2020/04/19 のログ
ご案内:「平民地区 雑貨屋」にフィルさんが現れました。
■フィル > 暖かく、穏やかな天気が訪れれば、昼のみならず夜で歩く人も増えるものである。
ちょっとした気分転換の散歩から、買い物まで理由は様々だが。
夜も深まり始めるころ合いになれば、出歩く人々が集まる先は、やはり酒場や食事処が集まっている通りが多いようだ。
当然いまだに大通りを、夜の散歩としゃれ込んだり。
春の陽気に誘われるように、いまだはしゃいでいる人々も見受けられるかもしれない。
けれども、それもあくまで表通りであり。
少し込み入った路地裏や、大通りから外れた通路となれば、周りの喧騒が聞こえてくるほどに静かなものであり。
平民地区とはいえ、浮かれて踏み込んだ人を狙うような、賊もわきかねないのだから当然ではあるのだが。
「随分と話し込んでますね…」
そんな人気のない通路の先に、ポツンとたたずむ雑貨屋の中で少年はだれに言うでもなくそんな言葉を零していく。
珍しく来客があったものの、やはり目的はまだ店の二階にいる店主だったようであり。
持ち込みの道具をたくさん持ってきていたのか、かれこれ数時間はお客も店主も2回から降りてきていない様子なのだ。
元々お客の少ない、普通の雑貨店の店員を任されている少年は、そのために配達も今日は回されることがなく。
静まり返った店内で、ただただカウンターの裏の椅子に腰を下ろしたまま、時間が過ぎていく暇な時間を長く味わうことになったようであり。
「春にいい雑貨とか…入荷を促すべきでしょうか…」
世間は春陽気ともいうべき気候で、浮かれている人もチラホラ大通りでは見かけるのである。
人以外の種など、春に影響を強く受ける人にも需要がありそうな雑貨でも、なんて考えたりしているようであるが。
進言しても最終的に決めるのは、雑貨には本腰を入れていない店主なのだ。
まだ続いている商談に想像を浮かべながら、少年は時間をつぶすように、掃除も終わった閉まった店内に視線を走らせては、時折外へと視線を走らせ。
静まり返った店外をしばらくぼーっとした様子で見つめていくようであるが。
■フィル > 「とはいえ…雑貨で季節もの…ものによっては男女も…」
雇われのまだまだ未熟な店員には簡単に思いつけるものでもないのだろう。
そもそも、店主が持ち込まれる魔道具を扱っているのを知って、それにかかわれるかもしれないと働き始めたのだから。
色々考えを巡らせていくが、少年自体に直接雑貨などの斡旋の伝手はなく。
自ら道具を探しに行くにも、実力不足なのだから、結局は机上の空論以前になってしまうのは仕方がないかもしれず。
ぼんやりとそんなことに思案を向け続けていたものの、まだ店主たちは二階で話し込んでいるようであれば、天井へと視線を向けては耳を澄ませるが。
防音もある程度しっかりしてるのか、特に聞こえるものはないようであり。
「男女差は…自分で試せるからいいかな…。
また街歩きで探してみましょうか」
いざとなれば変化をもって、逆の性別も試せるのだから、多少は楽なものだろうか。
店の手伝いの伝手などで、少々最近は女性に化けて女性の恰好をするのに、慣れてきてしまっているところもあるようだが。
少年はそんなことを思案のままにポツポツとこぼしていけば、一つ零れかけた欠伸を手で押さえる様にして隠していく。
それでも少しずつ忍び寄る眠気は、静かな店内とただただカウンターに座っているという行動には相性が良すぎるようであり。
顔を揺らして眠気を振り払おうとするが。
少しずつうつらうつらとする頻度が増えている様子が店の外からも伺えるかもしれれず。