2022/12/08 のログ
ご案内:「王都平民地区 奴隷市場」にエニシアさんが現れました。
エニシア > (少女は退屈が嫌いだった。
 魔族、悪魔として長い長い時を生きてきた彼女にとって平和とは退屈を意味した。
 適度に争い、適度に腐り堕ちたところにこそ、"輝く者"は現れる。
 少女にとって、輝く魂は何よりも眩しく、愛おしく、焦がれる程に胸を昂らせるもの。
 退屈を払うために、その眩く鮮烈に美しい魂を穢す──。
 それが少女にとって、唯一の生の娯楽だった。)

「どれもこれも、死んだ魚のよう」

(レースの日傘の下で、少女は呟く。
 紅緋の長いストレートヘア。エメラルドのような色合いのつぶらな瞳。
 黒いゴシック系のドレスをまとう、明らかに平民ではない、貴族特有の洗練された美しさ。
 このような場に貴族がいることはさして珍しくはないが、不思議なことに誰もが少女に振り向かない。
 魔力のない人間には見えない空間を指定した光の屈折による壁を展開している。
 ある程度の魔力操作を行える者ならば、違和感を持ち、ガラス越しに少女の姿を見ることも出来よう。
 奴隷市場に並ぶ少女の視線は奴隷たちへと向けられている。
 魂を輝かせる者──少女は自己の退屈を払拭する、そんな存在を探している。)

ご案内:「王都平民地区 奴隷市場」からエニシアさんが去りました。