2022/06/03 のログ
ご案内:「王都のどこか」にニァさんが現れました。
■ニァ >
「ニャっ! ニャアっ! ほニャっ! くニャアっ!」
左ジャブ、右フック、回転尻尾薙ぎ、右回し蹴り。
威力こそ無さそうだが、それでも中々様になっている仔猫の攻撃を
黒羽の蝶は余裕たっぷりひらりひらりと避けまくる。
最初のうちこそ
「ニァはお前みたいなやつの相手をするほどヒマじゃないニャ。
他所の猫に遊んでもらえニャ」
などとつれない事を言って相手にしていなったのだけど、前の前を
何度も何度もひらひらぱたぱたされていては堪らない。
動く物が気になって仕方ない猫的本能がどうしようもなく反応し、
思わず猫パンチを繰り出して、それをひらりと回避され、気付けば
夢中になって憎たらしい黒蝶を追いかけ回していた。
■ニァ >
蝶と仔猫との追いかけっこは既に小一時間にも及んでいた。
流石のチビもバテてきたのか、マイクロビキニに包まれた控えめな
胸元の膨らみもせわしなく上下する。
「こ、このニァをこれほどまでにほんろーするとは……お前、ただの
チョウでは無いニャ? さてはようせーおーとか、そーゆーのが
ヘンゲした………隙ありニャぁぁああああッ!!」
正攻法で駄目ならば今度は不意打ち。
ニァはただの猫ではなく頭も使える賢い猫なのだ。
―――が、黒蝶ばかりに気を取られ視野の狭くなっていた仔猫は
気付いていない。
しなやかに飛びついて切れ味鋭く振るった猫パンチを今回も紙一重で
回避してのけた蝶の先、全く無関係の通行人が歩いていた事に。
彼とも彼女とも知れぬその通行人は、やたらと露出度の高い日焼け猫
からのいきなりの猫パンチを華麗に往なすことが出来るのか!
まぁ、例え駄目でも初戦はチビの猫パンチなので、大した被害も受けぬ
だろうが。
■ニァ >
「ニャぁぁああ……っ!?」
最早止めるに止められず、振るった猫パンチはぺもぉ…! という
なんとも迫力のない効果音と共に貴族のぼんぼんっぽい少年の頬を
撃ち抜いた。
驚愕に目を見開き、猫パンチに叩かれた頬を抑えてたたらを踏む
貴族っぽい少年。
勢い余って中でぎゅるんと一回転して着地を決める猫。
「…………………………」
見つめ合う二人と少年の背後でこれまた固まる護衛っぽい厳つい男。
しばしの沈黙の後
「ま、まあ、生きていればこーゆーこともあるのニャ。気にすんニャ!」
一方的に言いおいて、未だ呆然自失の体から抜け出せぬ少年と護衛に
背を向けるが早いか、チビ猫はぴゃっと駆け出し人混みに紛れ、角を
曲がるが早いかあっという間に壁を駆け上って屋根の上。
突然の猫パンチを受けた少年は最後までぽかぁんとしていたという。
ご案内:「王都のどこか」からニァさんが去りました。