2022/12/30 のログ
ご案内:「無名遺跡/水没迷宮」にミメシスさんが現れました。
■ミメシス > 名遺跡の一角に半ば水没した迷宮が存在する。
入り口こそ良く見られる迷宮と変わらないのだが、一歩踏み込めば其処は外部からの水か或いは施設が破損して暴走しているのか、通路は侵入者の腰の高さまで生温かい水が満ち、奥に進めば進むほどに水温は上がり、水嵩は増し、1階のフロアの先は完全に温かな水中のエリアとなっている。
だからか、迷宮の入り口には更衣室や脱衣所に近い施設が併設され、冒険者達のボランティアで24時間明るく清潔に維持されていて、挑戦者は無料で利用する事が出来る。
此処で迷宮の挑戦者は水中で探索を行えるような軽装や魔法の道具を装着し、迷宮に挑むのだ。
何故此処までするのか。
そう問うのであればこの水没迷宮は水没という特殊状況がそうさせるのかモンスターが出にくい、発見されてない未知の部屋が複数ある、と今だ冒険がし尽くされていない、比較的安全な迷宮であるからだ。
なんなら冒険者ではない者達が生活を維持するために入り口付近で水没している床に転がる宝石を捜すこともあるし、特別な苔や草などを学者が調査する事さえあるだろう。
それに通常であれば命綱となる明かりがこの迷宮では必要ない。
水中や水に使った状態で活動する事さえ前提にしていれば軽装であるだけで、探索するための準備は必要がない。
と探索へのハードルも低い。
迷宮の壁面や天井には常に稼動している魔法の明かりがあり、薄暗く、薄明るく、水没した通路を迷宮を照らしている為に迷子になり難くもなっている。
今も入り口近くの半ば水没した通路はぼんやりと明るい。
ただ今夜はその壁面の一角の魔法の明かりが不自然に消えていて、其処には何か有るように傍目から見ても怪しげな光景となっている。
隠し扉か、或いは何か故障したのか。
そうではなく、其処には壁に擬態した魔物が張り付いていた。
ミミック種の魔物。
名前はミメシス、初心者に最も嫌われ、戦闘能力こそ低いのだが今まで喰らった犠牲者の声を真似て冒険者を誘う悪名高きモンスターである。
その壁に近づき魔物が擬態していると知らず調査するも良し、それとも其処を通り過ぎて完全に水没した部屋の調査もいいだろう。
もし近づけばミメシスは悦んで触手を伸ばして久方ぶりの獲物を苗床の候補を手に入れようとするだろうし、先に進むなら、その後を追い水の中を泳ぎ、その水中にて獲物を背後から強襲するだろう……おぞましくも恐ろしい存在が其処に間違いなく存在しているのだ。
■ミメシス > 僅かにであるが天井より魔物の皮膚から分泌された粘液がどろり……どろりと糸を引き滴り落ちて、地下迷宮の床に小さくもどろどろの粘液溜りを形成する。
そこより一層芳しく腐敗した果実の甘い香りが漂い、壁にかけられた光源の熱により蒸発し、更に迷宮の通路に小部屋に香りが広がっていく。
されど獲物は近づいてくる気配を魔物は感じれない。
すると次なる手として自分の喰らった冒険者の声を真似て、「タスケテ、タスケテ……。」と鳴くが当然聴く者はいない。
暫くはそうして獲物を寄せる努力を魔物なりにするのだが、諦める程度の知能はあったようで、天井をズリズリズリと這いずり、何かの這い進んだ痕跡を残しながら、次なる狩の場所へ迷宮の奥深くへと消えていくのであった。
残ったのはその足掻きの残滓。
甘い香りとヌルヌルの液体である。
ご案内:「無名遺跡/水没迷宮」からミメシスさんが去りました。