2023/02/04 のログ
ご案内:「設定自由部屋3」にエルキュールさんが現れました。
ご案内:「設定自由部屋3」からエルキュールさんが去りました。
ご案内:「平民地区・公園」にエルキュールさんが現れました。
■エルキュール > 「今夜は、あんまり寒くなくて良かったよな」
平民地区にあるいくつかの公園の一つでベンチに座って、抱えていた紙袋を開けて中身をあさる。
いつもの黒コートだけで事足りる程度の気温で、それほど寒く感じない夜だったから、買ってきたものを偶々見つけた公園で楽しむのもいいなと思ったようだ。
「帰るまで待ってると冷めちゃうし、丁度いいよね……」
ごそごそと袋の中から取り出したのは、片手から少しはみ出るぐらいの大きさの、薄茶色の塊。
魚焼き、と言う名前らしいそれは甘いクリームを包んで焼かれた焼き菓子らしく、ちょっとコミカルな表情の魚の形にかたどられて焼き上がっているようだ。
それを、これはどっちから食べるものなんだろう?と少し悩んだが、取り出した向きから頭側から食べるのが楽だったからそちらから一口。思っていたよりずっと甘い味がしたから若干驚いたけれど、これはこれで美味しいと思う。
夜遅くの需要に応える為か、日が昇ると店じまいをし、日が沈むと開店すると言う昼夜逆転している店を見つけて、そこで入手してきた帰りのようだった。
ご案内:「平民地区・公園」にミュゼットさんが現れました。
■ミュゼット > 夜とは言え、王都の通りは灯りに溢れている。
少女が育った街であれば、夜の公園など深い深い闇の中だったのに。
それがここではぽつぽつとはいえ、明かりが灯され、出歩くのにも苦労をしないほど。
平民地区にある教会での奉仕を終えた帰り道
何とはなしに、足が開けた公園の方へと向いた。
強いて理由をこじ付けるなら、飲み屋街の喧騒を嫌ったと言えるかもしれない。
「………? なんだか、甘い匂いがします……」
人気は少なくとも、無人というわけではない公園の中を歩いていると鼻先を擽る甘い香り。
無意識にそちらの方へと足が向き。
やがて、それはとあるベンチのひとつへと辿り着くか。
■エルキュール > 魚焼きと言う名前からすると塩辛いようなイメージがあるけれど、その名前に反してやたら甘いそれを半分ほど食べ進み。
温かいうちに食べ始めたのは正解だったと思う、冷めてしまったらそれほど美味しく感じなくなりそうな食感でもある。
「……ああ、ほんわ――
っと、んん……こんばんは……?」
ふと、歩み寄ってくる少女の姿が目に留まり。格好からしてどこかのシスターさんなのかな、と思う。
思っている間に、こちらを見ている気がしたからひとまず挨拶をと思えば食べながらの所為でもごもごした状態になってしまい。
おっと、と少し慌てて飲み込んでから、今度はきちんと言葉にして。
■ミュゼット > 「あっ…… 失礼しました。こんばんは、です。
ちょっと美味しそうだったもので、つい……」
仔猫か仔犬のように鼻を鳴らして、匂いを辿っていくと行き着いたのは、何かを頬張る青年のもと。
美味しそうに食べる、その様子を思わずじぃーっと魅入ってしまい。
声を掛けられると、ハッとして。
慌てて取り繕いながら、こっそりと涎を垂らしていなかったかと確認する。
「それ……なんていう食べ物なんでしょうか?」
地元では見なかったもの。
ホカホカと湯気が出ているようにも見える。
変わった魚のようなシルエットのそれを、不躾ついでに訊ねてみる。
ただお金は持ち合わせてはいないから、名前が分かったところで買えはしないのだけれど。
■エルキュール > 「あ、なるほどこれか――結構匂いがするもんね」
袋を開けた時に、湯気と一緒に甘い匂いがぶわっとしたのを思い出す。
それが公園の入り口の方まで流れたのかもしれないな、と納得して。
ずいぶんと興味深そうな視線が手元に向けられていたのを悟ってか、膝の上にあった紙袋を開いている方の手で掴んで、差し出して。
「まだあるし、思ったより一つが多いから……どうぞ?
魚焼き、って言うらしいんだけど。名前に反して、中身がクリームですごい甘いんだよね」
甘いものはきっと目の前の少女のような子が食べる方が似合うんだろうな、と少し思いながら。
かく言う青年の方もたまに女性と間違われることがあるのを、そんな事を考えたせいで思い出して目を細めるけれど。
■ミュゼット > 納得したように、膝の上の紙袋を開く青年に、コクコクと頷いて見せる。
貰えるかもしれないと、ほんの少しでも期待しなかったといえば、それは嘘になる。
だから、紙袋の中に差し込まれた手が、それを掴んでこちらへと向けられると、ぱぁっと表情を明るくして。
「よ、よろしいんですか…っ!?
なんだか、あったかそうで、甘い匂いがするから……高価なものなんじゃ…?」
おずおずとそう遠慮するような物言い。
けれど、差し出されたそれを受け取るように、すでに両手を掲げるようにして。
「く、くりーむ! 滅多に食べられない、高級品ですっ
ほ、ほんとに、良いんですか? あとで返せって言われても、返せなくなっちゃいますよ?
そうだ、何かお困り事はないですか? 何でもお手伝いさせていただきます!」
ふんす、と気合を入れる。
なにせ対価はクリームたっぷりの『魚焼き』なる未知の甘味
それに見合うものがあるのかどうか分からないから、もう「何でも」と大盤振る舞いで。
■エルキュール > 「いや、そんなに高くはなかったけど……ケーキとかを買うよりはずっと安かったと思う」
何だかやたら目を輝かせている様子に、少し気圧され気味に。
遠慮がちな言葉と逆に、既に受け取る体勢になっているのがちょっと面白くて笑いそうになるけれど、それ以上に感極まったような反応が続いてくるから、やっぱり圧倒され気味になる方が大きかった。
「え、ええ――そんなにクリームに普段出会えないのかい……
ああ、でもシスターさんなら普段そういうのって縁がなくても不思議じゃないのか」
気まぐれにちょっと買ってみた焼き菓子で、そんなに凄い反応が帰ってくるとは思ってもみなかったけど。
掲げられた手にそっと置いてあげて、どうぞ、と頷く。
「お返しとか気にしなくていいってば。こういうのって分け合って食べるのもいいんだろうなって思うしさ。
……何でも、ってまた心配になりそうなことを――僕が悪いやつだったらどうするんだい」
悪いやつではない――つもりだけれど。文字通り悪いやつも沢山いる国だったから、大丈夫なんだろうかこの子は、と真面目に心配になってしまう。
■ミュゼット > 気押され気味の相手に、構わず。
なかなか甘いものには出会えない。
手の上に、ほんのりと温かいそれを載せられて。
「ありがとうございます。
すっごく温かい……これ、どこから食べたら……?
……? こんな美味しそうなのを分けてくださるんだから、悪い人なはずがないです。」
何だか心配されてしまったけれど。
そんな悪い人なら、食べ物を分けてなどくれないだろうと、反論し。
■エルキュール > 「うん、温かいうちに食べた方が美味しいと思うよ。と言っても僕もこれを食べるのは始めてだから、冷めてからどういう感じなのかは実際食べてみないと解らないけどね。
……僕はたまたま持った時に食べやすい方が頭の形の方だったから、そっちから食べたけど……決まりとかは多分ないんじゃないかな?」
自分のぶんの最初の一つは既に半分ぐらい食べていたけれど、概ね均一な中身になっていて、どこから食べても大丈夫なんだと思う。
あまりじっと見ていても食べにくいだろうから、じぶんの手元に視線を落として、もう一口食べ進めて。
「人は見かけによらないって言うし――ああ、もちろん後から返してなんて言わないから、大丈夫」
■ミュゼット > 「それじゃあ、失礼して………いただきます」
あむっ! と、そのキツネ色に焼き上がった魚に齧り付く。
頭と尻尾、どこから食べるかというと、そのどちらでもなく。
猫を見習って、お腹から齧りついてみた。
「~~~~っ!」
甘くて、温かくて、美味しい。
口の中が躍り出してしまいそうなほど幸せになってしまう。
ばたばたと手を振り回して、その幸せを表現する。
というのも、口を開くと、その幸せが逃げて行ってしまいそうだから。
もぐもぐと、あっという間に魚1匹を平らげてしまい。
「はふぅ~~♪
美味しかったです。天国が見えた気がします。
ほんとに、お礼に何でもしちゃいます。お任せください。」
満足したお腹、ではなく。胸を叩いて見せる。
そうこうしていると、騎士らしき男が少女を探してやってくる。
しぶしぶ連れて行かれながら、改めてお礼を口にして。
「お困りの際は、この先の教会までお越しくださいませ。
今日のお礼は必ず、させていただきますので。」
そう居住まいを正して頭を下げる。
騎士に引き摺られながらではあったけれど。
■エルキュール > 良い食べっぷりだなあ、なんて思いながら見ていて。
堅苦しい食事の席などの重たい雰囲気が好きじゃなかったから、このぐらい思い切り喜んで食べてくれる方があげた甲斐があると思う。
「気に入ってくれたみたいで僕も嬉しいよ。
もし売ってる場所が気になったら……あっちの方に、夜だけ開いてるお店があるからさ」
話していた様子からすると、なかなか自分で買いに行くとはいかないのかもしれないけれど。
開いている時間のおかげで目立つ店だから、と一応伝えるだけ伝えてはおくことにして。
「……うん、もし教会に頼み事が出来たような時は何かお願いするかもしれない。
その時は尋ねて行くよ」
夜遅くにうら若い少女が一人だとやっぱり心配だと思っていたけれど、どうやらちゃんと迎えが来たようで、安心する。
後から現れた騎士姿の男の方へも、挨拶代わりに軽く頭を下げる。
もしかすると目を離した隙にどんどん歩き回ってきたのかもしれないような、引きずられていく様子を見ればまた、面白い子だなあ、なんて思いながら見送って。
ご案内:「平民地区・公園」からエルキュールさんが去りました。
ご案内:「平民地区・公園」からミュゼットさんが去りました。