2021/08/29 のログ
ご案内:「路地裏」にタン・フィールさんが現れました。
タン・フィール > 王都の平民地区の市場に面した通りには、一般人に向けた食材や衣類や雑貨の店が並ぶ「表」たる大通りと、
そこから無数に伸びる路地裏を抜けた先の貧民地区に近い区画にひっそりと並ぶ「裏」たる闇市が存在していた。

闇市には、「表」の店には置けぬような密猟や強奪による食材・素材がずらりと並び、
どうみても普通は買えぬような高価な…あるいは凶暴な魔物の幼体がペットとして売られ、
奴隷市場都市バフートの一角のように、人間やミレーの老若男女が様々な用途で繋がれ売られている。

そんな裏市を訪れる怪しさや危うさや豪快さに満ちた客層の合間をぬって、
ひたひた、ぺたんぺたんと裸足の足音が軽やかに大人たちの人影をすり抜けていく。

手にぶらさげた籠には、この裏市で仕入れたのであろう奇抜な色や形状の花やキノコや動植物の部位が詰め込まれていて、
この裏位置でしか仕入れられない、薬屋に必要なものを買い揃えている最中で。

「~~~っ…はやいとこ、必要なモノ買って帰っちゃわないと…」

と、漏れる独り言の少女のような声色は、不慣れな雑多さや猥雑さが渦巻くこの魔境といえる市場に明らかに不安がっていて、
途中、『そこの嬢ちゃん、こっちきてコレ見てみねぇか』といった類の、
客引きなのか変質者なのか人買いなのか判別もできないこわいおとなの声などは、
聞こえないふりをしてそそくさと人混みに紛れてかわしていく

…その人混みも、決して安全地帯では無いのだが。

タン・フィール > 小さな薬師の存在など気にも止めぬ、妖しげな商品を買い漁る者…
奴隷商人特有の下卑た笑いを浮かべて手を差し伸ばすが、捉えそこねる指、
娼婦や男娼のからかうような、それでいて獲物を弄るような誘い声

そのどれもが、薬師を含む、この路地裏の闇市を訪れた者共を、
さらに闇へと引き込まんと交錯する中、
ひょいひょいと身軽にその人の波間をぬって、幼子は露天の素材屋から生臭さとフルーティさを同時に発する魔物の干物だの、
妖しく毒々しい蛍光ピンクのきのこだのを購入しては、手に下げたバスケットに放り込んでいく。

もっとも人が多い一角から用事を終えれば、ぷはっ、と息継ぎするような声をあげてそこから抜け出した。

「ふぃ~~~~っ…あそこ、イイモノあるんだけど、なんかこわいんだよなぁ…」

へんなひと、ついてきてないよね?
とでもいうように、周囲をキョロキョロ見回して、この裏通りからどうすれば、
王都の己のねぐらに帰れるのかを探る。