2020/01/14 のログ
ご案内:「薬屋のテント」にタン・フィールさんが現れました。
タン・フィール > 王都の住宅街と市場を挟む路地、空き家や空き地が並ぶ区画に、
ちょこんと設置された小屋ほどのテントからは、薄桃色の煙が甘い匂いとともに漂っている。

幼い少年が店として構えた其処は、子供のお遊戯でひらかれたお菓子屋さん…などではなく、
王都から許可を得て、冒険者や魔道具屋などにも薬品を提供する、れっきとした薬屋である。

テントの天幕をくぐって店内に入れば、民族調の絨毯やタペストリーに彩られた4畳半ほどの店内に、
無数のビーカーや薬瓶、不気味なものから奇麗なものまで、
動植物が干してある独特の景観が広がり、
その中央のカウンター・テーブルにちょこんと座った幼い店主が、
出来上がったばかりの桃色の液体を、蜂蜜をちびちび舐める子供のように指先に乗せては味わっていた。

「ん、…んんー… おいしいといえばオイシイ…んだけど、
あまくすれば、いいってもんでもないよね…」

本日、開発したのは苦味の強い体力回復を、甘く摂取できるように工夫した代物。

しかし、「美味しすぎる」ことが仇となり、少量でも十分に体力の全快がみこめるものを、余分に摂りすぎてしまうのでは?
という問題点に気づき、どうしたものかと思案しながら、
試作品たる甘露を「処分」している、

とっくに体力気力の上限を超えて回復してしまいながら、実によろこばしそうに。

タン・フィール > 「あっ…そうだ、おちゃ、お茶っ」

口内に広がる甘みに、悦びに混じって若干の飽きがきたころに、
この甘味の回復薬にふさわしい、気力や魔力を回復させるハーブを煮込んだお茶も用意していたことを思い出し、
いそいそとテーブルに異国の茶器を広げて、丁寧に淹れていく。

「うーん…戦闘中の、咄嗟に一気に回復させる用じゃなくて、
キャンプ中や食事中に、ゆっくり体力気力を回復させるための、食事用に売るのが、いちばんいいかなぁ…?」」

と、冒険者たちがその日の行軍や冒険を終えた後のひとときには、
この甘味や落ち着く香りも、旅の疲れを癒やす一手になるのではと、
少年の背丈には大きいイスの上でぱたぱた足を揺らしながらティータイムに耽る。