2020/09/01 のログ
ご案内:「妖精の森」にミミックさんが現れました。
ミミック > 木漏れ日輝く時間よりも夜の帳下りた時間の方が活動的であるのは蟲としての習性である。
今射しこむ輝きは月光、青く冷たい輝きが木々の葉の隙間より降り注ぐ輝きを森の木々に擬態した複雑な色合いの甲殻を月明かりを跳ねさせながら、蟲は蠢きウゾウゾと多脚を動かして木々から木々へと移り渡り飛び回る。

喰らいたいのは妖精。
それ以上に今は繁殖期であり妖精よりもヒトを求めている。
真っ赤な眼を闇夜の中で輝かせ、ゆらゆら左右に振りヒトを探して揺らめかせると擬態させて認識し辛い甲殻の身体よりもその輝いた瞳が赤い輝きが動いて、夜の森に不気味に浮かび上がる輝きとなる。

カチカチカチカチ、と顎を鳴らし威嚇、あるいは苛立ちを示す音を縦ながら、輝く赤い瞳は闇だけではなく生き物の体温を映し、深い緑の中に隠れる生物の姿すら認識する。

多脚、木々の皮に深く食い込ませる事で場を維持し、シルエットどおりの生物であれば本来あるはずのハサミが有る場所に代わりに存在する甲殻の筒型の前足から太い触手を伸ばし、枝に絡ませ、巻きつかせ、蜘蛛の如く振り子の様に身体を揺らして移動する、その度にやはり赤い輝きはふおんふおんと揺れ動き、妖しくも怖ろしい想像をかきたてる輝きとなった。

ミミック > ギシリと音をたて太い木の枝がたわむ。
風を切る音、混ざり合う空気の中に混じる濃厚なる緑の香り、また風を切る音――ギシリと木の枝がたわみ揺れる音。
その一連の動作にあわせて赤い輝きがまた揺れ、動き、止まり、消える。

ミミックは瞼を閉じた。
今宵はこの場所で獲物が通りかかるのを待つために、瞼を閉じる事で眼の輝きを消して、代わりに嗅覚と聴覚、そして背中の隙間からニュルと触手を伸ばし、空気を感じ取るセンサーにして、いつ獲物が付近を通りかかってもいいように、準備を整え息を潜める。

森に光を射しこむ月が厚い雲に覆われて陰る。
そうなると木々の色、葉の色に甲殻を変え、木に擬態したミミックを見分けるのは難しいだろう。

敢て言えば臭い、周囲の木々よりも濃厚なる緑の香り。
それ以外は体温すら甲殻がうちから外へと漏らさず、反応することは難しいレベルで擬態を遂げている。

ミミック > ミミックはまた移動を開始する。
次の狩場へ、本能的に人里に近いほうへ。
枝から枝へ、木から木へと飛び移り、徐々に森の奥へと消えて、最後には森の奥へと……。

ご案内:「妖精の森」からミミックさんが去りました。