2022/04/21 のログ
ご案内:「王都近くの渓流」にイェンさんが現れました。
■イェン > (夏場の様に強い日差しが大地に照り付ける春の日の午後。灰の巨岩の連なりが作り出す力強くも壮麗な水の流れに、両脇からせり出す緑の天蓋から差し込む木漏れ日は柔らかく優しげだった。そんな渓流の煌めきの中を桜の花びらが舞い落ちていく様子は、歌人の心を浮き立たせるだろう風情たっぷりの光景となっていた。透明度の高い清流が新緑の色を揺らめかせる淵の深みより、魚影にしては大きな流体をゆらりと浮き上がらせ――――ざばぁっと川縁の巨岩にその身を引き上げた。)
「はぁ…っ、はぁ…っ、はぁ…っ、はぁ……っ」
(巨岩の平面にひたりと乗せた素足を伸ばし立ち上がったのは、流麗な細身の中に青い果実の硬さも残した少女の姿。恐らくは長い事潜っていたのだろう。豊かに膨らむ少女の乳房が乱れた呼吸で上下する。その胸元を始めとした胴体にぴたりと吸い付く黒絹のたっぷりと水を含んだ艶色が、そこからすらりと伸びる四肢の白さを一層際立たせていた。黒曜の艶髪を後ろ頭で一本に括った顔貌は、切れ長の目尻を彩る鮮やかな朱化粧も相まって人離れした美しさを見せる。人魚、もしくは龍の化身でも現れたかと思える情景は、しかし、よくよく見ればそうでないとすぐに分かろう。何故ならば、胸の膨らみ以外は華奢な肢体を包む黒は王都学院で水連の際に用いられる薄着―――学生の間ではもっぱらスク水と呼ばれる物であり、目弾きの特徴的な少女も美しくこそあれ稚気も残した15、6程度の小娘にすぎぬのだから。人里離れた森の奥。獣どころか人に害なす化物どもも跋扈する危険地帯で、スク水を纏った女学生の水浴びを目撃するなどという冗談の様な現実よりは、あれが水辺に棲む幻想種なのだという妄想の方がしっくり来てしまうのも確かだろう。)
ご案内:「王都近くの渓流」にミシェリさんが現れました。
■ミシェリ > (暖かい、というには少し陽射しが強い日の事。自然の風にふかれて涼むついでに適当な遊び相手は見つからないものかと王都周辺を空飛ぶ箒で散策していた。さすがに人の多い場所とは違って、目につく生き物も野生の動物や、野草摘みの中年なんかがほとんどで。これならば王都に戻り、若者が集う場所を狙ってみる方が望みはあるか、と思ったところ。川沿い、流れに合わせてゆうらりと飛んでいる最中、水面に何かが動くのが目についた。どうせ魚か何かだろうとは思ったものの、一応そちらへ視線を向けて。)
「……あら」
(特に期待もせず眺めてみた場所には、一人の少女がいた。身体に密着し、肌を露出した衣装、水着というものに身を包んで――水浴びの最中だろうか。離れた位置から暫し観察をしてみて、その容姿、おおよその年齢を把握すると、自然と口角が持ち上がっていく。この少女に決めたとほくそ笑みながら、まずは彼女の周囲を、姿を見られないようにゆっくりと周遊する。そのついでに人払いの霧を撒き散らし、辺りがうっすら白く霞んだ頃、死角になる位置へと箒で降り立った。ふっと一息零してから、さてどう釣り糸を垂らそうかと首を傾げつつ、川のほとりへ向かう。あと少しでいつ姿を見つけられてもおかしくないところまで距離を縮めてから、ぽふと両手をあわせる。いい案が浮かんだと目を細くすると、魔力を練り、散らした。少女の勘が鋭いようなら、川のあちこちに何かしらの気配が感じ取れるかもしれない。――そうして始まる悪戯の一幕は、白い霧の中にいる者達のみが知る事になるはず――。)
■イェン > 「はぁ…っ、はぁ…っ、………ふぅぅぅう。 や、やりました……! まさかこれほど多く集まるとは。これならもしかして、Fランクに届いてしまうのではないでしょうか……っ」
(ようやく呼吸を落ち着かせた幻想種、もといスク水姿の女学生は、手にした布袋の中身を確認し、その美貌を堪えがたい微笑みで綻ばせた。中に入れられているのはこの辺りの淵底で育つ特殊な水草。それは魔力回復薬の効果をワンランクアップさせる調合素材であり、水に入るには少々早いと感じられる今の時期、誰にも選ばれずに残されていた採集依頼の目的物。そう、北方帝国からの留学生であり、駆け出しの冒険者でもあるイェンは、本日、この水草の採取のために王都から離れたここまで出向いて来たのだ。空を仰ぎ、日の傾きを確認する。今から戻れば日が落ちる前に十分王都に辿り着けそうだ。そんな空の端を黒い何かがよぎるも、すぐに緑の天蓋に邪魔されて見失う。鳥……? それにしては少し大きかったような気がしなくもないのだけども、と小首を傾げつつも、イェンは近くの岩陰に隠しておいた荷物へと素足の先を向ける。その首筋にちりりと走った奇妙な感覚は、熟練の冒険者達が幾たびも命を救われたという《嫌な予感》という物だったのだけれど、今のイェンにはまだそれが分からなかった―――。)
■イェン > 【部屋を移動いたします】
ご案内:「王都近くの渓流」からイェンさんが去りました。
ご案内:「王都近くの渓流」からミシェリさんが去りました。