2021/04/19 のログ
ご案内:「王都路地裏 古物屋」にシシィさんが現れました。
シシィ > 王都の路地裏にある、煤けた看板の下がった古物屋の扉をくぐるのは一人の女。
人一人が通れるだけの通路、その両サイドの棚に所狭しと並べられているのは、発掘品であったり盗品であったり、あるいは質流れ品であったり。
その出自は様々ともいえる古物、美術品、魔道具、書籍……やはりその種別も問わず、雑多に積まれ、並べられている。

真贋のほどは定かではないし、店の主もそれ自体に重きを置いているわけでもないのだろう。
埃っぽい店の中、踏み抜きそうな床板の上を、きしりと音を立てて進む。

ここを訪れるのは何度目だろうか。己の商いの領分ではないが、時折顧客に頼まれものを探したり、それこそ鑑定の仕事の領分としては──目を鍛えるのも兼ねて訪れる場所。

この店が出処というだけで、知っているものは眉を顰めることも多いのだが───、ほんのわずかではあるものの掘り出し物がない、とは言えないのが──富くじを狙うような気分でこの店を訪う理由なのかもしれない。

シシィ > 店の主は己が何か悪さをするわけでもないことはわかっているらしい。……というよりはうっすらと埃をかぶった商品に価値を見出すものはそうそういないからか、手に取ることすら許してくれる。

時折手に取って眺めていると、嘘か誠かわからぬ来歴を教えてくれたりもする。

たいていは奥まった場所のカウンターで、しかめ辛しい表情で何か書き物と格闘しているのが主な彼の姿勢ではあるが。

例えば───精緻な金属細工に、赤い宝石が印象的な小箱は、どこぞの王妃の持ち物だったとか、時折思い出したように聞かせてくれるのだ。

曰くのある品が並んでいるらしい、とは聞くものの、その話はどれも胡散臭い。
それでも、時折聞けるそんな話も面白いから、商売という所からほど遠い場所にあるこの古物店を訪れるのは息抜きとして丁度良かった。