2021/05/19 のログ
ご案内:「停車場」にロクサーヌさんが現れました。
ロクサーヌ > そろそろ街も宵闇に沈む、子供はそろそろ家に帰るべき時間だろう。
けれどもそれは、その子供が普通の、まっとうな家の子供である場合。
今、乗合馬車の停車場にぽつりと佇む瘦せっぽちの子供は、
残念ながら、まっとうな家の子供ではなかった。

昨晩、親切な人に助けてもらって仕事を決めかけたけれども、
交渉の途中で顔見知りの男に見つかりそうになって逃げ出した。
やはり、館に近い場所で職探しはまずいと思い直して、
別の街へ活路を見出すことに決め――――――ひと眼を避けた、日暮れどき。

懐には、今までもらったお駄賃などを貯めこんだ、なけなしの路銀。
それでどこまで行けるものなのか、王都から出たことのない小娘にはわからなかったが、

「……どこかには、たぶん、行けるよね」

ここではないところなら、どこでも良い。どこでも大丈夫。
自信というのとは違う、楽天主義でもない。
きっとこれは、ただの開き直りだろう。

ご案内:「停車場」にエディスさんが現れました。
エディス > 「流石にこの時間だと馬車はないよね、こまったな」

急げば間に合うかと乗合馬車の停留所へと足を向けたが既に最後の馬車は出たのか馬車も人影も見つけれず。
如何したものかと考えて、もしかすればまだ馬車があるかもしれないと探せば馬車の代わりに子供を見つける。

「ちょっといいかな?もしかして最後の馬車はもう出たかな?」

人がいるならば馬車はまだあるかもしれない、そんな希望をもって声をかけていき。
こんな時間に子供が一人というのもおかしくは思うが、この街ならあるだろうとさほど難しく考えず。
ただいきなり声をかけたのだから警戒させないようにと笑みを浮かべて。

ロクサーヌ > 近づいてくる人影に、ほんの少し注意は向けたものの。
小柄な人影、大人ではなさそうだと思えば、警戒心は薄れる。
ただし、それと同時に関心も薄れていたのだが。

「――――――それ、ボクに聞いてる?」

声をかけられて、改めて顔を上げた先。
やはり、子供―――――たぶん、昨日の親切な子と、同じくらいの年頃ではないか、と。
愛想良く、とはいかないが、きょとんと無防備な顔を向けて。

「わかんない、けど、昼間はあんまり出歩きたくなかったから。
 馬車が来なかったら、このへんで夜明かしして、朝一番の馬車に乗るよ」

つまりはその程度のプランで待っている。
相手の助けには慣れなさそうな、はなはだ頼りない先客だった。

エディス > 「他に誰もいないしね。君にだよ」

他に誰もいないと周りを見るようにして相手を見て。
キョトンとした無防備な顔を見返すと女の子?とついじっと見つめてしまい。
きっと自分の子供みたいな見た目に警戒されていないのだと思えば都合がいいと近づいて。

「そうか…わかんないか。昼間にって子供は昼間に出歩くもんだよ。
この辺で夜更かしって君みたいな子は攫われるよ。
そうなったら朝一の馬車じゃなくて奴隷市場行きだよ」

帰ってきた言葉に馬車があるかは不明という事しかわからず困ったような顔を見せ。
この辺で夜を明かすと告げた相手を上から下までと何度か往復してみつめて。

ロクサーヌ > きょろきょろ、確かめるように周囲へ視線を巡らせる。
なるほど、自分と目の前の少年以外、人通りらしきものもなさそうだ。
そっか、と短く呟いてひとつ頷き、もう一度、
その質問を発した相手へ視線を戻し―――――たところで、気づいた。

「―――――――子供に子供とか言われたくないんだけど、
 ソッチだって、こんな時間に出歩いてるじゃん。
 ……ていうか、ちょっと、近いよ」

詰められた距離が、というよりも、じろじろこちらを見る目が気に入らなかった。
なんだかとても、居心地の悪さを感じるのだ。
大人でなくたって、警戒すべき相手が居るのは知っている。
なけなしのお金が入っている懐あたりへ手を当てて、ぎゅ、と握り締めながら、
一歩、後ずさって距離を稼いだ。

「そう思うんなら、ソッチこそ、どっか宿に泊まれば?
 宿だって、そろそろ空きを探すの、難しくなる頃だと思うよ」

エディス > 「やっぱり子供に見えてるよね。これでも大人なんだよ。
見た目の成長が遅いだけで立派な大人、これでもエルフだしね。
そうかな?」

やはり同年代に見られてたと思うと違うと緩い笑みを見せて訂正し。
髪を掻き分けてとがった耳を見せて種族の違いと大人だと告げる。
ただじろじろと見たせいで警戒をされてしまったがお持ち帰りしたくなるぐらいにかわいい子だと確認できたので気にせず。
後ずさるように距離を取られても直ぐには距離は詰めずにいて。

「本当は馬車に乗ってハイブラゼールに向かってた筈なんだよ…。だから宿を取るとかは考えていなくてね。
もしさ、いい宿を知ってるなら教えてくれない?案内代代わりに一晩ぐらい宿代は持つよ?」

馬車に乗る予定で宿は全く考えていなかったことを告げ。
一晩面倒を見るから宿を紹介してくれないかと頼んでいき。

ロクサーヌ > 「――――――そう」

サイドの髪を掻きあげて、特徴的な耳を見せられる。
ひとつ瞬いてから、低く、短く答えて、更に半歩ほど後ずさった。
大人であり、男である、―――――つまり、完全に警戒の対象である。

「ひとのことは言えないけど、結構行き当たりばったりじゃない?
 馬車の時間、ちゃんと確かめてなかったんでしょ」

それでこの時間まで宿を取らずにいるとか、ちょっと迂闊じゃないだろうか。
―――――相手がなにを考えているのか、知る由もない、けれども。
軽い調子での頼みごとに、きゅっと眉根を寄せながら相手を睨み、

「……ボクは良い、このへんで宿、取る気ないから。
 抱き枕込みの宿が良いなら、あっちのほうに、いくつかあるよ。
 あの角曲がれば、すぐだから」

彼の背後、歓楽街へ続く曲がり角を指し示す。
そのあたりの宿ならば、むしろ、おひとりさまのほうが大歓迎のはず。
―――――そしてこの小娘にとっては、知り合いが多くて近づけない界隈だ。
相手の思惑がどうであれ、ここでお別れ、というつもりで片手をひらひら振り。

エディス > 更に後ずさられた事に完全に警戒されたなと思えば肩を竦めてみせ。

「思いついたら即行動でやってるからね。その方がうまくいくこともあるんだよ。
もう一つぐらいあるかなって期待していたんだよ」

行き当たりばったりと言われてはその通りなので降参という顔になり。
眉を寄せて睨まれるとこれは駄目かなと息を吐き。

「君にこの辺りは碌でもないって感じだね。
そっか、あっちの方にあるんだ。助かるよ」

背後を指し示され、あちらにあるのかと分かればそれで充分助かり。
ここまで警戒心を見せられては更に頼むなどすれば警戒される一方。
ならばおとなしく抱き枕込みの宿を探す方がいいかと考えを変え、手を振る少女に軽くお礼を告げてはそちらへと足を向けて去っていく。

ご案内:「停車場」からエディスさんが去りました。
ロクサーヌ > 思いつきで行動している、という点では、こちらも大差ないのかも知れない。
けれども―――――

「……最初のね、目つきがさ……気になったんだよね、やっぱり」

ほんの少し、本当にただ困っているひとだったなら、という罪悪感。
チクチクと胸の奥が痛むのを感じたけれど、もう、仕方のないことだ。

「ていうか、……それにしても。
 ボクは、どうしよっかなあ……」

既にすっかり日も暮れ切って、馬車どころか人が来る気配もない。
これから先は、もしかすると、もっと危険な連中の闊歩する時間帯かもしれない、とも思った。

ロクサーヌ > 「―――――――――――あ」

つい先刻、指さしたばかりのほうに、人影を見つけた。
ほとんど同時に、あちらもこちらに気づいたようで、ピタと動きが止まる。

物も言わず、地を蹴って逆方向へ走り出した。
幸いこのあたりは庭同然、抜け道ならいくらでも知っている。
見つかるわけにはいかないし、連れ戻される気もないのだ。
だから今はとにかく、必死に走って逃げなくては、と――――――。

ご案内:「停車場」からロクサーヌさんが去りました。