2020/05/04 のログ
ご案内:「娼館「月の涙」」にセイラムさんが現れました。
セイラム > 夕刻から降り始めた雨は、宵の口を迎えたハイブラゼールを白く煙らせている。
降雨日は総じて客足が鈍るけれど、特需に沸く大歓楽街は閑古鳥とは無縁で。
北側通路に所在する娼館「月の涙」も同様に、途切れることなく客を迎え入れている。

「――それはおめでとう御座います。私もその幸運にあやかりたいものです。
嗚呼、準備が整ったようです。それではどうぞ、ごゆるりとお愉しみください」

ラウンジのカウンタースペースの定位置にて。
客側からは死角となる位置にある合図灯が点燈するのを確認してから、そう客を促せば。
指名した娼婦の支度が整うのを待っていた客は、上機嫌な様子でスツールから離れ、
やや酔いが回った足取りで階上の個室へと向かってゆく。

セイラム > カウンターを出て、今しがた客の居たテーブルを布巾で軽く拭き上げる。
グラスを引く際に吸い殻の残るアッシュトレイにも気付き、それも回収して。

(――ボトルの補充、それと葉巻7ケース、媚薬入り潤滑液は大瓶5……いや8か、
シャンデリアの定期清掃は後回しで、リネンの追加発注も……嗚呼そうだ、
洗濯屋ともなんとか話をつけておかないと……)

カウンターの内側へと戻りながら、あれこれ段取りと算段を思案する。
今宵に限らず、連夜の売上増で高笑いが止まらぬのは。
ちら、と視線を流した先は、階上の支配人室で。

通常不在がちの支配人だが、開館前に室を訪ねた際には、
嬉々とした顔つきで山と積まれた銀貨を数えていた。
だが早晩、あの銀貨も放蕩の泡銭と消えるに違いない。

セイラム > 浪費される前に増大している必要経費の交渉も段取りリストに加えつつ、
先ずはアッシュトレイを手早く片付けよう。
その次に取り掛かるのは、簡易水場に溜まったグラス類だ。

雨が眠らぬ街を洗う夜、手堅く経営保全に勤めよう――

ご案内:「娼館「月の涙」」からセイラムさんが去りました。