2020/12/05 のログ
ご案内:「富裕地区/王都闘技場/模擬戦場」にビョルンさんが現れました。
ご案内:「富裕地区/王都闘技場/模擬戦場」にアイリースさんが現れました。
■アイリース > 「なるほど。ここが……」
私は、初めて足を踏み入れる闘技場に。
感嘆の息を漏らしつつ、周囲を見てしまう。
なんというか……空気が張り詰めていて。
どこか、心地よいと思ってしまう。
「……さて、若様。
ここに来た理由はもうお分かりですね」
そこで、私は同行してくれた相手に向き直り。
少しばかり真剣な表情でそう言い。
「……今日は私が訓練をつけてさしあげます」
そして、私は両手を腰に当て。
胸を張り、相手にそう宣言する。
■ビョルン > 散歩のついでのような誘う手管は忍びの者ということか。
……尤もそこがどういう場所かというのは死なない筈もないのだが。
数日前、ある冒険者に実戦の稽古をした後何食わぬ顔で塒まで戻ったのだが。
(お背中流します)なんて言葉と共に風呂場に這入ってきた女に即日に打撲婚を発見された不覚。
───からの現状。
「うん、まぁ──」
仏頂面で素っ気なく返す。
観客席側ではなく、訓練場とはいえ戦場側に引き入れられたということはそういうことであり。
「──ちょうどいい相手を手配してくれるくらいの奥ゆかしさくらいは、欲しかったぜ……なぁ」
渋々と言った具合に、苦い言葉を返しながらも諦めたように刀を預けた。
「まぁ、じゃあお手並み拝見といこうか」
空間に塵手水を切り、無手であることを示す。
それからゆるりと結んだ拳には、どこか解せぬというような甘さがある。
「かかっておいで」
構える拳は低いが開いた両脚に体重を交互に移動させて備える。
まずは相手が和服でどれだけ動くのか、見てみよう。
■アイリース > 「ちょうどいい相手を手配するにも。
若様の実力がわからなくては手配のしようもありませんし」
ふん、と鼻を鳴らしつつ。
私は、柔軟体操をする。
私もこういった運動は久しぶりなので。
急に動いては、ケガをするかもしれない。
「ふん。それはこちらのセリフですけれども」
さすがに。お手並み拝見、なんて言葉は。
私としては、ちょっとばっかりアタマに来る。
どうにも、私の実力を侮られている気がする。
「ではまぁ。行きますよ」
相手の構えを見つつ、一度咳払い。
両手をだらり、と下げて。腰を落とし。
私は、駆け足くらいの速度で相手に向かっていく。
まず近づいて。相手がどう反応するか。
牽制などで攻撃してこないのなら……。
急停止して、相手の周囲を旋回するつもりで。
■ビョルン > 「てっきり、おおかた調べはつけてのご無体かと」
先日の模擬戦闘もここへ出入りする者であれば目にしていてもおかしくはない。
運動をしている相手を見ながら半身を見せて体と拳を弾ませている。
「どォぞ」
気のない声を吐息のようなボリュームで呟いて、駆け出すのを見る。
まさか距離は反られれど突然の体当たりはないだろう。
けれど、相手が己の腕<かいな>一本と半分の範囲に入れば一歩横へ飛ぶ。
女の直線軌道から己の身を外してなおも女の行動を見極める気でいる。
■アイリース > 「そんなわけないでしょう。
せいぜい、筋力とか。それくらいしか分からないですよ」
戦っている姿。そのものを見なきゃ、戦闘能力なんかはわからない。
逆に言えば、戦ってそれが分かれば、対応できる自信はあるが。
「……ぬっ」
てっきり、反撃してくるかと思ったが。
私は、相手の予想外の行動に、一瞬足を止めそうになるが。
そのまま、相手に追いすがり、顔面へと掌底を放つ。
とはいえ、これは攻撃目的ではなく。
相手の視界を塞ぐのが目的だ。
■ビョルン > 「先日やり合った相手とか。
そん時の勝敗とか」
そこの調べはついての、誘いなのかもしれない。
横跳びで空いた相手との距離、また削がれれば構えた拳はわずか前へ。常に放てる状態を保つ。
顔面へ掌底が繰り出されれば上半身を逸らせて避ける。
避け切れず、わずかの接触はあれど崩れかけた体重配分の均衡を取り戻し。
「顔はやめろよ。
──お前さんだけのものじゃないンだぜぃ──…」
回避と防御あれどまだ応戦の矢を番えずに居る拳。
女は、本来ならば速攻型だろう。
ならば次もあるだろう──足か。
やっと体が温まった。片手でチョイとネクタイを緩めながら後方へ飛び、また距離を取る。
■アイリース > 「……まぁ、それくらいは聞いてますけど。
……よりにもよって、あの冒険者が相手だったらしいじゃないですか」
別段、私はかの冒険者に恨みがあるでもない。
ただ、噂によると相当軽薄で、女癖が悪いとか……。
正直、そういう相手には、この若様にはちかづいてほしくないのだが。
「訓練とはいえ、戦闘中に軽口は感心しませんよ」
相手の視界を奪ったものの。相手の回避は見事であった。
私は、一度距離を取り、呼吸を整える。
相手も距離を取ったので、一度仕切りなおし。
どう攻めたものか、と考えつつ。
更に姿勢を低くし……。
「ちょっとだけ、本気を出しますよ」
そう、宣言する。
少しは、相手にも危機感を持たせないと意味がない。
ゆらゆらと両手を揺らし。相手をまっすぐに見据え。
いつ攻撃するか、と。相手を焦らすように。
■ビョルン > 「あの冒険者、とかあんまり言っておあげじゃないよ」
冒険者稼業の男とは食い合いになる利益はない。
素行どう在れ──むしろ花街には良い客ではなかろうか。
少し病権者に同情を寄せながら呆れた声を発した。
「軽口なんかじゃないよ」
仕切り直しの距離になれば改めてシャツの襟を寛げて肩に乗せたコートを脱ぎ落とす。
突進、掌底とくれば……着物の裾も絡げずに来るのなら今度は下段の蹴りくらいか。
「ちょっと、でいいの?」
また軽口風で怒られようか。
足元の狙いはつけづらいようにより膝と足首のバネを活かして体を上下へと弾ませる。
「来なよ」
女を殴れるかどうか、今一つ自信のない指先で招く仕草を見せる。
■アイリース > 「……ふ~ん、です」
相手の言葉に、頬膨らませてみせる。
絶対、いつか相手に悪影響がある。
これは、近い内に動く必要があるかもしれない。
「そういうのが軽口なんです」
相手がコートを脱ぐのなら。
私は、それを一旦見守るように。
さすがに、そういう隙を突くのは、訓練の意味がない。
「ちょっと、で十分です」
相手が軽やかに動くのを見つつ。
私は、相手の誘いに素直に乗り。
「……っ」
今度の突撃は、最初よりも更に低く。
地面スレスレ、這うような姿勢で突撃し。
「ふっ!」
接近すれば、体を跳ね上げ。
その勢いを利用し、右手で顎を、左手で鳩尾を狙い、掌底を同時に放つ。
顎を打てれば行幸。あるいは鳩尾を打てても、効果的な一撃になる。
■ビョルン > 「まかり間違っても勝手に始末とかするんじゃないよ?」
己にはよくわからないが以前にも女は件の冒険者に反発して舌戦になりかけていたように思う。
何がそんなに気に入らないのだろう。
軽口指摘され、己にはちょっとの本気で足りるのかと口がへの字になる。
けれど、実際ちょっとで十分なんだろう。
女を殴ろうという踏ん切りがつかぬままでは。
そろそろ痛いこともあるだろうと覚悟を決める。
更に低く走り込んでくるなら、狙いは下段蹴りではないと見切る。
足を振るには低すぎるだろう。
そろそろ食らうか。
奥歯を噛み合わせ、拳闘の構えのフットワークを軽くした。
相手へと視線を向けて逸らさず、インパクトの瞬間を狙って真上に跳躍した。
女の右手は空を切るだろう。
だが、左の掌底は真上への飛距離分、水月を外れて下腹へと当たる。
「──っ、…」
想定よりも重みのある一発だったが体勢は崩さず、両足で着地する。
地に足つけばずしり、と衝撃が遅れて腹窩の臓物を揺らすようだ。
「顔、狙うじゃん──…」
不機嫌そうに呟いて。
ここでようやく、腕を伸ばす。
打撃を放った相手がまだ飛び退いていなければ、左手を伸ばして相手の着ている着物の半襟辺りを掴んで引き寄せようとする。
■アイリース > 「……わかってますよ」
さすがに、命令がなければそんなことはしない。
私だって、個人の感情で殺しなんてするタイプではないのだから。
なにやら、相手の表情が不機嫌そうになったが。
私としては、そこを気にしている暇もない。
これは訓練なのだから、相手を鍛えなくてはいけないのだ。
相手に接近し、顎と腹部に同時攻撃。
しかし、またも相手が見事に回避し、クリーンヒットはしない。
「……本当に、身軽ですね」
これもまた、予想はずれ。
ガードするかと思っていたのだが……。
どうにも、この相手。一筋縄ではいかないようで。
「お、っと」
ここで、相手が腕を伸ばし。
着物を掴んできたので、私は少し体勢を整える。
そのまま、相手に引き寄せられるがまま。
次に、相手がどうするのか。見てみるつもりでされるがままになる。
■ビョルン > 「いや、腹には正直食らった。
──場所のせいでちょろっとでも漏らしたらどうすンのさ」
今日はたまたま、良く動けてヌルリヌルリと上手く避けられている方だ。
しかし、そうして消耗していくこともある。
細かく常に動いている拳闘スタイルでは、スタミナ消費に伴って現れる隙は大きく致命的なものになるだろう。
女の着物の襟を掴んでから考える。
どうしたもんかの。
掴んだままぎりぎりと引き上げて女をつま先立ちさせることが叶えば、
「なぁ、もしかして怒ってンの──?」
吐息遣いで囁きかけて、そのまま女の唇奪おうとする。
抵抗するならそこはそれ。手足振り回すくらいならば甘んじて受けよう。
■アイリース > 「その時は、お着替えさせて差し上げますよ」
よしよししてあげながら、下着を交換して差し上げよう。
などと、変なことを考えつつ、相手に引き寄せられ。
そのまま、相手がどうするのか、とか見ていれば。
「……まぁ、少し怒ってますよ。
仮にも、あの冒険者は腕が立つんでしょうに。
その相手に訓練をつけてもらう、なんて。
痛い目見るだけでしょう」
相手に引き寄せられるがまま。
唇を奪われ。
「んっ……」
思わず、私は目を閉じてしまう。
正直、相手にこういうことをされるのは、嬉しくないでもないので。
まぁ、受け入れてしまう。
■ビョルン > 言葉を返すのは一度ちゅうっと唇を吸って離した後。
浮かせていた相手の体重も地に戻してから。
「──痛い目はね、本来見るべき生業なのは知ってるだろ。
……もしかして、他の奴に頼ったから妬いてンのかと思ったが──自惚れですかね?」
どーよ? と囁く声で耳朶を擽れば相手の頬へ手を振れる。
少し上を向かせたら再び唇を重ねて、舌先を相手の歯列の間へこじ入れれば舌先で余すところなく相手の口内愛撫しようか。
■アイリース > 「いや、それは意味が違いませんか。
……まぁ、それは。ありますよ。
普通、私に先に話をするでしょうよ」
私だって、腕には覚えがある。
なのだから、頼ってほしかったのに。
そういう風に呟きつつ、相手のキスを受け入れていき。
「……んぅっ……」
相手の舌の感触に、思わず声が漏れてしまう。
私は、震える体を押さえ込むことできず。
そのまま、相手の服を掴み、すがるようにしてしまう。
■ビョルン > 「あるんだ」
ふすりと、どことなく嬉し気に含み笑う。
そうして熱烈な口付けは審判役の笛の音が響くまで続く。
たっぷり舌を絡めて、湿った唇を離せば。
「隙あり」
もう戦意はないだろう、女の額を突っつく。
「と、まあ……」
洋服を整えながら説明して曰く、気持ちの準備ができていれば相応の心づもりと戦略で応じたろう。
女へと拳をふるう覚悟があるかといえば覚悟に日数を要するが、竹光を使用しての剣技戦やら棒術ならば吝かではないとも。
そうして唇で煽り煽られて中途半端に籠った熱は塒につくまで暴走せずに居られようか。
刀を受け取り、剣帯で装備すれば、相手と共に何処かへ。
■アイリース > 「ありますよ。逆に、無いと思ってたんですか?」
そこまで人情味のない人間ではない、つもりなのだが。
その訴えも、相手のキスでかき消されてしまい。
「……むぅ。
これは隙と言っていいんでしょうかね」
む~、と膨れてしまうが。
ついつい、唇に触れてしまい、ニヤニヤとにやけてしまう。
これは、ある意味調教されてしまっているのでは。
「あ……」
いつしか、訓練は自然と終わり。
相手と共に、闘技場を後にすることになってしまう。
……まぁ、そうして。流される形になってしまうこと自体を。
私が望んでいる、っていうのもあるんだけれども……。
ご案内:「富裕地区/王都闘技場/模擬戦場」からビョルンさんが去りました。
ご案内:「富裕地区/王都闘技場/模擬戦場」からアイリースさんが去りました。