2020/10/10 のログ
ご案内:「タナール砦」にサウラさんが現れました。
サウラ > 「御多忙のところ貴重な時間を割いて頂き、誠に恐縮ですわ」

堅固な守備を誇る砦の一室に、凡そ兵らしくない柔らかな女の声が響く。
重厚な執務机を挟んで相対しているのは、この砦の指揮官とダークエルフの女。
此処へ足を運んだのは、現刻の指揮官に『特別許可』を得るためにだった。

特別許可は、王都で発行される狩猟許可証とは別物であり、
この砦の守備任務に就く指揮官交代のたび取り付けている約定のことだ。
デリケートな問題を孕む狩猟ポイントでは、狩猟前の根回しが非常に重要で、
これを怠ると、最悪狩猟の真っ最中に横やりを入れられ、大損害を被ることもある。

「御覧頂いた書状の通り、今回のターゲットはあの湖水に飛来するフライングホースです。
……ええ、勿論。此処に駐屯していらっしゃる皆様がたにとって、重要な水源だと理解しております。
狩猟において毒物のたぐいは一切使用致しませんし、水源汚染には重々配慮した上、行動致します」

サウラ > あの湖水――この砦から西方にある広大な湖水地帯のことであり、その水利はこの砦が管轄している。
提出した書状は、狩猟対象が翼馬であること、滞在の期間、ギルド名の『鋼鉄の口輪』が記載され、
狩猟の特別許可を請う内容となっている。加えて、執務机の上には大きく膨らんだ革袋が2つ、載っている。
袋の中身は銀貨であり、これまで通りの上納額を奉じた筈、ではあるのだが。

「――……それは初耳ですわ。対価に不足があるなら補填すべき……とは思いますけれど」

曰く、価値の高騰によりこれまでの額では許可できない、という――価値の高騰、か。
思わず鼻白みそうになるのをやんわり微笑んで包み隠す。要するに、他にも寄越せ、ということだ。
現刻の指揮官は大変欲望に忠実で、蓄財にも余念がない輩であるらしい。

「直ぐにご用意出来るもので補うとしたら……例えば……私、でご満足戴けるかしら?」

ほんの少し言葉遣いを変えて。緩やかな足取りで執務机を回りながら指揮官の前に立つ。

サウラ > 執務室の扉に鍵が掛かり、密やかな喘ぎ声が聞こえ始めるのもそう遠くはないことで――……
ご案内:「タナール砦」からサウラさんが去りました。