2021/01/24 のログ
ご案内:「古着屋」にタピオカさんが現れました。
■タピオカ > なめし皮のにおいがする。
王都平民区にいくつもある通りから一本裏に向かった場所に小さな古着屋があった。
そこには使わなくなったり買い替えのための処分によって持ち込まれた防具や衣装、そして出どころ不明のナイトドレスまで。
果てには未鑑定の呪いの品まで置いてあったりする。
それは女の防具である、という店主の意味の深い趣向により下着まで並べられていた。
「マントがそろそろ古くなってきたから、買い替えたいんだけど……。うーん……!いろいろあって迷う……!」
一応はトップス、パンツ、外套、その他、的なジャンル分けはされているが、陳列状態は適当そのもの。
壁にかかってたりカゴに入ってたりとモノが多くて目移りする。
マントを求めていたら状態の良さそうなブーツまで見つけてしまったり。
お値打ち品、と銘打たれて値札が下がっているのはきわどいデザインのビキニアーマーだ。
どこから流れてきたのか胸と股座が丸く開いたウェディングドレスまで飾られ、ぱちぱち睫毛を弾ませ。
■タピオカ > 古着という性質上、ここの商品のお値段は全体的に控えめになっている。
ぎりぎり着用に耐えうるものの、繊維が薄くなったりよれていたり。それもまたこなれた味というものだ。
そんな古着というくくりには収まらないような一品が見えてきて褐色肌の冒険者は目を丸くする。
まず値札のゼロの数が違った。いちじゅう、ひゃくせんまんじゅうまんひゃくまん……。途中で数え切れなくなって瞬きをする。
それはまさしく野党や無法者が徒党を組んで闊歩するのにふさわしい、否、それ以上のシロモノだった。
お洒落だとするなら勘違いも甚だしいモヒカンウィッグ。贅沢にもミスリル銀を用い、鈍く銀色に輝いている。
セットで売られている肩パッドのトゲトゲは店の天井を突き刺さんとする勢い。こちらはオリハルコンを用い、ドラゴンの分厚い皮膚装甲も貫ける剛健仕様となっている。
どこの好事家の屋敷倉庫に眠っていたのやら、そんなヒャッハー装備を目にした衝撃でしばらく立ちすくんでいた冒険者は「これ欲しい!」と両手の拳を握りしめたという――。
ご案内:「古着屋」からタピオカさんが去りました。