2021/02/08 のログ
ご案内:「とある秘湯」にイーゴリさんが現れました。
イーゴリ > 本日は満月、と言う事で数日前より人里を離れ、此処より少しばかり離れた場所に建てられた山小屋で過ごしている。
普段であれば、此の姿に戻った際に使う宿に篭るのだが――請け負った依頼の調整が利かず、些かのリスクを負う事になってしまった。

「デカい風呂を毎日独り占め、と言うのは悪くは無いがねェ――…。」

岩風呂の中、ぐ、と両腕を上へ掲げて伸びながら、一人であるのを良い事に軽い調子で呟いて。

ご案内:「とある秘湯」にセイン=ディバンさんが現れました。
セイン=ディバン > たとえどんな達人でも。失敗はする。
とはいえ、様々な道の熟達者は、その失敗からのリカバリーが上手いわけなのだが……。

「どわぁぁぁぁぁぁあっ!?」

この男の場合。今回は失敗を挽回することはできなかったようである。
先客ある秘湯。その湯の上、高さ2メルトルほどの地点に。
叫び声をあげながら、男が急に出現した。
当然、男は落下することになり……。湯へと着水することになり。

「がぼっ!?」

ばっしゃあああん。と。水しぶき上げ、顔面、腹部強打。
ぷかぁ……と水面に浮かんで数秒の後。

「ぶはぁぁぁっ!? こ、ここ何処だ!?」

男は、ざばっ、と顔を上げ、周囲を見る。
自分がどこにいるのか分からないらしく、混乱真っ只中だが。
そのタイミングで、先客と目が合えば。
ぴたり、と。動きを止める。

イーゴリ > 幼い頃の体を使いこなす、と言う事自体は疾うの昔に慣れ切った。
然し、其の身で一所に留まらず、点々と移動する、と言うのは慣れていても疲れは溜まる。
多少気を抜いた所で文句を言う様な者が居る訳でも無し――取り留めなく、そんな風に
思考を散らしていれば、正しく、突如湧いて出た他者の気配。
染み付いた反射で魔力を練り上げる――も、上空から落下してきた物体の叫び声と上げた水飛沫に動きが止まる。

「――――……。」

暫しの無言。
其れから、ぷかり、と浮く体が慌ただしく周囲を確認すれば、自然、己とも目が合おう。
はつ、と瞬きを一つ。完全に濡れ鼠と化してはいるが――見覚えのある顔、の様な気が。

「なア、君。 ――――招かれざる客、と言う言葉は知っているか?」

が、先ずは一言物申さなければなるまい。
にっこり、と音が付きそうな程に分かり易い笑み面を浮かべ、平坦な声音で問いを放った。

セイン=ディバン > 「……ぁ。ぇ。ぃゃ」

動物は人間よりも恐怖に敏感である。
時に逃げ、時に服従し、時に戦う。その判断の速さは、人間の比ではない。
そして、男は人間であるがゆえに。先客の問いに返答できず、固まってしまう。
圧。すさまじいまでの圧。身動き一つできず。

「……あの、違うんです。
 いや、違わないんですけど……」

かろうじてできたのは、言い訳くらいのものであった。
男は、ごくり、と唾を飲み。相手をまっすぐに見て。

「ちょ、ちょっと窮地に陥って。
 で、やむを得ず魔術での状況打破を試みたら。
 自分の狙い通りに事は運ばず。こうして失礼をすることになったわけで……って」

相変わらず身動きはせず。とにかく事情説明をする男。
そうして、謝ろうとした瞬間。男は相手の姿を把握し。

「……あれ……? なんか。
 どこかで、お会いした、よう、な?
 じゃなくって、マジスイマセンでしたっ!」

相手の姿に見覚えがあるような気がして。
ついそう言ってしまう男であったが。
そこで、男は状況を思い出し、頭を思いっきり下げて謝罪する。

イーゴリ > 盛大に湯を被った所為で、頭から伝い降りて来る雫を軽く拭い取りながら、表情を変えぬ儘に聴く男の言い訳。
へえ、とも、ほう、とも相槌らしい言葉すら一切無い。
捉えようによっては、静かに相手の台詞を受け止めている、とも取れなくも無いかもしれないが。

「……やむを得ず、ねェ。」

謝罪までの主張を一通り聞いた後、ようやっと出て来た言葉は其れ。
相手にも、己に対する既視感がある、と言うのが分かった際には、じろり、と睨める様な視線を投げはしたが。
十数秒程の沈黙の後、あからさまな溜息を一つ逃がし、

「君、謝罪だけで済むと思ってンのかね。」

岩肌から背を浮かせては、そう離れてもいない距離を状態を前傾させる事で縮めてしまう。
其の儘、晒されている男のつむじに目星をつけ、ぶすり、と人差し指で突きやり、ぐりぐりと多少爪を立てて苛もうと。
何処ぞの取り立て屋の様な台詞を宣うが――相手が相手なら「きゃあ痴漢」と、叫ばれお先真っ暗コースも可笑しくない状況である。

セイン=ディバン > 「いや、本当に。申し訳もないといいますか。
 なにぶん、命がかかっておりまして」

この男には珍しい平身低頭っぷり。
相手に睨まれれば、何度も何度も頭を下げ。
ゴメンナサイゴメンナサイと平謝りすらしてみせる。

「……いや、その。当然。
 せっかくのリラックスタイムをジャマしたわけなので。
 私に出来る償いであれば何でもさせていただく心構えでございます……」

ずぶっ、と。つむじを突かれ、男は動きを止めつつ。
ぐりぐりとつむじを刺激されるのを受け入れる。
普段の男であれば、ここまで弱気ではないのだが。
入浴という、幸せタイムをジャマした罪は重い、と。
男自身、とても強い罪悪感を感じているようではあった。

イーゴリ > 命が掛かっていて、と言うのは、実際嘘では無いのだろう。
態々温泉の上空に現れ、渾身の水面落下を狙ってやったと言うのであれば、最早己の感知の範囲外が過ぎる。
つむじをぐりぐりと圧した儘、男が平謝りを繰り返す様眺めて。

「何でも?」

やがて、男の口から出た――と言えば良いのか、引き出したと言えば良いのか――言葉を鸚鵡返しに紡ぐ。
相手の視界の外、貼り付けた笑み面は愉快そうな色を徐々に滲ませて。

セイン=ディバン > これまた。普段の男であれば。
ここまでいい様にされれば、激怒しそうなものであるが。
本当に珍しく、男は言われるがまま、されるがままで。

「は。そりゃあ、もう。
 いや、俺にできることなら、なんですけれども」

ついにショボーン、と元気を無くす男。
とはいえ、相手に許してもらえるのなら。
自身にできることはなんでもするつもりである、という。
その言葉にはウソはなく。本気でそう思っている。

イーゴリ > 平身低頭と言った様子だったのが、遂には元気まで失ってしまった。
普段の男の性質等、知る由も無い己には、此れが稀有な事である、と言う事は知らぬ由。
一度瞳を瞬かせはしたものの、然程気には留めぬ。

「言質は取ったぞ―――セイン。」

愉快そうな色を笑みに湛えた儘、記憶の海から引きずり出した名前を先迄とは一転、愉し気な調子で口にした。
己の中にある、何処か飄々としたイメージとは乖離のある目の前の様子では、些か自信が無いのだが。

セイン=ディバン > というか、男にしてみれば。
入浴中の相手の元へと突然お邪魔し、なんなら裸身まで見ているわけなので。
それはもう、殺されても文句は言えない状況だから、大人しくもなるのだが。

「……え? オレの名前……。
 やっぱり、どっかで会って……」

相手が自分の名を呼べば、男は驚き、相手を見上げる。
そこで、ん~、と首を傾げつつ。

イーゴリ > お湯を頭から被って居なければ、反射で串刺しにしていた可能性はゼロでは無い。
が、ネチネチと詰っている内に其の算段は既に思考の外。
男が顔を上げれば、漸くつむじを苛む指を離し、

「おや、酷いのう。共に危機を脱した仲だと言うのに。」

幼い時分の姿の際に繰る、様相にそぐわぬ老獪めいた物言いを口にした。
とは言え、たった一度の邂逅では記憶に残って居なくとも可笑しくは無いし、そも、今の己の姿と普段の姿を結び付ける要素等、髪型と色味程度。
緩、と肩を竦めて残念がって見せる癖、然程気にもしていない、と言うのは軽い物言いで分かるのだろう。

セイン=ディバン > 相手の言葉。そして、相手の姿。
それらを全て理解した時、男はようやっと相手のことを思い出した。

「あっ……イーゴリ……!?
 って、えぇ!?
 いや、だとしたらなおさら申し訳ねぇ!」

相手の名を呼び、男は再度頭を下げる。
相手とは一度しか会っていないが、冒険者などやっていれば。
様々な人物の噂は耳にするわけで。
そんな知り合いの入浴をジャマした、と気づいた男は。
思いっきり謝罪し。

「いや、本当にスマン!
 俺にできることならなんでも言ってくれ!」

再度、なんでもします、と宣言するのであった。

イーゴリ > 如何やら思い出したらしい。
おや、と短な声を上げたのも束の間、再び下げられる頭に瞳が瞬いた。
何処と無く、先よりも切に聞こえる謝罪に喉の奥で笑み音を転がし。

「そうさなァ――今のお前さんに出来る事は、風呂から上がるか、羽織る物を貸すか、って所かね。」

取り敢えずの二択。
幾ら羞恥心が薄いとは言え、知人の前で裸身を晒す趣味も無ければ性癖も無い。
し、実際問題、今直ぐして欲しい事などその程度だ。
頭を傾いでは態とらしく困り顔を浮かべ。

「それとも、生まれた儘の姿の私に何ぞ用でもあるのかね?」

セイン=ディバン > 基本的に、女性のことは忘れないようにしている男であるが。
さすがに、姿が変わっていてはすぐに思い出すこともできず。

「あ、あぁ、すまんっ!
 すぐ上がる、今上がる!」

まずそもそも。服を着たまま風呂に入っているという失礼。
男は、慌てて風呂から上がり。そのまま相手を見るのだが。

「ぅ。そ、それはぁ……。
 ま、まぁなんだな。正直、裸のイーゴリは魅力的ではあるんだが」

そこで、意図して相手の体を見たからだろう。
男の股間が盛り上がり、布を押し上げていく。
もしかしたら、相手にもそれを感づかれるかもしれないが。

イーゴリ > 己の言を受け、忙しない様子で風呂から上がる様を視界の端で捉えつつ、
「そうしてくれ」等、軽口めいた調子で嘯いた。
同じ調子で告げた言へと返される言葉には、呆れた表情になってしまうのも仕方がない事だろう。

「君なァ――、」

窘めようと風呂から上がる相手へと視線を向ければ、自然、視界に入る下肢。
僅かな沈黙を空け、窘めの言葉の代わりに呆れを継続させた。

「――…正直者だな、と褒めてやるべきかね。」

セイン=ディバン > 「美点でもあり、悪癖でもあり、弱点でもある、と。
 自覚はしている」

えへん、と胸を張る男であったが。
すぐに申し訳なさそうな表情になり。
魔術でタオルを取り出すと、相手へと差し出し。

「つっても、ムードも何もないからなぁ……。
 本音で言うのなら、ぜひともお相手してほしいんだけど」

ははっ、と笑いつつ。頭を掻く男。
ただ、視線はしっかりと相手の体を見ている。

イーゴリ > 「胸を張って言う事じゃア無いな。」

間違ってはいないが、何とも気の抜ける言である。
目の前に現れたタオルは有難く受け取り、頭へと被せて軽く水気を拭き取り。

「成程。物好きでもあるらしいな。」

身体の凹凸ばかりは女性らしい物だと言う自覚はあるが、
言動と全身に絡み付く様な茨の紋様で相殺所かマイナスだろうとも思っているが故、
謙遜も衒いも嫌悪も無く、しれりと宣った。

セイン=ディバン > 「……違いない」

ははは、と男は苦笑しつつ。
胸を張るのを止めてみせる。
別段、自分の言動が誇らしいことでもない、ということに関しても。
ちゃんと自覚はしているらしく。

「物好き? なんで?
 イーゴリちゃんは可愛いアンド美人さんだと思うけど?」

相手の言葉に、意味が分からん、と首を傾げる男。
男にしてみれば、好ましいと判断した女性は。
何があろうと、その評価が覆らないらしく。
男の言葉にウソがないのは、その膨らんだ股間が証明になっているだろうか。

イーゴリ > 自覚がある分、無い者より良いとは思ってはいるが、敢えて口にしようとはせぬ。
重く受け留めてくれ、とは内心に。
続く言には、久しく受けぬ評に居た堪れなさを覚えてしまう。
短い眉の尻が仄かに下がり、苦い物でも食べた様な渋さの滲む表情を浮かべ。

「そう言うのをゲテモノ食い、と言うンだ。」

言われた事が無いのだろうか、この男――等、居た堪れなさを誤魔化す悪態を頭の中で吐いた。
実際、口にしている言葉も悪態になんら変わりは無いのだが。

セイン=ディバン > そもそもこの男。
自分がいい女だ、と判断した女性を口説くことに躊躇がない。
なので、物好きと言われようが、ゲテモノ食いと言われようが。
まったくもって意に介さないのである。

「へぇ、そうなのかい。
 でも、そりゃあ他人の評価だろ?」

オレには関係ないね、と言うものの。
男は、さすがにこの状況ではなぁ、と思いつつ。

「……じゃあさ。次にイーゴリちゃんと会ったとき。
 また口説くからさ。
 その時、気が向いたらセックスしないか?」

なんとも。最悪な提案であったが。
男は真剣にそう提案してみせる。

イーゴリ > 他人の評価、と言われてしまえば否定も出来ぬ。
反論の余地が見当たらない――と、言うよりは、反論があった所で、と言った所なのだろう。
次第、呆れと困惑の入り混じった物へと表情を変え、脱力。

「――とんでもない誘い文句だな。」

して、更に脱力が重なる。
直截と言えば良いのか何と言えば良いのか。
真剣そのものな表情で告げられたのだから、それも仕方のない事だろう。
ふ、と吐息交じり、笑う音を逃がしては、片手を軽く持ち上げ、人差し指で相手を手招く仕草。

セイン=ディバン > 男のこういった軽薄な言動に関しては。
正直、かなり評価は分かれる。
接しやすい、と見る人間もいるだろうし。
気に入らぬ、と断じる人間もいるだろう。
だが、男はそういった評価すらも気にはしないのである。

「だってなぁ。
 こんなマヌケなところ見られて。
 今更カッコイイ口説き文句なんて出ないってことですよ」

はぁ、と男もまた、ため息を吐き。
相手に向かって、屈託のない笑みを見せつける。
そのまま、相手に手招かれれば。
ん? と首を一度傾げ、相手に近づくようにしていく。