2021/03/13 のログ
スピサ > 洞窟を進んでいく
途中、腰に下げている探索用ベルトからカツカツカツンと軽石製のチョークで帰り道を示すラインを記す
右か左か わからなくなることは二手に分かれた道だけではない
それが真っ直ぐに続く道だとしても横転と混乱が破滅を生む

形状以外のこういった行為もまた冒険だろう
先へ進むにつれ、鉄の匂いは濃くなった。
また一匹、大人二人を背負えそうなムカデが現れる
地べたを這う攻撃が入りにくい背丈

絡みつき、丸め込むように蛇のような狩りと、多足による拘束がムカデ類独自の狩りだ
故背中の鎧や盾が張り付く表面を狙う前に、真下から上へ向かってのフルスィング
鉤型の凹凸が掛かり、強引に宙へあがる鎧大ムカデ

長い体がうねる中で、尾脚ががっしりと地面を噛み、半身が持ち上がるだけにとどまった。
鎌口が、襲い掛かるのを、左手の重量級の小盾が腕からはみ出る曲線で殴りつけ、口元を逸らす。
響く金属の悲鳴 蠢く脚とこすれあう接着面の金属の音

武器形状からパワーファイトになる一撃一撃が、ムカデの体を揺らす
スピサは、急所を狙わず強引に両手持ちに切り替えたメイスで頭部を殴りつける。
横という盾に覆われていない部位から、グシャリと聞こえる破砕音

壁に飛び散る、接着の剥がれた金属と殻 油の霧散。
蠢くそれは頭部が破壊されても動くだけの反射ながら、地面と設置したことで、金属と地面に挟まれた相手に切っ先を押し付ける
鋭利な凹凸がついたメイスの先が、金属に凹凸をつくり、その凹みがムカデの体に刺さり、砕かれる。

メイスの先で煙をあげる、油と燃える殻
ブスブスと黒く炭になるならば、盾に半ばを打ち付けるようにすることで汚れは落とされていく。

「ふう。」

弾き飛ばすだけで済めばいいものの、平たい体と虫の頑丈なそれは、人のように骨と内臓が砕けるようにはいかない
スタンプも加え、完全に動かなくなったのを見てから、接着されている代物を見る。
鋼 青銅 鉄 時には割れて半身となった兜まであった。

「ん。」

力任せにはがした一つの中に、一つのダガーがあった
両刃造り 丈は指先から肘半ば 研いだ後の刃が見えないそれは断面は楕円型だろうか。
柄や鍔は他の金属ながら、このブレードだけは違う。

「……軽い。」

ムカデ油の一種が固形することで生まれる接着をカリカリと腰に下げていたナイフで削り取る。
胸元の鏡面照明が照らすと銀色 しかし金属の匂いがしない。

「……骨?」

寝かせて思わず眺めてみる
汚れはあるものの、刃こぼれもしていない。
ナイフで軽く叩くと、チンチンと硬い音がするものの、折り返しも鍛錬もしていない
研ぎだけで生まれた代物だ。

「……ん。」

ゴソリと、布でくるんで腰下げにしまう
ミスリルではない 思わぬ拾いものだと、先へ進む。

ご案内:「王都 自然地帯 中級用ダンジョン 鎧ムカデの洞窟」からスピサさんが去りました。