2020/03/16 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 雑貨屋」にフィルさんが現れました。
フィル > 大分気候も穏やかになり、過ごしやすい気温の夜ともなれば、人気は中々大きな通りからは途切れることはなく。
多少枝分かれした道であっても、酒場や食事処など、夜に向いたお店が並んでいる場所であれば、人の往来はそこそこあるだろう。
けれども、さらに足を進めた裏路地ともいえる場所までくれば、過ごしやすい気温であっても深夜には人気はなく。
吹き抜ける風や、足音ですら壁に反響してよく響くほどに、静まり返ってしまっているのである。
そんな人気のない路地を抜けた先の、周りの家々も明かりを落としている中に、ポツンと一つその雑貨屋は静かに明かりを零している。

「相変わらず静かですね…」

静まり返った店の中で、うごめく影は店員のもの一つである。
配達も店の掃除もすでに終わり、あとは深夜の店番くらいしかやることはないのだろう。
カウンター奥の椅子に軽く腰を掛け、ぐるりとあたりを見回せば、痛いほどに静まり返った店内の様子に、一つ気の抜けた息を零していく。
平民地区とはいえ、路地裏の先といえる奥まった場所である。
店主用の持ち込みや、珍しい場所にあると、たまたま見つけて興味心からくるようなお客くらいであれば、基本的に客足はあまりないのだ。

「それにしても、店主さんも…最近暇なんでしょうか」

少年、ではなく、今日もまたその姿は少女なのである。
魔道具の持ち込みが減って、多少できた暇をつぶすつもりなのか、味を占めたのか。
店主繋がりのお店の手伝いに、変化がばれてからは需要に合わせる様に化けて送られることも多ければ、店主に店内でも申し付けられたようである。
日によって、少年の姿と少女の姿を切り替えての店番という、店主の気紛れの指示が増えることになり。
ちゃんとワンピース風の衣服にエプロン、と普段の少年の姿の時とは違う格好を用意されていれば、やはり店主の暇つぶしの一つにされているのだろう。
そんな思考を巡らせては、窓の外の人気のない路地へと視線を向け。
次第にぼーっとし始めてしまうが。