2022/11/12 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区/図書館」にバルゴラさんが現れました。
バルゴラ > 王都マグメール。
煌びやかな歓楽街のある富裕地区の片隅に存在する図書館。
此処も富裕地区の例に漏れず豪華絢爛な造りの図書館で、足を踏み入れれば平民地区の図書館と比較にならない程の蔵書量と無数の書架達が来訪者を圧倒する。

24時間人型の魔導機械が司書や職員の役割を勤め、利用者のサポートや貸し出しの手続きを行ってくれる。

一般的な書架のあるフロアの他に魔導書を専用に扱ったフロア等が有り平民地区の図書館にあって此処には無い書籍は存在しないとまで言われている。

そんな図書館に今宵は足を踏み入れた。
学院の図書館でも十分な本があると考えてはいたが、逆に此処にしかない本があるかと考えてである。

元々貴族階級の魔……人間なので何度か足を運んでいる図書館で、中で仕事をしている人型の魔導機械も数体は見覚えが有り、臆すことなく図書館に必要か論議は尽きないが豪華な絨毯をふみ、ガラスや水晶で出来たシャンデリアの輝きを浴びながら、中へ、奥へ、……今夜の目的は魔導書にもあるが、一先ずそこに入る前に魔導書フロアに行く螺旋階段をのぼろうとしたが、ふと近くにある書架に方向転換をして向かう。

その書架は料理のレシピ本。
以前から学友に料理自慢の彼女を耳にクラーケンが寄生する程聞かされ、そんなに料理ができることはいいことなのか?と考えた事があった――…だから、ふと眼鏡の無い裸眼で書架に書かれたプレートが目に入った時に、ふらっとその書架のほうに向かってしまった。

「料理や歌詞作りは計算で出来ていると聞いた。ならばオレにも可能では?」

そういう事なのだ。
一度好奇心が向いてしまうと自分でも抑えきれない。
だが何も持たず知識が皆無の正体で挑む程愚かでもない。
だからまずはレシピ本とやらを読んでみようと、読んで基礎知識を得ようと考えたのだった。

バルゴラ > 「ゴブリンでも出来る簡単煮込み料理?吸血鬼も絶賛薔薇を使ったお菓子?………レシピ本だよな?」

ついつい癖で本のタイトルを読み上げながら、文字を追うような幹事でつぃつぃと本の背を指先で撫で、思わず小首をカクと傾げてしまうのだった。

それはそう。
想像していたレシピ本とタイトルがまったくかけ離れている現実に傾げた首がもげそうになるのだが、それはそこ、首をクククと戻して、再びレシピ本達のタイトルと睨めっこをする事にする。

もっと、こう、<<豪華絢爛宮廷料理を手軽に作れる方法>>とか<<魔法の使わない芸術的菓子の作り方>>とか、見栄え良く簡単にパパっと料理が作れる本がこの図書館にありそうなものであるが、どこを探しても……見当たらない。

眉間に寄せる皺と、皺によりずれる眼鏡のブリッジ部分を中指で、押そうと思ったが今夜は眼鏡をかけていない所為で、眉間の皺を指で押すだけとなってしまった、ので誤魔化しついでに眉間を指の腹でぐりぐりと押してマッサージを。

――…このままでは一向に埒が明かないと、頭の片隅では魔導機械の司書に本の場所を尋ねようか、とさえ思い始めていた。

これだけの書架、これだけの蔵書。
もっと手軽に簡単に凄い料理が出来る手順書のような物があると、信じて疑わないが、現実はそんな事がある筈も無い。
魔法でも使わない限り……。