を持つ樹齢何百年と言った木々もそびえる森林地帯。
 王都から然程遠くないメグ・メール自然地帯にある一帯は、冒険者の稼ぎ場であり、魔物の温床であり、自然素材の宝庫。
 そこを単独で歩くのはフードのついたロングコートを着た上背のある男。
 戦闘用に誂えられたコートは対刃、耐水耐火性を持ち、その下は動きやすい軽帷子とトラウザーにブーツといった、如何にも冒険者風に見える風体だ。
 その首にある銀の首輪だけが異質に、男が奴隷という身分であることを示している。
 狼の耳はフードに隠したまま、灰銀の尾が揺れている。
 男、アロガンはその手に短槍を持ち、森の中を奥の方まで進んでいた。

「……奴隷に休みなんて貰ってもな」

 数日前、とあるやんごとなき身分の者を救った褒美として、アロガンには休日が与えられた。
 貸し奴隷という商品であるアロガンにこれまで休みらしい休みは病にかかった時ぐらいしかなく、こうも健康体でいる時に与えられた褒美は逆に戸惑いを呼んだ。
 外出を許されはしたが遠出も出来ない。
 かと言って部屋に籠っていてもすることはない。
 街に出るなど論外だ。迫害されるミレー族が当てもなく歩いていたところで、白い目を向けられるだけである。

 そうして結果としてやってきたのが、故郷の里に近い空気を持つこの場所だった。
 適当に役立ちそうな食材や野草でも摘んで、時間を潰そうと決めて森に入ってからいくばくかの時間も経っている。
 襲い来る魔物は打ち払い、美味そうな獣がいれば狩って捌いて火を起こして喰う。
 かつての狩猟生活を思い出しながら、アロガンは久々の何の命令もない一日を過ごしていた。