2021/02/09 のログ
イーゴリ > 「確かに、それもそうか。」

水面落下からの怒涛の平謝りに、素直な下半身である。
フォローも無くあっさり頷いて見せた。
格好付けた言動を為されても、今回の事を覚えて居る限り、セットで思い出してしまいかねん。
相手が傍らまで近寄れば、ざぶ、とお湯の掻き分ける音を響かせ立ち上がり、軽い動作で縁に足を掛けて爪先立ちになる。
然程開きのない身長だ、男の襟首を捉えて支えにすれば男の顔へと己の其れを寄せるのは然程難しくもない。
男が良ければ、瞬き二つ分の間だけ唇同士を触れ合わせ、直ぐに引いてしまおう。

「ま、上手くその気にさせる事だ。」

露わになった片目が、笑う色を湛えて仄かに眇んだ。

セイン=ディバン > 「でもまぁ。そういうのがお望みなら。
 次に会うときは、全力でカッコつけるぜ?」

カッコつける、と宣言しては。
実際にカッコつけたらカッコ悪いことになるだろうが。
男は、そこを気にした様子もなく、くつくつと笑い声をこぼす。
そのまま、相手に近づき。相手が、男の唇を奪うのであれば。

「……」

なぜか、男は呆然とし、赤面していた。
どうやら、キスをいただけるなどとは思っていなかったようで。

「……努力します」

男は。そう言って、視線をそらすのが精一杯だった。

ご案内:「とある秘湯」からセイン=ディバンさんが去りました。
イーゴリ > 全力で格好付けるのか。其れは其れで見てみたい気がする。
間違いなく、今回の事を思い出す事になるのだろうが。
唇が触れあったのはほんの僅か。
元より夜目の利く身だ、眼前の男の顔が赤く染まる様は良く見える。

「―――…君、そう言う顔もするンだな。」

直截な誘いは掛ける癖、妙な所で初心らしい。
ク、と喉の奥が笑いに震えた。
男から身体を離せば、再び湯舟に浸かり、去り行く背に「またの」と声を掛け遣った。
常の姿で再会する可能性の方が高いのだが――今はさておき、である。
もう数日の間は秘湯を楽しむ事にするのだった――。

ご案内:「とある秘湯」からイーゴリさんが去りました。