2022/04/28 のログ
ご案内:「あやしい空き地」にタン・フィールさんが現れました。
■タン・フィール > 平民地区の一角、今は低い雑草や草花が茂るだけの空き地。
今日の寝床と、明日からの薬屋として建てるテントを設置場所に悩んでいた薬師は、ここならばちょうど良いとばかりにテント設営の準備にうつる。
しかし、普段ならば慣れた手付きで迅速に行える設営の足取りはどこか重く、手元ももたもたとおぼつかない。
その表情は火照っていて、視線もどこか虚ろ。
「……ぅ~~~っ……やっぱり、まだ未鑑定の薬草、味見するにはちょっと量…おおかったかな…」
明け方ころにこの空き地に生えていた、薬師の目から見ても珍しい幾何学模様の葉脈が美しい新種の草素材。
それを、匂いをかぎ、ひとなめ、ふたかじり、常人よりも毒性に強い薬師は己の身体を実験体として効能を確かめてみる暴挙に出た。
結果としては、命を削るたぐいの毒草ではなく、身体の活動力を高める薬草のたぐいではあったのだが、
なんだか後を引く甘辛い味わいについうち食べすぎてしまい、副作用として酒よりもややたちの悪い高揚感…「酔い」のような症状が出てしまうことが明らかとなり、
その熱っぽい火照りと、汗ばむような異様な脈の増加に持て余した力が、ついついテント設営の手元に影響する。
なんとか形ができあがりつつあるテントは、普段とは違い天幕やシルエットが斜めに傾いた不格好なものになってしまい、
テント前に焚き火をおこそうと巻きを並べて火打ち石をこするが、こちらもなかなか手先に妙な力みが入るばかりで狙ったように種火を生み出せない。
「ん、ぅ~~~、こんな、火をおこすの、むずかしかった、っけ…
なんか、集中できない…っ」
ふ~~~っ…と吐き出す吐息は、まだまだ肌寒い外気のせいか、高まった体温故か、異様にクッキリと蒸気めいた白い煙となって口から立ち上る。