2020/07/25 のログ
ご案内:「王都 冒険者ギルド傍の宿」にナランさんが現れました。
ご案内:「王都 冒険者ギルド傍の宿」にヒューさんが現れました。
■ナラン > 王都の平民地区、冒険者ギルドからほど近い場所には冒険者向けの宿が点在している。
特徴は武器や防具を整備出せるようになっていたり、ひとつ宿で雑居部屋と高級個室が取り揃えて居たりであったり。
そしてこれも必ずといって良い、食堂兼酒場も併設されている。
出される食事は肉体労働者向けに量を重視したものから美食家向けのものまで、それぞれ宿が個性を出しているところだ。
ギルドの丁度向かいにもそんな宿のひとつ、比較的小さな、質で言えば『中』ぐらいのものが一軒。
例にもれず宿の親父が居座る受付横の大広間は食堂兼酒場となっていて、冒険者ギルドが盛っているのを反映するかのように今宵も人で溢れている。
老若男女様々な人種が思い思いに酔い、たまに意気軒昂な演説めいたものを始めるもの、それに茶々を入れる者、食って掛かる者、囃し立てるものに煽るもの
更にはそんな人々相手に春を売ろうとテーブルの合間を行き交うものまで…
そうした喧噪で溢れる食堂のカウンターに、並んで座る男女の2人組。
片方は立ち上がれば見上げる程の巨躯の、服の合間から見える肌に古傷を幾つも持つ隻眼の男。
片方は服装はごく簡単なシャツとズボンの、室内でもターバンを巻いたままの黒髪の女。
その女はすこし落ち着かなげに肩を揺らして、手首の辺りをすん、と嗅いで
「―――…私、もう匂いませんか?…」
等と隣の男に問いかけている。
戦場から血まみれの服のままギルドで報酬を受け取って、この宿に預けていた服に着替えたばかり。
いつもの民族着でないので少し落ち着かないのと、魔族の血を滴る程に浴びてしまって、それがまだ鼻の奥で残っている気がするのだ…
撤退時に助けてもらった男と流石にそのまま別れることもできず、こうして夕食に誘ったのは女の方からだ。
「…何でも頼んでください。
ただし、お酒はほどほどにしてくださいね」
女はひとしきり嗅ぐと諦めの溜息をついて、傍らの男へと少し笑って告げた。
■ヒュー > ギルド向かいの宿屋に入った男女。
たまに使っているのか、顔見知りの親父に挨拶してから賑やかな喧騒で満たされる場所へ。
布の服を持ち上げる分厚い体付きの女。
そしてその前には落ち着か投げに肩を揺らして首のあたりの匂いを嗅ぐ女。
向き合う様に座っていたが、匂わないかと問われれば男は小さく笑い、女の隣に腰を下ろし、
丸太の様な太い腕を女の腰に回し、ずいっと顔を寄せ女の項に。
「ん。 大丈夫だ。 今はナランの匂いしかしないぞ。」
等と悪戯っぽく笑いかけてから、軽く手を振り、給仕を呼ぶと、強い酒をジョッキで頼み、ツマミとばかりに肉それも焼いた肉に煮た肉と肉尽くし。
「程々だな 頭の片隅に入れておこう。
ついでに、ナランの好きな食い物も教えてもらおうか─。」
■ナラン > 「!! わたしの匂いって、何ですか…
片隅じゃなくて、ちゃんと覚えておいてください」
腰に回された男の力には抗いようもない。
驚いたように鳶色の瞳を見開いて、項に寄った男の気配にびくりと肩を震わせたのを誤魔化すように女は金の隻眼を睨みつける。
そうやってマイペースに給仕に注文をする傍の男をぐいぐいと元に押し戻そうとしながら、好きな食べ物、の所にはすこし考えるように
「…羊肉の料理はありますか?
……あとは、クランベリーか、キイチゴを使った飲み物があったら…」
そこまで給仕に告げてしまってから、流石に肉ばかりなのに気付いて
「それから、何か焼いたお野菜の盛り合わせもお願いします」
聞き終えた給仕が頷いて喧噪の向こうに去るのを見送りながら、はあーとため息を付きながら再び傍らの男を横目に見る。
「…色々食べないとダメですよ」
もう男も大分見慣れたろう。女の『仕方のない人』を見る目線だ。
■ヒュー > 「俺の気に入りの匂いだ。
まぁ、その心配は無いな。 ナランがいるからな。」
等と、楽し気に笑いながら腰を抱く手は女のしなやかな体を腕で感じ。
羊肉も臭みはあるが中々に美味い。
果物を使った飲み物もまた良くて。
野菜の盛り合わせ…
別に好き嫌いをしている訳でもなく単純に優先順位が低いだけである。
「草も食うが、肉を食ってる羊も牛も豚も草を食べているからな…。」
等と言う暴論をさらっと言いつつ。
此方を横目に見る女に男は愉し気に笑いかけて。
「何はともあれ、こうしてナランと飯が食えるのは良い事だ。」
■ナラン > 気に入りの匂い、と返されてまた驚いたように瞳を見開いて男を見る。
しかし今度は僅かに逡巡するように揺らして、逸らして。
腰に触れる男の手は離れそうにない。半ば諦めた様に力を抜くと、自然とすこし、寄り掛かる格好になるが…そうなったらそうなったで、女は落ち着かなげに身体を揺らすだろう。
「…故郷のほうでよく食べていたので。
ちょっとこちらの味付けは慣れませんが、違いも面白いなと思うんです。
…その論法で行ったら、ヒトを食べるのが一番の健康法ってことになりますよ」
暴論にくすりと笑って口答えする。
横目に笑いかけられると、釣られるように更に笑みを返して
「そうですね…
こうしてヒューさんと、のんびりした空気の中に居るのは何だか不思議です」
そう言うと、女は周囲の喧噪を見回す。
普段あんまり街の人とはなじまないから、こうした喧噪の中に居ること自体、何だか不思議だ。
そうこうしていると、給仕が山盛りの肉の皿を持ってよたよたと歩いて来るのが目に入る。
思わず女はまた、くすりと笑みをこぼして
「兎に角、ヒューさんのお酒好きと肉好きはよく、解りました」
女好きも、と小さく付け足すと、腰に廻った手を軽くつねって見せた。
■ヒュー > 驚き大きく見開いた飛び色の瞳に男は愉しそうに笑い、
腰に回したてが離れなければ落ち着かないながらも寄り添うように身を委ねてくる相手。大きな手で脇腹のあたりを撫でて。
「ほう。そうなのか。
いつか一緒に行ってみるのも良さそうだ。
その時は案内をしてくれるだろう?
まぁ旅先で食べるものもまた良いものだな。
外れもあるのは確かだが。
…知っているか? 雑食の肉はまずいのだ。」
等と、さらりと悪戯なそれも飛び切り悪趣味な言葉を悪戯に囁き、唇の端を持ち上げにやりと、凶暴な笑みを向け。
「冗談だ。
まぁそうだな。戦場で出会ったこともあるしな。」
山盛りの肉が来ればうむうむと、嬉し気にうなずき。
腰に回った手を軽くつねられれば楽し気に笑い、その手を男の手で握ろうとして。
「あぁ。 酒も肉もナランも好きだぞ?
まぁ 先ずは酒と肉を食おう。」
と、男の前に置かれたジョッキ。その中身はエールではなく濃い色の強い酒精の酒。
それを片手に、軽く掲げて乾杯をしようと相手を急かす男。
■ナラン > 脇腹に走る感触に女は今度はくすぐったげに身体を揺らして、いたずらしないでください、とばかりにその手を押さえようと手を伸ばす。
そうやって笑ってすこし息を弾ませながら
「…いいですよ。私の部族は見付けられないかもしれないですけど…
広い土地が広がってて、季節の移ろいがきれいな、ところです…」
懐かしむ瞳を一瞬中に走らせると、次に男の返した趣味の悪い言葉に訝しげな、半ば睨む視線を向ける。
つねった手は大きな男の手にあっさりと捕らえられて、また驚いた視線を向けるけれど
乾杯を急かす言葉に、すぐに笑いながら『困った人』見るものに変わるんだろう。
「お上手ですね。私も簡単に食べられると思われるのは困りますが…
お仕事、お疲れさまでした。…ありがとうございました」
同時に届けられた、男のジョッキと比べるといかにも小さい紅い液体が入ったグラスを女も掲げて
盃を触れ合わせれば、澄んだ音と重い音が混ざって喧噪に響く。
それからそっとグラスに口付けた女の喉に通るのは、冷えて甘酸っぱく香る果実酒。
一口飲んでほっと吐息を吐きながら、先ほど『片隅に入れておく』と言った隣の男の飲みっぷりを横目に伺う…
■ヒュー > 手は相手の抗議によって抑えられようとするも、なんとか逃げようとするすると腰を滑らせていく。
「かまわんかまわん。 嫁とりの挨拶をしたくなってしまうらな。
広い土地で季節の移ろいが綺麗か 良いな。」
うむと頷きながら、つねられた手で、その手を捕らえれば軽く握ってから指を軽く絡ませ。
困った人と笑われれば男は愉し気に笑いながら一つの眼でじっと見つめ。
そして趣味の悪い冗談ににらまれれば満足気な笑みを浮かべ小さく頷く男。
「む? ナランこそそろそろ俺が欲しくなる頃合い化と思ったのだがな。
ん。気にすることはない。俺が勝手にやったことだからな。」
等と軽口を叩きながらグラスの中の強いそれを名がっ仕込めば燃えるような感覚を楽しみぷはっと一息。
片隅に入っている分、気にしている様子はないようで、男の視線は果実酒を味わいほっと一息漏らす女を見詰める。
「どれ、その先も美味そうだな… 残りでいいから味合わせてもらおうか。」
等と囁きかけると、木のジョッキをごとりとテーブルの上に置き、その手を女の顎に。
顔を向けさせるとゆっくりと顔を近づけ女の唇を奪おうとする。
■ナラン > 「何を言っているんですか…良い所、ですよ」
片手はするする逃げる男の手を追いかけつつ、言葉の最後で女にしては珍しく、柔らかく微笑んで男を見る。
逆に捉えられた手の指が絡み合えば、困ったように眉を寄せて吐息を零し…
ごはんが食べ辛くなりますよ、等と呟きながら絡んだままの手をテーブルの上に押し戻そうと。
そこへ欲しくなる頃合い、だとか聞こえるとまた苦笑気味に笑みこぼして隻眼を見上げて
「…そう、ですね。
ヒューさんの…血なら、貰ってあげても、いいですけど…」
そう言って仕返しとばかり、少し目立つ八重歯を見せて女は笑う。
そんな軽口のやり取りの後。
男の言葉に己の手元のひとくち飲んだグラスを見て…男の方へと差し出そうとした時に顎へと男の手が触れる。
訝しげに鳶色の瞳を潜めると、ゆっくりと隻眼の男の顔が迫って来るのに気付いて
「!…こっちの方が、沢山残ってますよ」
二人の顔の間にぐいーとグラスを持った手を押し込んで、男の唇に押し付けてやる。
そうして男が大人しくそちらを飲むのなら、全く、と再び女は吐息を零して、それからまたくすりと笑みこぼすんだろう。