2020/03/17 のログ
■フィル > 「これだけ人気がないと…折角の商品も…古くなっちゃいますよね…」
店主の買い取りを覗けば大体は普通の雑貨店でも買えるような、そんな品揃えである。
けれども、直に置かせてほしいとか、扱わせてほしいといわれた商品は、ちゃんと並べてあるわけであれば、そこは普通の雑貨屋よりは珍しい商品があるかもしれず。
そういった経緯で置かれている、綺麗な細工のランプや、耳障りのいい音を静かに奏でるウィンドチャイムなどへと、視線を揺らめかしていく。
ちゃんと埃がかぶらないように、定期的に全体の商品の掃除をしてあれば、けっして古びた感じなどはしないわけであり。
はたから見えても、幽霊屋敷みたいな雰囲気に鼻ってないのは、少年、今は少女の努力の成果といえるのだ。
「チラシ配り…程度じゃ…少し奥まりすぎですし…」
配達ついでの宣伝をしてみたりもしても、そこまで効果は望めていないようである。
貧民地区や、富裕地区の人々がここまで足を運ぶということ自体、距離がありすぎるのだから仕方ないのだが。
平民地区の大通りでビラを配っても効果なし、恥ずかしさ抑えて女性の恰好を全力の上で変化もして配っても、いまいちだったのだ。
どうしたものかと思案をまた巡らせながらも、迫ってきていた眠気を頭を揺らして軽くはらしていくが。
何もしてなければ当然再び眠気は不定期に迫ってくるわけであり。
外の窓から様子を窺えば、カウンターで店員が船をこぎかけている。
なんて様子が見られてしまうかもしれないが。
■フィル > 「ふぁ…いけないいけない」
気が付けばすっかりと船をこぐどころか、眠りこけてしまっていたようである。
それでもバランスをくずしてカウンターに顔をぶつけたりしなかったのは、運がよかったというべきだろうか。
ガクンと大きく体を揺らしたその衝撃で目を覚まされたようであり。
慌ててあたりを見回すようにしてしまうが。
特に店内に変わったところはなく、静まり返った店内も、外に見える道もどうやら通常通りのようだ。
安心をしてしまえば、当然また眠気はにじみよってくることになり。
少し気を抜けば、うつらうつらとした様子を再び見せ始めてしまうかもしれず。
「戸締りしましょうか…」
眠ってしまう前に戸締りへと移り始めたようであり。
少しふらつきながらも立ち上がれば、少しの間奥へと消えていく。
奥から響く音に耳をすませば、カチャっと鍵が閉まるような音が聞こえるだろう。
そうして裏口へと続く、薄暗い通路から戻ってくれば、そのままの足で窓際へとむかい。
カチャカチャと手際よく窓の世情を確かめていくようである。
ただ眠りかけていたせいか、自らの服装がそのままだということを失念していたようであり。
出入り口のドアを最後に外からしめ、看板を裏返しというところまでも、気づくことはなく。
そのままの状態で帰路へとついていってしまったか―
ご案内:「王都マグメール 平民地区 雑貨屋」からフィルさんが去りました。