2022/07/10 のログ
ご案内:「冒険者向けの宿(酒場付き)」にリーリエさんが現れました。
リーリエ > 平民地区にある冒険者向けの宿。一階が酒場になっている良くあるタイプのそれ。
その扉を開いて一人の女が店内へ。
見知った顔が何人かいたのか、ひらり、と軽く手を振ってから、小さめのテーブル席に腰を落ち着けた。

冒険帰りでそこそこの儲けが出た状態。
家に帰ろうとも思ったのだけれど、時間も時間だし外で食事をしようという算段。
それなら、飲みすぎて帰るのが億劫になったら泊まれるこういう所が都合が良いと考えたのだった。

「さて、と……まずエール。それと、フィッシュ&チップスに、パン。あー、あとサラダが欲しいかな。しばらく油ものも生野菜も食べれてなかったからさ」

注文を取りに来たウェイトレスにそんな言葉を向けて見せ
しばらく後に先に運ばれてきたエールを手にすれば、二口、三口と飲み込んで、一息。
お上品な酒も悪くないのだけれど、どうして仕事あがりはエールな気分になるのかな、などとどうでもいい事を考えていた。

リーリエ > しばらく後に注文した食事がやってくる。
最初にフライ……いや、サラダ。
油ものはともかく、温かいものは火であぶって食べることはできた。
でも、生野菜は冒険中にはまず食べられない。
一瞬迷ったフォークが結局サラダに落ち着いた。

フォークで一口分を取ってそのまま口に運べば……

「ん~~~~!!」

瑞々しい野菜の味と食感。
これこれ、こういうのを食べると町に帰ってきたって気がする。

冒険者が集まる……とはいえ、待ちの人も酒場は利用することがあるけれど……店だから、時々声をかけられる。
軽口を返したり、今回の冒険について簡単に話したり、まだ生きてたか、と言われてグータッチを返したり。
忙しい食事になっているが、こういう雰囲気は嫌いじゃなかった。

リーリエ > 久しぶりの生野菜をつい半分くらい一気に食べ進め、まずいまずいと思いなおす。
野菜は口の脂を落ち着かせるのにも使えるのだから。
いや、エールで一気に流し込むのも幸せなんだけど。

しばしの逡巡。どちらにしても、次に食べるのは魚のフライ。
芋は保存食の中にも含まれるから。
何度も同じ所に帰ってくるけれど、冒険中に食べられなかったものを食べる。
それでこそ街に帰ってきたと思うんだ。

魚のフライをフォークに刺して、一口。
軽い歯ごたえと香ばしい衣の香り。
そしてあふれてくる魚の脂

「はぁ……いつもいつも食べてるもののはずなのにね」

どうして冒険帰りだとこんなに美味しいんだろう。
これは何度考えても答えの出て来ない問題。
でも、多分答えだと思っているのは、しばらく食べられなかった制限がよりおいしく感じさせている。
不足や空腹は最高の調味料なのだ。

リーリエ > 結局フィッシュ&チップスも半分くらいなくなった。
一品食べは良くないと言われたこともあったけれど、そうは言われても止まらないのは仕方ない。
きっと明日からは大丈夫。
今日ほどの魔力を感じないと自分に言い聞かせた。

ちょうど一息付けた所。
食事に集中しすぎていたが、今度は周囲の会話も耳に入るようになる。
あまり聞き耳を立てているわけではないけれど、耳に入ってきてしまうものを意識的に頭にメモするのは冒険者の癖みたいなもの。
他ではできなくても自分ならできたり、ちょうど自分みたいなタイプが足りないパーティがあったりすることもあるから。

食事のペースはゆっくりになり、色々楽しみながら食事は続く。

リーリエ > 程なく一通り食べ切った。
もう少し酒も飲むかと思ったが、食べる方に忙しくて結局一杯。

「……これなら、普通に家に帰れるわね」

ちょっと拍子抜けしたが、それはそれで無駄な出費がかからないという事。
ならば良い事だったのだろうと思いなおした。

この後どうしようかと考えるものの、帰って寝るだけだな、と結論付ければ立ち上がる。

そして、帰るとみて寄ってきたウェイトレスに注文した料理と酒のお代とちょっとのチップを手渡してから。

「冒険帰りだったからね。とってもおいしかった。まぁ、普段でもっ普通に美味しいだけどさ」

軽口めかした言葉。そして荷物を一通り手にすればひらり、片手を振って店を出る。
手を振った先は店員か、店主か、見知った客か。
むろん当然すべての相手に。

そのまま夜のとばりへと消え、今日はとても満足して家に帰ったらすぐ、ベッドに飛び込むのだった。

ご案内:「冒険者向けの宿(酒場付き)」からリーリエさんが去りました。