2022/11/17 のログ
■バルゴラ > こいつ脳筋という部類の人間なのか?こちらは額が痛くてだな?と、矢継ぎ早に口から出てきそうになる言葉をグっと堪えて飲み込んで、別の言葉を代わりに吐き出そうと口を開いた瞬間に……額を同性とは違った感触の手で撫でられると、その言葉もグっと飲み込んだ。
「……渋いだろ?じゃないんだわ……お使いでもないんだわ……。」
文句と苦情と言いたい事は無数に湧いたが、一先ずとして背の高い女が向けた言葉に淡々と返答を返す事で、ハッキリとこちらを子供扱いする相手に余裕のある態度を見せてから、眼鏡のブリッジを指で持ち上げるように、眉間を指先で揉む。
「……いいや、何時までもグチグチ言うのも男らしくないし。……今調度作っている物があってね?それに関する本を探しに来たんだが、残念ながら此処のお店はハズレのようでね。本当なら侘びに手伝わせたい、お言葉に甘えたいって感じなんだけど……あー……えーっと……背の高い姉さんも探しものかい?」
何を探しているのかと問われたら、夢魔に関しての本やら何やら諸々あるのだが、本来の目的のものはこの店には無さそうだと、軽く首を横に振った後に自分よりも背の高い女に同じことを尋ねる……何か探しものかと。
ただ言葉の最中に少し言い淀んだのは相手のことを何て呼ぶべきか迷ったから、女と呼ぶにも失礼だろうし、お姉ちゃん!なんて呼ぶ年頃でもない、筈、なんで、相手のことを背の高い姉さんと呼ぶ事にした。
そこまで背が高いとは思えないが、自分より背方が高いのは間違いないし、和装の姉さんでも良かったが、口に出たのがそれだったので。
■レキ・キドー > 「――へえ、じゃあ趣味か。頭良いんだ。
…えっと、もう諦めるって事?
あ、なんかこう、言い難い趣味でも茶化したりしないけど… まあ、嫌かな。」
痛いの痛いの飛んで行けと、掌の柔らかいところでグリグリしてやって。
ハズレのようだと言う少年には、私が引っかけるまで真剣に見てなかったかいと首を傾げる。
…花とか編み物とか、肩肘張ってる少年的にはちょっと言い難い趣味だったのかなと気遣ってみるけれど、
そんな気遣いもウザイよねとお手伝いは断念する姿勢。
「レキっていう。レキ・キドー。
…あーっと、私はえー… 悪魔祓い?とかそういうので。
追いかけてるやつがいるんだけど、そいつが呪いをかけた本が紛れ込んでないか探してる。」
少年に伝わり易いよう、最近覚えた対外的に無難な自己紹介。
正直者が少し誤魔化すニュアンスを含んだ事を口にしているので言いよどむ感じも出るが、
言葉を選んでいるのだと思ってもらおう。
■バルゴラ > 拘束具や首輪を作ることです。
本日は女がイった回数を自動カウントする首輪を作るために、それ系の夢魔や淫魔の習性や逸話などが詳しく載っている古書を探しています、何て言えるか?いいや言えやしない。
ただ諦める?見たいな言葉はカチンとくるものがある訳で、自分で何かを作ることを諦める訳ではないし、ただこの本屋になかったってだけだし、と少しムキになった返答をまた仕掛けたが――…額を柔らかな掌でぐりぐりされると、悔しいが、カチンとくるものは鎮まっていくのを自覚してしまう。
で、先程見ていた本。
目的のものと似たようで違っていた本の数々であるが、わざわざそれを買って帰るまでもない、という事で……。
「ああ、先程見てた?あれは目的の本かなーっと思ったけど、違ってさ……でも気にならない?<<淫魔が教えるもてもて料理レシピ>>だって……。」とこれは隠し立てする必要もないので、これは正直にさらっと答えると、まあ、本当であれば色々、色々、色々と手伝って貰いたいところなので、これも正直に相手の名乗りに名乗って返すことにする。
「……レキ・キドー…レキ姉さんでいいか。それともレキおねえちゃんとか、レキちゃんがいい?……んっと失礼、バルゴラ・ゼディアック、学生をしているよ。…よろしく。」
無難な自己紹介に対して、スマートに……と言いたいが、あまり自己紹介できるような、ましてや魔族だ何て言えもしないので、結局自分も無難な対外的な自己紹介を返す。
こちらの諸々に気を使うように言葉を選んでくれる相手に対して、こちらも正しく言葉を返した後に、言葉の締めくくりに首をかしげる。
「……で、追いかけてるヤツがいると、そいつがのろいをかけた本が混ざってないか、探してると。それこそ、こっちが何か手伝おうか?って話になるけど……。」
と、一握りの善意と、零れんばかりの好奇心を首をかしげたまま、じぃーっと少し上目使いに見上げる眼差しに織り交ぜる、その前に一瞬だけレキさんの胸元に視線を一時停止させたが、直ぐに通過する、なだらかだったので。
■レキ・キドー > 伝え方によっては「立派に仕事してるじゃないか」ってお姉さん対応できる内容だが、初対面には伝えなくて当然か。
他意のあった言葉でもなく、カチンときているなど知る由もない、
よしよしと平気な調子でひとしきり撫でてやったら解放しよう。
「――何だそれ、惚れ薬でも混ぜるんじゃ…
ああいや、でも、異性引っかける手管として真面目に料理上手な線もあるのか。」
淫魔と聞くとヒトの敵という感覚だけど、この国では意外なほどオープンにしているケースもあるかもしれない。
在り方に問題がある種族と共存など出来るものかと思う反面、
この街の子という感じがする少年の前で種族差別的な事を言うのもどうかと。
ちょっとフォローするように言ってから、マセガキめ、と半眼になった。
これまた、いやいやこの街の子は進んでるみたいだから… と自己修正をかけるのだが。
「好きに呼べばいいよ。」
呼び名に関しては侮蔑をこめられたりしてなきゃ、指定するのも気恥ずかしと首を振り。
手伝おうかと言われると、関わるなと手をストップの形。
「関わらない方が良いよ。
私は見れば分かるから、すぐ終わるし。
…イチョウとかギンナンの意匠ってなんとなく分かるかな?
そういう装飾されてたり、材質そのものがイチョウの――
……いや、滅多に転がってるものじゃないから平気だろうけど。
頭おかしくなっちゃった人の周りでそういうの見つけたら、触るなよ。」
――そうして再度周囲の霊的な要素を探ろうとすれば。
目の前の少年も訳アリである事は、見破れるものだろうか。
■バルゴラ > 本日の収穫は訳あり和装姉さんに撫でて貰えた事か。
無理にでも本日あった成果を作るとしたらそうなった。
――…さて、袖振り合うも他生の縁と東方で確かそう言った筈、そんな縁出来たの幸いに少し話をしたかったが、そろそろ戻らねばならぬ時間であった。
「それは実際本を読んでみないと。立ち読みする前になだれが発生してそれどころではなくなったけども……。」とそれは別に相手を恨むことでもないし、さほど残念でも無さそうに言ってから両肩を軽くすくめてから、さて名残惜しいが帰ろう。
「……レキさんにしておこうか無難だけど。レキさんとまだ話したりないけど学生として流石に時間限界でね。レキさんの言葉どおり関わらないでおくし、何となく判るんで触らないでおくよ。……本という形を取るなら今度ラジエル学院に来るといいよ図書館の本に混ざってる可能性もあるし……なんなら富裕地区に愛用している図書館があるから、是非ご一緒できればね。」
ちょっと言葉が矢継ぎ早になってしまうのは時間の所為で、決して下心を隠そうとしているわけではない、たぶん、きっと、でも年上でしょレキさんくらいの美人なら柔肌に触れて見たくなってもおかしくない、うん、と自分の心の中で自己完結をしながら、足は何はともあれ古書店の出口に向ける。
「……自分を呼び出すなら、学院にバルゴラ・ゼディアック宛に手紙でもくれると嬉しいかな、普段は……とダメだ、話が止まらないや……話途中でごめんねレキさん。」
と、諸々言いたい事を投げっぱなして、小走りで古書店を後にするのだった。
もし、周囲の霊的な要素を探ったならば、立去った少年の足跡に後姿に人とは違う波長の魔力と、銀色の髪の合間に魔族の証である捩れた角が見えたはずで……。
ご案内:「平民地区/古書店」からバルゴラさんが去りました。
■レキ・キドー > 少年の種族隠ぺいを看破したとして、すぐに問題視したりはしない。
この街で学生として根を下ろしているとなれば、なおさらだ。
「――ん?
ああ、気をつけて。」
おっと引き止めたかなと。
少年が帰ると言うならさらり手を振り。
…しかし提案してくれた王立学校の図書館や、富裕地区には素直な興味を惹かれた。
どちらも招待が無ければ踏み入り難い所かもしれず。
雑多なものが混入し難いという意味ではあまり脈が無さそうなのだけど、一度見ておきたい気もする。
古書店のすれ違いにいきなり頼るのも気が引けるところだが、
悪魔祓いを少年が手助けしたがってくれる気持ちに察せられるところがあれば、
甘えてしまってもいいのかなとも思う。
頭の片隅で悩みながら、本の海に消えていく。
ご案内:「平民地区/古書店」からレキ・キドーさんが去りました。