2020/04/20 のログ
■フィル > 「んっ…!」
ガタンっと音を立てて体制を崩したかと思えば、辺りへと慌てて少年は視線を向けていく。
どうやら舟をこぎかけていたところ、段差もなにもな場所で、軽く組んでいた足が崩れたことに驚いたようである。
大きく机に倒れ込むことはなかったとはいえ、少々その慌てぶりと、眠りかけてしまっていたことが恥ずかしかったのか、辺りにとりあえず人がいないことが確認できれば、ほっと安著の吐息を零していく。
どうやらまだ2階では店主がお客と品物の品定めかやり取りでもしているのか。
転寝しかけている間に、ここの店主なら注意することもなく、通り過ぎてしまった可能性もないわけではないが。
少年はまた一つ視線を天井へと向けたりしてみるようふぁが。
「また、前の場所の手伝いでも…してみようかな。
小物はたくさんありましたし…」
家に軽く飾るような雑貨品は多かったのを、以前手伝ったお店を浮かべれば思い出せたようである。
幾つか綺麗なドアチャイムやランプから、小物は扱っているとはいえ、日用雑貨がおおおいお店なのだ。
参考になると思ったようだが。
そこでは人の女性の姿で手伝いをしたわけであれば、その姿で再び手伝うことになるわけである。
カウンター奥の壁に掛けられた、女性店員用の制服へと視線を少年は向け。
何やら思案を巡らせていくが、女性でチラシ配りをしたり、接客をしたほうが、売れ行きが良くなるか。
なんてことを考えているのだろう。
眠気を覚ますように、もう一度大きく顔を揺らしながらも、制服とにらめっこするように、椅子に腰を下ろしたまま少年が制服を凝視し続けているのは、少々不可思議にもみえるかもしれないが。
■フィル > 「…終わったんでしょうか?」
そんなことを考えたまま時間が過ぎていけば、響く音は気のせいではなく、本当に2階のドアの開いた音である。
そのまま、階段を下るように、軽く踏みしめる音が響いてくれば、やがて見えてくる人影に、少年は反射的にお辞儀を送っていくが。
これだけ店主と長く話し込むような持ち込みのお客なのだ。
用件だけは終えたとばかりに、顔は革製のマスクのようなもので隠されていれば、大した反応を見せることもなく。
そのまま店の外へと出ていくお客へと、少年はお辞儀したまま見送りの視線を送るのみであったようである。
「ならお店は…あ、はい!」
今日はこれからどうするのか、店主へと伺いを立てようとすれば、階段の上から先に声は降り注ぐことになったようだ。
一つ二つ軽く受け答えして、少年は聞こえる様に大き目の声で返事を返せば、どうやら仕事はそこで終了だったようである。
戸締りをした後は自由に帰っていい。
といった言葉をどうやらもらったようであり。
ずっと店番として待つだけだった分、体を動かすようにてきぱきと少年は立ち上がれば、裏口から窓へと足を運んでは鍵を閉め。
残りは出入り口となったところで、身支度を整えて店の外に出ていくことになったようだ。
吹き込んでくる夜風は眠気覚ましにはちょうど良い涼しさを持ち。
店の外からちゃんと鍵をかければ、少々軽い足取りで少年は帰路へとついてったか―
ご案内:「平民地区 雑貨屋」からフィルさんが去りました。